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なぜ「Z世代」は扱いづらいのか?

 ここ10年くらい、マーケターや投資家の関心はミレニアル世代にありました。この世代は、コンピュータやインターネットに囲まれて育った初のデジタルネイティブです。結果的に、ワールドワイドで多くのサービスが生まれました。

 しかし今、彼らに向けられていた関心を1990年代後半以降に生まれた、ポストミレニアル世代、すなわちZ世代が奪いつつあります。これは言うまでもなく、その市場規模と、将来性によるものです。人口はすでに20億人を超え、購買力は今後さらに上昇していくことが予想されています。

 今日はその、近い将来マーケットで重要な位置を占めるであろうZ世代を、みなさんの今後の戦略の助けとなるように解説していこうと思います。


「Z世代」は扱いづらい。

 これは間違いなく事実です。時代の変化とともに価値観などに相違が出てくるからです。ただ、一概に「扱いづらい」といってもいくつか種類があると思います。そこでここでは中でも特に重要な以下の3つを考えることにします。

①消費行動の扱いづらさ(マーケターの視点)

②モチベーションの扱いづらさ(上司の視点)

③つながりの扱いづらさ(社会全体からの視点)

それでは解説していきます。

①消費行動の扱いづらさ(マーケターの視点)

 Z世代は様々な経験を通じて、経済に対して今までの世代とは異なる価値観を持つようになり、この価値観がZ世代における消費行動の扱いづらさの原因になっています。
 Z世代の消費行動を理解する上で重要なキーワードは「安心・安全」、「ブランド意識」、「スマートフォン」です。

 まず、僕達Z世代は大きな景気後退を実感しながら育ってきました。2008年に起きたリーマンショックの影響で自己破産したり、悲惨な目にあってしまった人たちが身近にいます。
 また、2011年に起こった東日本大震災を経験したことで、社会には不確実性や不安定性が付きまとうことを知っています。

 そのためよくある統計が示すように、Z世代は一般的に青年期にみられるような特有の危険行動(未成年のタバコや飲酒、無免許運転など)をあまり起こしません。僕の周りにもそういう行動をとる人はほとんどいませんし、そういう行動をとった人は自分に害を与える、つまり安心・安全を奪う存在として遠ざけられる傾向にあります。

 ただこの安心・安全を求めるというのは、夢を持たずにすべてをあきらめているわけではなく、より手早く確実に成功を得るために合理的な選択をしようとしていると言え、これはアプリ制作やweb制作といった元手のかからない事業を始めることにはとても興味がある、ということからもよくわかると思います。
 その、リスクを抑えながらも世の中に何らかの影響を与えたいという願望にいかにコミットし、それらを満たすようなサービスを提供していくかが必要だと思います。


 ブランド意識についてですが、私たちZ世代は多世代に比べてコスパをかなり重要視していると思います。例えば僕の周りにも、iPhoneのコスパが悪いと考えて、下位互換であるとは分かっているものの、huaweiやoppoといった機種を購入する人が多くいます。

 また、情報化により自らのアイデンティティを確立させたいと思うようになり、ブランドものよりはむしろ個性的なものを求める風潮もあります。
 例えば僕の高校では、登校時のかばんの種類にも大きな差があります。今後のプロダクト開発で、選択肢の豊富さがカギになってくるのは間違いないと思います。

 ブランド、というある意味間違えのないものに固執し、承認欲求を満足させるのではなく、あまたある選択肢の中から自分に合ったもの、自分を象徴するようなものを選ぶという傾向があるといえます。

 


 最後にスマートフォンについてですが、この機器は私達にとっては常に身近にあり、ある意味身体の一部のようになっています。
 私たちは何か不審なこと、不安なことがあった場合インターネット上にどのような情報があるかを調べ、その情報をもとに各事象の信頼度や価値を決めています。

 また、たくさんの情報が押し寄せることに慣れたおかげで、広告などに対する抵抗は少なくなりましたが、集中力が持続しないという問題もあります。

 インターネットを通じたアドバタイジングでは、長期的なストーリー性のあるものよりも、短い時間(5秒くらい)のなかでどれだけ脳裏に残るようなものを提供できるかが勝負になるかもしれません。


 以上、消費行動の扱いづらさ(マーケターの視点)の解説でした。



②モチベーションの扱いづらさ(上司の視点)

 おそらくこれが最も顕著です。端的に言うと、Z世代は自分の行為に意味と合理性をもたせようとします。つまり自分で意味のない行為だと思ったことはあまりやりませんし、無駄を省こうとします。なおかつより良い方法を見つけようとする傾向があります。

 このことを僕が強く実感したのはある時の英語の授業のときでした。授業の最後に先生が、教科書の全文を写し品詞分解をすることを宿題として出したのですが、実際やってきたのは40人中たったの7人。その他の33人は教科書に品詞分解を直接書き込んだり、音読をしたりしていました。
 実は僕もその一人で、僕は頭の中で「教科書の全文を写し品詞分解をする」という課題を2つの段階に分けていました。すなわち、「教科書を写す」という段階と、「品詞分解をする」という段階です。そしてそれらの目的をそれぞれ考え、与えられた課題を、効果・意味は同じであるがかかる労力が圧倒的に少ない代替案、つまり「教科書を音読し品詞分解を書き込む」に変換したのです。
 


 これを仕事に置き換えれば、こまめなフィードバックを求めることが多くなるとわかります。これは、自分の仕事の意味や、自分は仕事に貢献しているのだという意識をモチベーションの維持に必要とするからで、自分の仕事が与える影響をより知りたがる傾向にあります。そしてこのことが、Z世代を扱いにくくしているようです。

 つまりモチベーションを維持するためには、行為と意味の関係をはっきりとさせてから仕事を与える、もしくはそれがわかりやすい環境にする、という方法が必要だと考えられます。

 以上、モチベーションの扱いづらさ(上司の視点)でした。



③つながりの扱いづらさ(社会全体からの視点)

 これはインターネットによるところが大きいです。
 みなさんの知る通り、情報化の進行とともに人と人との繋がり方が変化しました。これはミレニアル世代にも言えることだと思うのですが、実は構造が少し異なります。

 ミレニアル世代のインターネットはどちらかというと一人対不特定多数でした。例えば掲示板などは、一人がインターネット上に何らかのアプローチをし、それに不特定多数が答えるという仕組みです。
 しかし僕たちが経験したインターネットは少し違い、twitterなどのように自分たちでコミュニティを作ることができます。
 これはミレニアル世代が経験したものよりもより現実に近いものだと言えると思います。そのため、現実世界での人とのつながりにインターネット上でのつながりも大きく反映されます。一部ではインターネット上でしか会わなくても成立するつながりがあるほどです。
 このことがZ世代の人間関係を理解しづらくしており、結果的に扱いづらくしています。

 僕たちZ世代はインターネット上にも繋がりの重きをおいているので、その面を理解してZ世代の一個人を理解しようと努めることが、より良い関係づくりの役に立つかもしれません。


 以上、つながりの扱いづらさ(社会全体からの視点)でした。


まとめ

 ポストミレニアル世代が叫ばれて久しい今日、新しい世代への理解が必要になってきていると思います。今回は、3つの視点から扱いづらさの解説をしましたが、いかがだったでしょうか。
 読んでくださった方々が少しでもZ世代への理解を深めて下さり、今後のマーケティングの種となるようなものを見つけてくださったならば嬉しいです。
 これからも素晴らしいプロダクト、サービス、アートを生み出していってください!
 長い文章でしたが最後まで読んで下さり、本当にありがとうございました😆
 

p.s.
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