るにぽぬた

合唱団に入っています。ピアノを少しだけ弾きます。 写真は自分で撮影したものです。日の丸…

るにぽぬた

合唱団に入っています。ピアノを少しだけ弾きます。 写真は自分で撮影したものです。日の丸写真で申し訳ないです。 能登半島地震で被災した経験をもとに小説を書くことにしました。 合唱団の再開の見込みはたっていません。

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(仮)被災者になるということ~能登半島地震より 目次と概要

    • 小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第23話

      1月23日 朝は紙コップにおかゆが入っていた。 2つの小袋がついていて、うめのふりかけと塩だった。 見たことがない小袋だった。 あたたかいおかゆがありがたかった。 息子はおかゆを食べないというので、義父母の家から持ってきたみかんを渡した。 お菓子セットの中にあったミニフィナンシェも渡した。 地震前は食べなかったのだが、食べられるようになったのだという。 好き嫌いの多い息子が、支援物資をきっかけに食べられるものが増えたことがうれしかった。 息子は今日は登校した。 授業は午

      • 小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第22話

        1月22日 今日も息子の熱はなかったため、検査もしなくていいとのことだった。 やっと少しほっとした。 今日も念のため、学校は休むことにした。 手洗い用の機械が玄関に置かれるようになった。 センサーにより自動で水と石鹸がでるものだ。 これは水をろ過して、循環して使うシステムだという。 ボウルのふちにLEDがついていて、青い光が素敵だがエコではないような気がした。 近くに置いてあるペーパーで手を拭いてペーパーを捨てる。 衛生的になって、本当に嬉しかった。 朝ご飯はお菓子のセ

        • 小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第21話

          1月21日 やはり、熟睡できるような環境ではなかった。 早い人は5時頃から起きていた。 6時頃には目覚ましのタイマーの音もいくつか聞こえた。 朝は7時に電気がついた。 体育館の責任者の人(もちろん避難中の人)が、朝ご飯の準備ができるました、とりに来てください、とマイクで言った。 インスタントのお汁粉だった。紙コップに入ったものが配られた。 薄いお餅が2枚入っていた。 息子の熱はなかったので、検査はしなくてよかったが、学校は休みにした。 お汁粉は食べないので、残っている保

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        (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 目次と概要

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第20話

          1月20日 朝ご飯は缶入りパンとペットボトルの水が配られた。 缶入りパンは食べず、まだ残していたスイートポテトを食べる。 白湯も飲む。 なぜかウインナーに粒マスタードをつけて食べたいと思う。 ここ数年、ウインナーは油っこいと思って、全然食べていなかったのだが 体が求めているのだろうか。 今日は私の隔離解除の日だ。 夫は熱がまだ下がらないそうだ。 夫の検査結果が出るまで、隔離部屋で待つことになった。 息子も微熱があるそうで、夫と一緒に検査をすることになった。 結果は夫は陽性

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第20話

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第19話

          1月19日 朝ご飯はりんごと缶入りパンだった。 りんごと昨日のスイートポテトの残りを食べた。 父はめでたく隔離解除になり、早々に部屋を出て行った。 今日は弟の家の留守番をすると言っていた。 私は一人になって、スペースが少し広く使えるようになった。 新しい家族が二組入ってきたが、熱はなく、咳だけのようだった。 お昼は駐車場にキッチンカーが来ているのを、Mさんと上から眺めていた。 というのも、お昼ご飯が遅くなるという放送があったからだ。 キッチンカーで親子丼をつくっている

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第19話

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第18話

          1月18日 隔離部屋のみんなは、熱はあまりないようだったが、咳が多かった。 夜や朝は咳が多くなる。 私はまだ声がかすれていたが、咳はかなり減ってきた。 父も元気いっぱいで、退屈そうだった。 コロナとインフルは落ち着いてきたが、ノロウイルスが増えそうだという 放送があった。 病み上がりでインフルやノロウイルスになりたくない。 冗談ではなく、生命の危機を感じる。 朝ご飯は、お中元とかによくあるカップ入り水羊かんとスイートポテトひと箱(4個入り)だった。 スイートポテトは金沢

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第18話

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第17話

          1月17日 朝ご飯は離乳食のお米のやわらかいおせんべいだった。 7ヵ月からとあり、お湯をかけると即席おかゆにもなると書いてあった。 はちみつ湯に浸しながら食べた。 元気な人にもこれが配られたのかはわからないが、私には食べやすかった。 今日も看護師さんの計測があった。 体調は確実に良くなっている感覚があった。 看護師さんに声がまだ出ないと言ったが、日にち薬で良くなりますよ、と言われた。 日にち薬は関西の言葉だろうか。 私は関西のK府に住んでいたことがあって、その時に聞いたこ

