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老人ホームから精神科への道

先日、老人ホームのバイトに行ったときのこと。
久しぶりに入ったフロアにNさんの姿がない。
もしかして?

「Nさん、入院されたんですか?」
「そう。精神科にね。」

額をたたくという方法で人を呼んでいたNさん。自傷行為とみなされたのだろう。
彼はただ話を聞いて欲しかっただけで、ただ気を向けて欲しかっただけで、自分がここにいるってこと、生きてるってことの実感が欲しかっただけで、その手段が額をたたいて注目を得るという表現になっていた。
自分を傷つけたかったんじゃなくて、自分を傷つけてまで注目が欲しかったんだ。
実際に「僕だってどうやったら人が来てくれるか考えてるんだよ!」って言ってた。
寂しいし、虚しいとも言ってた。

精神科へ入院となると、おそらくだけど投薬によってだんだん感じることも鈍麻していくんじゃないかなぁ。鈍くなれば確かに寂しさとか虚しさとか感じなくてもいいのかもしれない。ある意味楽になるのかもしれない。
だけど、人間らしさが欠けていくようで悲しい。
人間として生まれてきた喜びも同時に失っていくようで悲しくなる。

今日、初めて行った老人ホームでも認知症とともに精神疾患があるとみなされていた入居者さんが精神科に入院されたという話を耳にした。

何をもって疾患というのだろう。
人間らしさってなんだろう。




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