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フィールドワーク No.1「角川武蔵野ミュージアム」に行ってきました

・はじめに

こんにちは!淑徳大学 杉原ゼミの深見です。
このnoteでは、淑徳大学 人文学部 表現学科 杉原ゼミの学生がゼミ内でのプロジェクトや活動内容についてご紹介していきます。

杉原ゼミでは複数のプロジェクトを並行して行っています。今回はそのうちの一つである「フィールドワーク」についてお話ししたいと思います!
このゼミにおけるフィールドワークとは、目的の場に訪れて実際に見て体験をすることで、自分たちの学びにしていくことが目的となっています。

今回フィールドワークを行った場所は、埼玉県所沢市にある「角川武蔵野ミュージアム」です。



・角川武蔵野ミュージアム

角川武蔵野ミュージアムは、2020年11月6日に所沢サクラタウン内にてグランドオープンしました。

図書館・美術館・博物館を“まぜまぜ”にした複合文化施設です。館長・編集工学者の松岡正剛氏、博物学者の荒川俣宏氏、建築家の隈研吾氏により、イマジネーションを連想させ、リアルとバーチャルを行き来する革新的なミュージアムが誕生しました。

パンフレットより引用

全5階建てとなっており、巨大な岩のような特徴的な外観となっています。高さは約30メートルあり、約20,000枚もの岩板によって覆われています!まるで地面から突出しているかのようなこの外観は圧巻でした。

角川武蔵野ミュージアム 外観

・エディットタウンーブックストリート

ブックストリートはその名の通り、無数の本が存在するまさしく本の街です。約25,000冊もの本が配架されており、全部で9つの文脈(分野)に分けられています。それぞれ「記憶の森へ」「世界歴史文化集」「むつかしい本たち」「脳と心とメディア」「日本の正体」「男と女のあいだ」「イメージがいっぱい」「仕事と暮しも」「個性で勝負する」に分けられています。

これらの本は規則的に並べられておらず、最初に見たときはただ無作為に置かれているのかなと思っていました。もちろん、何もかもでたらめに置かれているわけではありません。9つの文脈があたかも1つの物語になるように配置されているためです。しかし、その1つの文脈ごとの本の配置は、まるで段落がバラバラで、でたらめに置いてあるように感じます。

なぜかと言うと、連想が重きに置かれているためです。置かれている本をただ見て「ふーん」と思うのではなく、なぜそこに置いてあるのか、その本から何を連想できるのかを考え、新たな発想が生まれることを目的としているため、あえてバラバラに配置されているのです。最低限の関連性を基に、どんな風に関連していくのかを連想していくことは楽しかったです。(連想できたとは言っていません……お恥ずかしい)

エディットタウン 入口付近

ここで私が感じたことは、世界のありとあらゆる知識や見聞が、この本の街に集結しているようだったということです。とある特撮作品にて、「地球(ほし)の本棚」という、果てしなく広がる白い空間に無数の本棚が並んでいるものが出てくるのですが、それを彷彿とさせました。その本棚に並ぶ本は地球のすべてと言っても過言ではないほどの知識が詰まった場所になっているという設定となっており、まさしく地球のすべての知識がここに集結しているように感じました。

本の街

・本棚劇場

ブックストリートの最奥にあるのが、本棚劇場です。約8メートルという巨大本棚に360度包囲されているこの場所は、KADOKAWAの出版物以外に個人文庫によるものも配架されており、約20,000冊収蔵されています。ここはアーティストとコラボしていることで有名になっており、知っている人が多いと思います。有名なところだと、いきものがかりさんやYOASOBIさんなどがコラボしています。また、文豪ストレイドッグスなど、アニメともプロジェクションマッピングでコラボしています。

本棚劇場
角川文庫×文豪ストレイドッグス

ここで驚いたことは、小説やイラストの描き方といった教本やゲームの攻略本も置いてあったということです。正直な話、このエリアでは小説や啓発本のような少し真面目な本だけが置かれていると思っていただけに、このような本が置かれていることは意外でした。一方で私が実際にプレイしているゲームの攻略本があったため、興奮もしてしまいました。

このように、ここもブックストリートのように様々な本が収蔵されているのですが、異なる点があります。それは、配置とコンセプトです。
前者は見た通りのことであり、ブックストリートはその名の通り街のように一本道で本棚が並べられています。しかし、本棚劇場は先述した通り360度かつ高く包囲されています。
後者は、本の街では先述した通り連想がコンセプトです。それでは本棚劇場のコンセプトはいったい何かというと、リアルとバーチャルが行き来するというものです。

ここではプロジェクションマッピングが行われているのですが、本棚を用いて映像を映し出しています。しかし、そこに美麗な映像を映して終わりというようなものではありません。そこに本棚があるからこそできる演出というものがありました。幻想的なバーチャルの世界に浸って終わるのではなく、本棚に投影することで現実を感じさせました。それによって現実とバーチャルが行き来しており、これからの新たな世界を表現していると、そう思わされる演出でした。

本棚劇場 プロジェクションマッピング

プロジェクションマッピングは20分ごとに行われているため、見ることをお勧めします!迫力ある演出に魅入ること間違いなしです!

