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ザワザワと揺れる木々の音。
「昔の彼氏に似ているの」
僕の瞳を真っ直ぐに見つめながら、頬を両手でそっと包み込む。
「面倒はことは嫌いでしょ。」わたしもそうなのと言って、
キスしそうな唇をとがらせて笑ってみせた。
「お願い、ただ温もりを感じていたいだけだから…」
僕の背中に手を回す肩は思っていた以上に華奢で、
凛とした立ち姿に強さえ感じていたのに
あなたはこんなにもかよわい人。
俯いたままのあなたは、何を考え黙っているの?
両手いっぱいの檸檬。
両手にいっぱいの檸檬を抱えて、家に帰る。
薄くスライスして檸檬をつけるシロップは楓の蜜でつくりました。
ふたりは同じ部活で知り合い、ショートヘアのあなたは、明るく朗らかでみんなの人気者。
帰り道が同じ方向のあなたとわたしは、電車に揺られます。
あなたはわたしをドアの隅にかばうから、わたしの視界にはあなたしか入らない。電車のドアが開くたびに近づくあなた、揺れる度にドキドキする鼓動、わたしが緊張し
こぼれる涙が確かにわたしを強くした。#シロクマ文芸部#月めくり
月めくりのカレンダー。
もしも、捲るごとに時が戻るなら、今まで捲ってきた何枚もの時間をわたしはあの頃まで巻き戻していくでしょう。
幸せだった日々、今は叶わない夢、もう一度やり直したい、あの頃へ。
あの時、あなたの話をもっとちゃんと聞いてあげてたら、何かが今と違っていたかもしれません。
歪んで狂って仕舞った人生に、途方に暮れるうつろな瞳。不安に押しつぶされそうになりながら歩く路、先の見えない暗