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カラフル ☆68

小4くらいの時の話。図画工作の課題に「ステンドグラス」が出た。

小学生の事だから、本物のガラスではなく、黒い画用紙をカッターで切り絵のようにくり抜いて、裏からセロハンフィルムを貼ったものを、そう呼んでいた。

普通の絵とは違うので、クラスメート達はみな図案に悩まされているようだったが、

私は瞬時にアイディアが浮かび、黙々と作業を進めていた。

画面いっぱいに、大きくアゲハチョウの絵を描いて、切り抜いたのである。

私は図画工作が得意であったし、本来が昆虫少年なのだから(虫の絵はお手のもの)、これは失敗する筈がなかった。

制作中、私の作品を覗きに来たもの達は、口々に「すげぇ!!」などと声を漏らして行ったし、担任まで「おお!!」と驚いていた。

我ながら見惚れる出来栄えであった。後はカラーセロハンを裏から貼れば良いだけである、

私は何の迷いもなく、イエローのフィルムを貼り付けた。

素晴らしい作品が完成したのだが、それを見た担任が、

「あれっ?そうしちゃったの?・・・もったいないなぁ・・・」などと微妙な感想を口にした。

「えっ、?!」

「もっとカラフルにしたら良いのに、色は沢山あるんだから。」

これだから素人は困る、と私は内心思った。そのくらいの事は、私だってもちろん考えたのだが、その上で結局はこうしたのだ。

「いやぁ、やっぱり自然に近い色が1番ですよ。」

「そうかー、お前がそう思うならそれでいいけど、・・・もったいないなぁー」担任もそれ以上は引き下がるしかないのだった。

だが、しかし、

そのステンドグラスは廊下にも貼り出されたが、担任と同意見の声を幾つか耳にした。

そして、家に持って帰ったので、家族に見せてやると、やはり担任と同じような事を言われてしまったのである。

つまり、「この作品は確かに素晴らしいけど、もったいないな」である。

う〜ん、・・・・そうなのかな?

でも、・・・しかし、・・・

少し、試してみるべきだったかなぁ?

何十年もたったが、まだ良く覚えている。


私もかつてはよく絵を描いたが、カラフルな色使いは、苦手かも知れない。これは、私が北国育ちのせいだろうか?

南国の海に泳ぐ魚や、蝶、シャツの色、海の色、正直美しいと思うが、真似できないような気がする。

しかし、

ココ・シャネルは言っている。

「たくさんの色を使えば使うほど、 醜くなるということを、女たちは気づかない」

彼女は黒が最も美しいとして、自身も黒を着て、世界中の女性にも黒を着せようとした。

カラフルも良いけれど、私は落ち着いた色を好む傾向があるようだ。

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