ピニャコ(カ)ラーダ

ピニャコ(カ)ラーダ

ヒグラシの鳴く夏の夕方、みつはピアノで夕焼け小焼けを弾いてました。

♪おーててつないでみなかえろー
カラスと一緒に帰りましょー♪

「アタシも、もう帰ってフカフカ毛布でくるまって寝たいにゃ!」

「何言ってんのねね、まだお店は開いたばかりだよ!
看板猫ちゃんとしないと、オヤツ抜きだからね!」

「ヘイヘイ・・・。」

そこへ、

チリンチリン♪

どこか、そこはかとなく憂いを帯びた表情の女性が来店した。

「いらっしゃいませ、なんに致しますか?」

「どぉしたにゃん?悲しそうな顔をして。」

「あはは・・・別に悲しいわけじゃないんですよ、昔の事を思い出して、ぼーっとしてただけですよ。」

「ボーっとしてるって、みつと同じにゃんね、ところで、昔の話って何にゃん?」

「私、今40なんですが、30位の時に好きな人が出来て、と言うか、見てるだけで好きだったんです。」

「そうにゃの?」

「最初は、職場の上司だったのですが、見た目もチャラチャラしてたから、信用出来ないって思ってたんです。
でも、一緒に関わっているうちに、熱血漢で責任感が強くて、信頼出来るリーダーだと思い始めたんです。
そしたら、何でか好きになって・・・。」

「彼女いたにゃんか?」

「いたんです。美人な方だそうです。
そんな方がいて、私が彼を思ってたら、きっと迷惑だと思って、でも、相手を思うだけなら迷惑かけないと思ったんです。」

「唯一私が出来たのは、彼が付けていた香水、サムライのレディース物で、サムライウーマンシェリッシェを愛用することでした。」

「付きまとってなんかないにゃんかね?」

「付きまとうだなんてそんな!!第一、近づけません!!」

「思いは伝えたのにゃんか?」

「はい・・・手紙で。」

「読んでいただいた後、彼から、俺に女いるの分かってるよな?と言われ、はい、すみません・・・と言ったらごめんなと言われて、何だか吹っ切れました。人を好きになるって素敵な気持ちを教えてくださってありがとうございますって気持ちでいっぱいです。
だから、あれは私のいい思い出です!」

「にゃんだ、答えは出てるんにゃね、今回はねね様の出番はないにゃんね。」

「みつ!このヒトに何か出すにゃんよ」

「はいはい・・・かしこまりました。」

材料…ラム(ホワイト)…30㎖
パイナップルジュース…80㎖
ココナッツ・ミルク…30㎖
カットパイン、ミントチェリー

作り方…シェイカーに、ラム(ホワイト)ベースに、パイナップルジュース、ココナッツミルク、を入れてシェイクして、カクテルグラスに注ぎ、カットパインとミントチェリーを飾って・・・

ピニャコ(カ)ラーダ8度甘口の出来上がり

「どうぞ。」

1口含むと、ラムの濃厚さにパイナップルとココナッツのまろやかな甘みが口いっぱいに広がる

うーん、フワッとした感じ、良いわー。

ピニャコラーダの言葉は、淡い思い出。

後ろに少し戻ったら、前に歩きましょう!!

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