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半世紀前から普通の人生に挑戦した車椅子おばあちゃんの物語

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語1~58
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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語①

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語①

はじめまして

はじめまして、
高校卒業後の半世紀の記録を書いていきたいと思います
脳の老化防止も兼ねていますので
一部にフィクション、妄想、記憶違い、思い込みありますが、
ご勘弁ください(;´∀`)

私は、昭和20~30年代に猛威を振るったポリオウイルスに
生後10か月で感染し
その後遺症で首から下はほとんどマヒがある
車椅子ユーザーです。

それでも3年前くらいまでは、
車を運転し、

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語②

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語②

きっと来年も不合格

「行ってきま~す」
「いってらっしゃ~い」
「行ってくるね~、お昼ご飯テーブルの上にあるから~」
「は~い、行ってらっしゃ~い」

両親と兄と妹
朝みんなが出かけてしまうと、がらんとした家にひとり
し~んと静まり返った部屋
あ~あ、学校にいたときは今頃
「おはよう!」「おはよう!」って
さあ、今日も一日がはじまる!
そんな時間を過ごしていたのに

でも、現実は
一人では何

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語③

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語③

新しい挑戦!

家族が出かけた後の静まり返った家でひとり、
考えて、考えて、考えて、
(今から思うとスマホもネットもPCもない中どうして考えついたのか不思議なのですが)

「そうだ!」
「大金を払って勉強するより、働いてお金を貰って、それでいろいろ勉強したほうが得じゃん!」とひらめいてしまった。
「そうだ!そうだ!」
「もう受験勉強しなくていいし!」

よーし!また挑戦だ!

えーっと、働く

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語④

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語④

運転免許証取得、就活へ

自動車学校に通い始めました。

普通に他の人達と一緒に学科の授業を受けて、
教習車はだいぶくたびれた「ニッサン サニー」
手だけで運転できる装置に改造してあります。
初めて運転席に座って、車椅子は積み込まず、
教官が邪魔にならないところへ移動してくださいました
キーを回し、エンジンがかかった時はワクワクして!
右手を旋回装置に固定して、
オートマチックのギアをドライブに

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑤

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑤

採用!普通のOL生活が始まった

それからしばらく日にが過ぎて
「今日、先方の所長さんがちょっと会いに来るそうだから、
部屋で待機していて」
と、担当指導員から言われて
いつ呼ばれるかとドキドキ緊張しながらベッドの上で待っていると

「あ、どうも、こんにちは、はじめまして、」

スラっと背が高く、色白で、大きなぱっちりお目目の30代くらいの
素敵な男性が部屋に入っていらっしゃいました。

「こんに

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑥

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑥

ぶんなぐってやりたい

お昼を知らせるチャイムが鳴り、廊下には長い列ができ始めました。
障害がある人も、無い人も作業着姿です。
ランチは広い社員食堂のようなところで、お盆を車椅子の膝の上に乗せ
セルフサービスで給食をいただきます、
こういうことも初めての挑戦です
「小盛おねがいします」
「はいよ~」
調理員の方が温かい料理を盛り付けてお盆に乗せてくださいます。
最初はひっくり返しそうで心配でしたが

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑦

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑦

家を出た~い!

そんなこんなで、すったもんだのいろいろあった3年間が過ぎ
仕事にも生活にも慣れてくると
またまた何だかうずうずしてきました。

「?」
「なんか違う」
このままではいつまでも自立ができない
だって、働いてはいるけれど、
家に帰ればなにもかも親がかり
食事も洗濯も掃除も買い物も全部
やってもらっているではないか

私が家にいたら兄に嫁が来ないかもしれない
両親にもしものことがあ

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑧

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑧

女の子を産みなね、お雛様買ってあげるよ

「あのね、結婚したいと思うんだけど」
母にそう打ち明けたのは、よく行くデパートのレストラン
ひな人形の売り出しが始まっている頃でした。
「おめでとう、いいんじゃない、がんばれ」
うすうす分かっていたようで、母はよろこんで応援してくれました。
食事を済ませお店を出ると、華やかなひな人形の段飾りが所狭しと並んでいます。
「きれいだねぇ」
それを見て母は車椅子の

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑨

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑨

父の暴走 普通の結婚式

結婚式をどうするか、ゼクシィなんてありません、
結婚式を挙げた知り合いや友人もあまりいなかったと思います。
当時、仕事の関係でお世話になっていた福祉事務所
(補助金をもみ消した市ではなく実家の管轄の福祉事務所です)
の方に相談してみました。
すると、とっても親切に
「市の福祉会館がいいよ。僕もそこで式を挙げたんだけど、エレベーターもあるし、車いす用のトイレもあるし、車いす

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑩

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑩

てんやわんやの 普通の結婚式

実は、結婚式当日の記憶はほとんどありません。
憶えていることと言えば
挙式の時に私達新郎新婦の前を歩くはずのフラワーボーイ
牧師さんの息子さんにお願いしてあったのですが
ご機嫌斜めで、急遽他の女の子にお願いしていた情景
牧師様の
「汝、病める時も、健やかなるときも・・・」
「誓います」
の後の
「では、誓いの・・・」が
「誓いの握手を」
と言われたこと

五月晴れ

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑪

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑪

ぶりの照り焼き、いなだ?

とりあえず、お買い物
昭和55年(1980年)
ネットスーパーもAmazonもありませんでしたが、
団地のすぐ裏手にはお肉屋さんとお米屋さんがあり、
少し先のバス通りには小さな商店街もありました。
お肉屋さんは車椅子でも行ける距離だったので、
夕方帰宅してからポテトサラダやコロッケ、
生姜焼き用の豚肉や合いびき肉などを買い夕食に間に合わせ、
お米屋さんはすぐ近くですが配

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑫

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑫

そろばんとコンピューター

パチパチパチ、パチパチパチ
パチパチパチ、パチパチパチ
ザッ、
パチパチパチ、パチパチパチ
パチパチ・・・

しんとした事務室に
そろばんをはじく音が響きます。
1980年代
まだまだアナログ
手書きと、そろばん(時々電卓)の事務仕事です。
経理も会計システムも表計算ソフトもワードプロセッサーも
ありませんでした
毎日複写伝票を起こします。当時は3事業所あり、
伝票の

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑬

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑬

車椅子担いで「渡っちゃえ~」?

旅に出ました
北陸、金沢、能登半島2泊3日

朝の京都駅のホームです。
若いイケメンの駅員さんに車いすを押してもらって
舞い上がってます。Sパイセンとわたし。
これが、間違いの始まりでした

東京駅で新幹線に乗る前に旅費をATMで引き出す予定でしたが
何故か
「京都駅でおろせばいいよ、時間あるし」
「あ、そうだね」

ところが、京都駅でイケメン駅員君に出会っ

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑭

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑭

ハワイ!

空港に到着
またまたイケメンのスタッフがお出迎え
素敵な笑顔で「アロ~ハ~」と
車いすを押してくれます。
空港には甘い花の香りが漂い
ウェルカムのブーゲンビリアのレイを首にかけてくれます

そうです!
ついに!
憧れのハワイ!
今回はツアーではなく、M課長とTちゃんと3人の女子旅です!

TちゃんはSパイセンの後継者です
Sパイセンは、めでたく寿退社をされたのでした。
車椅子のM課

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