「大丈夫」とは?(2024/02/06)
夫は能登で生まれ育っており、夫の親きょうだいは能登に住んでいます。令和6年能登半島地震により、被害を受けた地域です。(自分たちは関東在住です。)
私は身近な人が被災した経験は初めてで、地震が起きてからこれまでの間に考えたことを何度か記事にしてきました。
↓こちらの記事では、発災直後に近しい関係性ではない人が安否確認を取ることについて感じたことを書いています。
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地震が起きてから数日の間、私は夫の親族に直接連絡を取ることは控えていました。その時期に連絡を取り合っても良いのは夫だけだと思っていたので、毎日、「何か連絡はないか?」「大丈夫なの?」と夫に聞いていました。
そんなある日、夫から私宛に、LINEで下記の記事のリンクが送られてきました。
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全部で4ページある記事です。少し長いので要約すると、東日本大震災時に大学生だった方が、ご実家が福島県のため、「大丈夫だった?」と聞かれるたびにつらかったという経験談に基づく記事です。
この記事を読んでハッとしました。この時点で夫と私が、義実家について把握していたことは概ね下記の通りです。
・夫の親族の身体は無事
・夫の親族の家屋は住める状態ではある
・断水している
・市内の様子は道路や建物の被害が大変なことになっているようだ
・日常生活とは程遠い状態だと想定される
私が夫に日々連絡があったかどうか聞いていたのは、自分では「心配して」言っているつもりでしたが、既に報道などでは、夫にとって思い入れのある地元の様子がひどい状態になっているのはこちらにいる私たちでも知るところであり、それだけでもかなり心を痛めていたのだと思います。
本当に心配していましたが、所詮私は姻族であり、能登は私にとって結婚後に足を運ぶようになった場所で、夫にとっては生まれ育った場所であり、その点では、彼にしてみれば私は完全に「他人」かもしれません。
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それから数日後、私の義実家が能登であることを知っている人から「大丈夫だった?」と聞かれることが増えました。
簡潔に、「親族と家屋は無事だった。断水が続いていて元の生活には戻れていない。近隣は大変なことになっている」という主旨のことを伝えることが多いですが、
「ご家族とおうちが大丈夫なら良かったですね」
と返されることが多く、そのことについて、一時期、何とも言えない気分になっていたことがありました。
上記のリンクの記事を読んだからではないですが、純粋に
「家族が生きていて家が壊れてなければ大丈夫なの?なんの落ち度もない人達が急に生活は一変してしまい、大変な思いをしていることに変わりないのに、『良かった』ことなの?そもそも『大丈夫』ってどういう状態??」
と思ってしまいました。
しかし、それから数日たって、冷静になり、
「『大丈夫だった?』と聞いてくれる人はそもそも心配して善意で聞いてくれているわけだし、いちいちネガティブに捉える自分がめんどくさい人間だなと思うし、そもそも私自身は被災者ではないのでそんなこと考えるのやめよう」
って、少し落ち着きました。
たぶん、私も疲れていたのだと思います。
ちなみに、上記の東日本大震災被災者の記事では、最後まで読み進めていくと、地震に限らず様々な事情でつらい気持ちを抱えている人のことを何気ない質問で傷つけてしまう可能性があるので、ある意味お互い様という可能性もあるけど、配慮を持つことが大切だと思うと述べられています。
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そこからさらに数日たち、地震から一か月ほど経った頃、初めて義母と長めに連絡をやりとりしました。義両親も大変だと思うのですが、被災地で生活している義母は、「自分達より大変な思いをしている知り合いがたくさんいるから、贅沢は言えない」と言っていました。本当は両親だってしんどいと思うのですが、きっと、向こうではそうは言っていられない状況だということを考えると、それも大変だと思いました。
しかし、近隣では住む家や仕事を(一時的にでも)失った人がたくさんいる中で、夫の親族は「良かった」ほうなのかもしれません。
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これまで過去の経験で、災害以外の場面でも、周りから聞いたりした話で
「あの人は○○で大変だったらしい」といったようなことがあったとき、すごく気になってしまうけど、聞いたら相手の心に負荷をかけてしまうし、たぶん聞かないほうが良いだろうと思って黙っていたときもあれば、聞いてしまったときもあったと思い返します。後から考えると、興味から聞いてしまった部分もあったことは否定できません。
基本的には、本人から話さない限りは聞かないほうが良いのだなと学びました。(本人から話してきた場合は聴いてほしいとおもうので、その場合は傾聴するのが良いとは思います。)
改めて、自分への気付きと反省の意味も込めての投稿でした。
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