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甥っ子と母の思い出の貯金箱

私には3人兄弟の甥っ子がいます。
わたしより5歳上の姉の子です。
いちばん下の子は、わたしの息子と同い年の20歳。
今回は、そんな甥っ子と今は亡き母の思い出の貯金箱のお話しをします。

甥っ子の後悔

ある日、姉と久しぶりに電話で話をしていました。
その中で、甥っ子が「ずっと後悔していることがある」という話を聞いたんです。

甥っ子たちは、姉の旦那さんの実家で暮らしていましたが、決して幸せな生活とは言えませんでした。
実の祖父と祖母、父親からひどい扱いを受けていました。
姉が仕事のときに、心配でうちで預かったこともあるほど。
姉から話を聞くたび「子どもを連れて出た方がいい」と何度言ったか分かりません。

そんな環境だったので、甥っ子たちは次第に反抗的になっていきました。
それでも、わたしの母やわたしに対しては本当に優しい子たちで。
とくに、わたしの母のことは大好きでした。
母だけが、甥っ子たちに愛情を注いでいましたから。

ある日、いちばん下の甥っ子に、母がプレゼントしたものがありました。
母が使っていた「ブタの貯金箱」です。
昔ながらの、陶器でできた貯金箱。

それを甥っ子が「かわいい」と言ったことから、母があげたそうです。
甥っ子は、すごく喜んで持って帰りました。
ところが、当時3歳の甥っ子は落として割ってしまったそうで、それを未だに後悔しているというのです。
「ぜったいに同じ貯金箱を見つけて、ばあちゃんの写真と一緒に飾るんだ」と言っていると。

もう母が亡くなって7年が経とうとしています。
何とかしてあげたいと思い、姉からもらった写真を頼りに探し始めました。

運命的な出会い

さっそくネットで探してみますが、古いものなので同じものが見つかりません。
新しいものが欲しいと思いましたが、すでに生産終了しており、会社もなくなっていました。

仕方なく「中古でも…」と思い、メルカリなどで探しましたが、色違いや似ているけど微妙に違うものしか見つけられなくて。
やっと似ているものを見つけても、傷や汚れがひどくて買う気になれませんでした。
その後も、いくら探しても見つからず、諦めて姉に連絡しようと思いました。

それでも、やっぱり諦めが悪いワタクシ。
「もう1回だけ探してみよう」と、もう一度メルカリを探しました。
すると前日までは見つけられなかったのに、姉からもらった写真と同じ貯金箱を発見したのです!

形も色もまったく同じものでした。
しかも傷も汚れもない美品です。
すぐに写メを姉に送り「同じものだと思うけど買う?」と聞きながら返事を待たずにポチっていました。

姉も写メを見て興奮しており、甥っ子の願いを叶えられると思うと嬉しかったです。
数日後に貯金箱が届き、割れないように綺麗にラッピングして、その時を待ちました。

あふれる笑顔

甥っ子には姉から渡して欲しいと思い、少しの間わたしが預かっていることに。
後日、姉が一人で取りにくると思っていましたが、甥っ子も一緒にきてくれました。
すっかり大人っぽくなった甥っ子。
挨拶もそこそこに渡すと、さっそく開封して「これだ!」と小さな子どものように大喜び。
満面の笑顔が見られて、頑張って探した甲斐がありました。

甥っ子の喜ぶ姿を見て、姉とわたしも笑顔に。
見つけることができて、本当に良かったです。
今ごろ、母の写真の隣に飾って毎日眺めているでしょう。
きっと、雲の上から父と母も一緒に笑顔で見守ってくれていると思います。
これから甥っ子が、笑顔であふれる人生を送れますように。


最後までお読みいただきありがとうございました。
また、お越しいただけたら嬉しいです♪


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