鬱病経験者が『ディア・エヴァン・ハンセン』を観たんだが(食い合わせ悪い気が……)
ちょっと旬が過ぎましたが、今回は『ディア・エヴァン・ハンセン』を喋ります!
ネタバレとまでは言いませんが、この記事は物語の核心部分には触れますので、鑑賞後に読んで頂くことを推奨します!
■あらすじと概要
鬱で学校生活がままならないエヴァン・ハンセン君が、友人とも言えないあるクラスメートである拗らせ男子のコナー君とのちょっとした接点がキッカケで、彼の自死のあと遺族から親友と勘違いされ、成り行きでついた嘘がキッカケで、嘘の上塗りをしながら架空の親友をやらされるって物語です。
ブロードウェイミュージカルで大ヒットし、映画化された今作ですが、僕自身ミュージカルは見てないので、それとの比較はできません。あくまでこの映画単体のみでの印象で今回はお話します。
あと軽度ですが僕自身約10年前、鬱によって仕事と結婚をダブルで逃した者としての個人的な見解ですので、そこんトコはご了承くださいませ!
今作を観終わって思った率直な感想は「俺のとは違うなぁ~」by 倉石義男(内野聖陽)ドラマ『臨場』より
でしたね。
鬱の経験者である、ワタクシTake-Btzがいかに今作を観たのか?
それでは行ってみよーと思います!
■鬱のタイプで映画にライドできるかが問われる?
「俺のとは」ってのは鬱の症状というか、タイプですかね。
だからって悪い映画ではなんですが、もしかしたらこの映画は、僕のような鬱の経験があったり、鬱に対してのイメージがある人(そのイメージがこの映画で描かれる状態と異なる場合)は、乗れないかもなぁ~って感じです。
今作の主人公、エヴァン君は鬱病で薬に頼ったり、カウンセリングを受けたりして、毎日をなんとかこなしています。
そんな彼ですが、冒頭から鬱々とした気持ちをなんと歌い出すんです!
その歌にのせて彼は学校に登校し、体育館のド真ん中で自身の孤独を高らかに歌いながら叫びます!「誰も僕に眼もくれないー!孤独なんだー!」的な内容で、もちろんこれは心の声だということも百も承知!分かります!
これはミュージカル映画!
思いの丈、熱いソウルを歌と踊りで表現するのが最大の見せ場!
しかし、エヴァン君は鬱!鬱のエヴァンが歌って踊る!
「それを言っちゃあお終いだよ!」と突っ込まれそうですがーッ!
コイツ……全然、鬱っぽくねぇ……
この冒頭からいきなり僕は、この作品にライド出来なくなりました。
本当の申し訳ないですが、自分が鬱で引き籠ってたときは、冗談でも歌い出すなんてあるはずもなく、どんな状態かというと「歌うか、死ぬか」と問われたら「じゃあ、死で!」といった感じのクソ雑魚メンタルなわけです。
鬱という状況の主人公がいきなり歌い出すんじゃなくて、心が晴れてゆくという精神状況の変化に呼応して、歌えるようになったり、歌が明るくなっていくとかどうでしょ?(ベタ過ぎか?)
まぁ、なんというか……
鬱とミュージカルって食い合わせが、すこぶる悪い材料なんだな~というのは、ある意味では新たな発見でした。
■エヴァンの鬱は他人鬱、俺の鬱は仕事鬱
今作の主人公エヴァン君の鬱は、他者から承認されたい「僕を一人にしないでよー!」という碇シンジ的な状況が要因になっています。
もしかしたら、SNSというコミュニケーション手段が日常に浸透している現代では、ポピュラーなタイプなのかもしれません。知らんけど…
僕の場合はその逆というか「もう一人にしてくれッ!」っていうタイプでした。
当時、とあるパン屋さんにいた僕は、新入社員にも関わらず、いきなり副店長という役職を与えられ、上は店長やマネージャーという管理職スタッフ、下は50人を超える10代から50代に至る年齢層の(主に女性)バイトの間に挟まれて、店舗管理を任されました。
とはいえ新人なので、分からないことばかり。
毎日が怒涛の忙しさで業務にも慣れないまま、頭も追いつかず、分からないことを聞くと「そんなことも分からないんですか!?」とバイトに怒鳴られ、その後「一度聞いたんだから、二度は聞かないでください!」と圧をかけらるような、そんな職場です。
労働時間の長さ(長い日は午前6時~午前2時とか)と、職場の人間関係に辟易し、不眠症になり、「このままだと、自殺か店放火やな~」と心のジョーカーが芽生え、あえなく診療内科にピットイン!
ソッコーで心理士から「はい!仕事が原因の鬱です!」とのこと。
さらに原因がハッキリしている場合の症状は、まだマシというか、病気でいうと早期発見のような状況らしく、本当に辛いのはあらゆる重圧に耐えているにもかかわらず、それに自覚がなく、ある日突然電源オフになるような状態に陥ることなんだそう。
「だから、あなたは早々に仕事を辞めてください」とキッパリ言われました。正直この言葉に「助かった」と感じました。
僕の場合の鬱はエヴァン君と違い、他者からの圧力と業務内容の過酷さからくる症状でした。
こういったタイプの違いもあるかもしれませんが、エヴァン君がなぜ鬱々とした状況になったのか、もう少しわかるとだいぶ印象が違うかもしれません。
劇中、終盤で母子家庭で育てられたことの孤独や、寂しさ何かを歌ってたのでそれが原因かもしれませんが……
ぐぬぬ、しっくり来なかったんだよなぁ~
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