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豊かさのおすそわけ

昨日のグループホームにて。
昼食後、「歯磨きしましょう。」とNさんに声をかけようとしたら、窓の外を何やらじっと見ている様子。
「何を見ているの?」と声をかけると、
Nさん「あのな、あれ、うーんと・・・」
わたし「石垣?」
Nさん「そう。石のところに動物がな、ほらな。」

わたしには、何も見えない。

わたし「なんの動物?」
Nさん「モンキー!」
わたし「あぁ、サル?おさるさんが見えるの?」

よく見てみると、石の壁面に写っている影がサルの形をしていた。しかも木にぶら下がっているかのよう。

わたし「あっ、ほんとだー。おさるさんが木にぶら下がってるみたいだねぇ。」
Nさん「そうそう。ぶーらんぶーらん。」

風で木が揺れると、サルがぶらんこをしている姿そのもの。
Nさんとふたりで盛り上がる。

豊かなひとときだった。

Nさんがおもしろいと感じているものを見て、わたしもおもしろく感じた。わたしに伝えたいことが伝わったときのNさんがとても嬉しそうで、わたしも嬉しかった。
じゅわ〜っと内側から満たされていく。
愛おしいような感覚。

数十分も経てば、陽がさがり、あの影はもうない。

あぁ、たのしかった。


今日の1冊
『あさになったのでまどをあけますよ』
荒井良二

息子が小さい頃、読み聞かせていた絵本。
荒井良二さんの絵が好きで、ワクワクしながら購入した1冊。
何気ない日々の中にある豊かさ。
朝の風景がすてきに描かれている。
昨日の一場面も、この絵本の1ページのようだった。

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