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良質なアンソロジーで新しい出会いを楽しむ「おうむの夢と操り人形」

<SF(28歩目)>
粒ぞろいの才能が揃う良質なアンソロジーで新しい出会いを楽しむ。

おうむの夢と操り人形 (年刊日本SF傑作選)
大森 望 (編集), 日下 三蔵 (編集)
東京創元社

「28歩目」は年度SF傑作選。

この「傑作選」というのが曲者であり、全てがすごいわけではない。(笑)
でも、「アンソロジー」として考えると、色々な才能との出会いの場になる。

自分自身に「合う」作家が見つかれば、「良い出あい」として、出あった作家を追って行けばいいと思う。

私は、藤井太洋さんの作品に期待して手に取ったが、感嘆したのは(順不同);

「わたしとワタシ」(宮部みゆき)

宮部みゆきさんは、まさに万能選手だと痛感しました。
なんともユーモラスながら、押さえるところが押さえられていて、イイ感じに仕上がっている。

高校時代の自分が、40代の自分に会ったら、ショックで卒倒するだろう。「何だよ、俺は金正恩みたいになってるよ~」「デブチンじゃないか!」と。(笑)

「検疫官」(柴田勝家)

柴田勝家さんは、キャラが立っている。且つ、有能で多才なことがわかる作品。

今どき、「儂(わし)」は無いだろう~と思うが、それが彼の地だから仕方ない。(笑)

「おうむの夢と操り人形」(藤井太洋)

藤井さんのポケットには、最新のITのネタと「愛(love)」のネタが大量に入っているのだろう。組み合わせると、すべて上質なSF作品になるのがすごい。あらためて「大好き」です。

「東京の鈴木」(西崎憲)

西崎さんは、作家であり、編集者でもあり。新人の発掘の目利きでもある。
ご自身の作品は、きちんと押さえるとこを押さえていて、いつも読ましてくれる。

「クローム再襲撃」(宮内悠介)

宮内悠介さんは、まさに万能選手。
デビュー作の「盤上の夜」で文体の精度の高さに驚いて、以降の全ての作品が愛読書になっている。

なんでもこなせる万能選手の才能が素晴らしい。早稲田大学の「ワセダミステリクラブ」出身の巨星です。

「幻字」(円城塔)

円城塔さんは、もっともハードな「文字」「文法」にかかわるSFはすごい。いつも新しい世界を切り開いてくれる。東北大を愛する恐るべき作家だと思います。

「1カップの世界」(長谷敏司)

長谷敏司さんは、実はハードな方向のSF作品になるとついていけなくなる。(笑)

私にとっての傑作は、「あなたのための物語」と「My Humanity」と「プロトコル・オブ・ヒューマニティ」で、どうも特に「Humanity」という単語が入った作品の相性がいい。
切ない「愛(love)」の名手だと思います。

「グラーフ・ツェッペリン 夏の飛行」(高野史緒)

高野さんは、ほぼ同世代の作家で、デビュー以来読み込んでいる。才能に溢れているので、あらゆるジャンルの作品を書かれている。

私はSF作品の質の高さから、「SF」の道が一番でしょう!とお伝えしたい。(生意気で申し訳ございません。)

この傑作集を読むと、ここ最近の日本のSF界では、百合(ガール・ミーツ・ガール)が大流行りでしたが、ジェンダーに関係なく丁寧に「愛(love)」を語ってもらいたい。

おそらく世界に発信する時には、日本SFって「科学」「技術」ではなく、「世界観(発想)」と「愛(love)」だと思うから!

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