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3-5. 売りやすい商品を作れば、コストは安くなる。

 本田技研工業創立者 本田宗一郎

 コストを下げ、値段を下げれば商品は売れる……と考えるのが普通だが、それは逆だと言うのは本田宗一郎である。
 価格と比べて価値の大きな商品を作れば、消費者はそれを評価して買ってくれる。最初はコスト的に合わなくても、数が出るようになれば製品そのものが改良され、製造工程にも改善が加えられて、やがて不良も減少し、コストは下がるのである。
 ところが通常は、始めから営業部門は値段を、作るほうはコストを、下げられないかと考える。そうすると、売りやすい商品を作るということがすっぽり抜け落ちてしまうのだ。

 そうではなく、本田は「急がば回れ」と言っているのである。前記の「カネがほしければ信用をとれ」や「儲けたいは、儲けられず」(塚本:3-2.)も同じだ。

 とはいえ、価格が安いことは売れやすさの重要な要因であることも事実だ。
つまり「売りやすい商品を作れば、コストは安くなる」は、言い換えると、「品質を大前提として、売りやすい価格を設定しなさい。いい商品なら、当初は苦しくても必ず消費者に受け入れられ、生産量が増えて生産性が向上し1個当たりの製造コストが削減されてペイするようになる」ということなのである。

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