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3-3. カネをとるか信用をとるか、カネがほしければ信用を先にとることのほうが本当だ。

  本田技研工業創立者 本田宗一郎

 ホンダが躍進するきっかけとなったのは、1958年に発売した50CCバイク、スーパーカブの成功である。

操作は簡単、使いやすい、壊れない・・・とモノはいい、絶対の自信は持っている。しかし、当初は生産量が少ないので儲からない。といって戦後の経済が貧しいなかのこと、価格を上げるわけにはいかない。そんなジレンマのなかで、本田は価格を低めに設定して発売を決める。

 結果はご存知のとおりで、スーパーカブは、はじめは損をするような商品だったが、性能が消費者のニーズを掘り起こし、人気が沸騰した。生産が注文に追い付かず、販売店に割り当てをするほどになり、ドル箱に成長した.
 本田は言う。

「金だけほしいなら、インチキな物を作って売ればいいが、それでは明日はどうなるかわからない。結局、消費者や顧客が商品を購入するのは、商品や会社に対する信頼感が基盤にある。会社でも人間でも、信用を先にたてれば、金はついてくる。一時的に損をするようだけれど、信用を先にとったほうが長い目で見れば得だ。信用の元になるのが約束を守ることで、約束とは、安くていい商品をきちんと届けること。商品が値段にふさわしい価値を持っていることが大事だ」

 凡人は、とかく金のほうばかりに目が向いて信用を軽視する。金ができれば信用はついてくると考えるが、そんな信用は金がなくなれば消える。
ところが、金はなくても、信用があれば金は貸してくれる。手形はその典型である。

だから「信用が先」と本田は言うのである。

 逆にカネを先にとろうとすると、信用が落ちる。その結果カネも失うことになる。元も子もなくなってしまうのである。



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