・荒俣ワンダー秘宝館

荒俣宏さん監修によるエリアです。あらゆる驚きがテーマになっており、「ワンダーの部屋」と「サイエンスアートの部屋」の2種類があります。

「ワンダーの部屋」はまるで歴史博物館のように標本やはく製のものなど、様々なものが展示されています。そして中には実際に触れるものもあり、まさしく驚きにあふれるものが多くありました。

ワンダーの部屋 展示

「サイエンスアートの部屋」は金魚にまつわるものが展示されていました。版画や絵画、掛け軸など、金魚が描かれているモノや解説が面白く感じました。
このサイエンスアートの部屋は時期によって展示されるものが違うようなので、何回も訪れて新たな驚きを発見してみてください!

・アティックステップ

アティックステップは本棚劇場の裏側にある階段空間のことを指しており、荒俣宏さんが収集された蔵書、約3,000冊が配架されています。選書されたこれらにところどころメモが残されており、そうなのかと思わされることが多かったです!小難しそうな本から妖怪やマンガにまつわるものまで、選書されているジャンルは多岐にわたっており、荒俣宏さんがいかに広い見聞を持っているのかが実感できます。

アティックステップ

・武蔵野ギャラリー

角川武蔵野ミュージアムは所沢に建造されているため、それにちなんで武蔵野という関東の一地域についての書籍を集めたエリアがあります。「雑木林」「郊外」「川」「ハケ」「旅」「新田開発」「移民」の7つをテーマにしていることで、武蔵野について詳しく知れるようになっています。

難しい本が多いような印象を受けましたが、中には武蔵野を舞台にしたジブリの本も置いていたため、子どもにも興味を持って見てもらえるようなエリアになっています。また、本の後ろにはその本にまつわる簡単な解説もあり、関連性について学ぶこともできます。

武蔵野ギャラリー

私は埼玉に住んでおり、武蔵野と関係している場所で生活をしているのですが、知らないことが多かったです。そのため、武蔵野の歴史に少しだけでも触れられたことで、昔との違いに驚きがありました。

・マンガ・ラノベ図書館

1階にあるこの図書館は上下に2つのエリアがあり、約35,000冊以上もの本がここに配架されています。
入口の目の前には今季放送されているアニメの原作が並んでいました!ライトノベルとマンガが置いてあり、それだけでたくさんの作品が放映されていることが伺えます。

マンガ・ラノベ図書館 入口

下のエリアでは主にマンガや児童書が配架されていました。そして、アニメ作品のフィギュアや絵馬などのグッズも置かれていました!限られた作品とは言え、それだけでも膨大な数の本が置かれており、懐かしいと思うものから興味がそそられるものもありました。児童書の方では子どもを対象にした内装になっており、楽しんで過ごせるような空間になっています。

マンガのエリア
児童書のエリア

その中でもひときわ目立っていたのは、まさかのフィギュアでした。本とは一切関係ないのですが、アニメ作品の等身大フィギュアが置かれていたのです!ちなみにこれ、金額はいくらだと思いますか?

アニメキャラの等身大フィギュア

その値段、なんと税抜きで320万円です!つまり、税込みで350万円以上します。どんな人が買われるのか、気になります……。

さて、話がずれてしまいました。

次は上の階層になります。ここではライトノベルや新文芸が配架されています。この数を見て思ったこととして、私自身ライトノベルは好きなので結構読んでいる方だと思っていたのですが、読んだ作品は有名どころの僅かな数でしかないのだということでした。それほどまでにここに置かれている本の数は膨大でした。

座るスペースがあり、そこで本棚に並んでいる本を手に取って実際に読むことができます。

ライトノベルのエリア
読む場所

『ロードス島戦記』のような昔のものから、8月8日に訪れたときには既に7月に刊行されたばっかりのものが置いてあり、新旧作含めて様々な本がありました。
ここならば昔の本や絶版されてしまいなかなか見つからない本があるかもしれませんよ!アニメやラノベが好きな方や興味がある方はぜひとも1度、足を踏み入れてみてください!


・おわりに

このミュージアムは本がたくさんある施設であるため、本に詳しくないと楽しめなさそうと敬遠してしまう方が多いかもしれません。しかし、そんなことはありません。
むしろ、本にあまり関心がない人にこそ刺さるものがあるかもしれないと感じました。何となく背表紙を見て、こんなに本があるのかという感嘆や驚きがあり、自分に興味のある分野の本が見つかるかもしれないからです。
実際、小説やハードカバーのような厚い本が数多くありますが、それ以外にもゲームの攻略本やイラストの描き方といった本がありました。

私自身の感想として、電子書籍が主流となっている今、紙媒体の本の凄みというものを改めて実感しました。本の厚みや大きさという見た目によるものもありますが、それ以上にこんなにも莫大な数の本が出版されているということに驚きがありました。
数字で言われたり電子書籍で本を探したりしているときには曖昧に感じていた本の量が、可視化されることで本の世界の広さを実感しました。しかもそこに収蔵されている本も、あくまで全体の一部という事実には驚きを隠せません。

ぜひとも1度訪れてみてください。テーマから新たなテーマへと連想していくことで世界が広がっていくところに面白みがある一方で、それを目的とせずともただ何となく訪れるだけでも価値があると思います。
濃厚な時間が過ごせること間違いなしです。

(ちなみに、ライトノベルのレーベルである電撃文庫とのコラボが11月5日まであります。当日券もあるので、これを機会に訪れるのもありかも?)

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
以上、淑徳大学 杉原ゼミの深見でした。


サイト
角川武蔵野ミュージアム (kadcul.com)

電撃文庫30周年記念「超電撃文庫展」|角川武蔵野ミュージアム (kadcul.com)

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