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第17話

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第16話

          1月16日 やっと平熱になった。 のどの痛みは昨日よりも少し良くなっていた。 朝ご飯は乳酸菌入りビスケットとりんごだった。 りんごは少しずつかじって歯ですりおろすようにして食べた。 W県の赤十字の看護師さんは非接触の体温計を持ってきて、測ってくれた。 それだけでも格段に設備が良くなったように感じた。 水分も少しであれば飲めるようになった。 やっと経口補水液を飲めるようになったが、飲んでものどがチクチクするように痛い。 はちみつ湯なら少し痛みが和らぐので、はちみつ湯にする

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第16話

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第15話

          1月15日 熱は37度台になり、体は少し楽になった。 起き上がる途中の姿勢が喉に絡みやすいこと、そして痰を出すにはうつ伏せの姿勢がいいとわかった。 そのため、ずっとうつ伏せで痰を出し続けた。 点滴のおかげか、昨日よりも痰が切れやすい。どんどん出てくる。 ただ、何を食べても飲んでもむせるのは同じだった。 なめるだけならむせないことにも気づいたので、はちみつ湯も箸につけてなめるだけにする。 ひたすら箸をなめる。 虫になったような気分だ。 薬もむせてしまって何度も失敗するので、

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第15話

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第14話

          1月14日 朝、何気なく起き上がるとヒューっという変な音がして、痰がからんで息ができなくなった。 慌ててシンクにいって、痰をはいた。 粘っこい黄色いものが出てきて、息ができるようになった。 父が背中をさすってくれた。 これがコロナの怖さなのだろうか。 Kさんが、赤十字の人を呼んで処理してもらったほうがいいといって、 電話をかけてくれた。 隔離部屋には何かあった場合にかける電話番号が貼ってあった。 例えば、ラップポンの袋がなくなった場合もそこに電話することになっていた。 電話

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第14話

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第13話

          1月13日 朝、8時ごろ父がやってきて、38度の熱があると言った。 医師が保健室にくるのは9時からなので、それまで待たなくてはいけなかった。 昨日の夜、父のところに母から連絡があり、7時間かかって、スポーツセンターについたそうだ。 今でも7時間かかるとは思わなかった。 でも無事についてよかった。 放送で食料事情が悪くなっていると説明があった。 朝ご飯は長期保存のお菓子と水だった。 お菓子は乳酸菌の入ったクリームをサンドしてあるビスケットだ。 ちょっと酸っぱいのであまり好き

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第13話

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第12話

          1月12日 朝は賞味期限切れの菓子パンだった。白湯と一緒に食べた。 母と祖母のシャワーの順番は9時からで、一番最初だった。 スタッフの人からシャワーの使い方の説明を受けた。 一人15分だが、二人同時なので、30分で大丈夫と言われた。 昨日の予定通りにシャワーを行い、祖母をバスタオルで拭いて、服を着せた。 ドライヤーが手洗い場に置いてあると聞いたので、かけてあげた。 しばらくしてから母がきて、さっぱりしたと言っていた。 私も生理が終わればシャワーを浴びたい。 普段冬にシャワ

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第12話

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第11話

          1月11日 朝ご飯はいわし缶、水、おかきだった。 おかきはお米だし、朝でも食べやすい。 いわし缶は昨日と同じく、食べた後の缶の汁のにおいが気になるから食べない。 1.5次避難が今日ではなく、明日の12時に変更になったという連絡がきた。 義父母にも連絡をした。 今日出れると思っていたので、ちょっとがっかりしたようだった。 地震になってから時間などが変更になることはよくあった。 振り回されている感じはしなくもないが、それだけどこも混乱しているのだろう。 給水タンクが駐車場に

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第11話

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第10話

          1月10日 今日は朝から気が重かった。 朝は缶入りビスケットだったが、おやつレベルの甘さだった。 こんなものを朝から食べられない。 少し食べてやめた。 これなら乾パンのほうがましだ。 放送でトイレ掃除のボランティア募集があった。 今いる人たちだけではとても手が回らないという。 できる時だけでいいというので、登録しに行った。 今だって、祖母の付き添いで簡易トイレの処理をしているのだから、同じようなものだ。 1.5次避難が明日の10時になったという連絡があった。 手荷物は

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第10話

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第9話

          1月9日 朝、本部のSさんがランチルームに私を訪ねてきてくれて、2次避難は認知症でも大丈夫だと教えてくれた。 朝食の期限切れおにぎりを食べた後、 夫と二人で義父母の家に歩いて行った。 義父母に1.5次、2次避難のことを説明した。 停電も断水もいつ解消するかわからないし、 食べ物だってまともなものはないのだから しばらくの間、金沢に避難するほうがいいと勧めた。 義父には、家にいてもお風呂に入れませんから、入れるところに行きましょうと言った。 義父はお風呂に入りたいねぇと乗り

          小説 (仮)被災者になるということ~能登半島地震より 第9話