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千年で考える飛鳥人のスケール感

                                                                                                           薬師寺西塔

薬師寺は、東塔だけが残されていて、西塔はそれにならって後から再建しました(写真)。再建するにあたっては、現在の姿で同じ物を作るのではなく、1300年を経れば現在の東塔と同じ状態になるようにめざして作られたそうです。だから、再建された西塔と東塔を比べると、見た目にはわかりませんが、実は大きな違いがあるそうです。
 
礎石の上から塔の頂上までが、東塔は11丈6尺。西塔は11丈7尺2寸と、1尺2寸ほど西塔が高くなっています。東塔の方の組物が、1300年のあいだに、もまれ、揺さぶられて圧縮され、改築されて低くなっているから、その分を見越して、「西塔の方も1300年たったら、だいたい東塔と同じ高さになるやろということですわ。新しい木やから、それでいいんです」と西岡棟梁。
このスケール感、圧倒されますが、その基本には、自然に対する畏怖の念があるように思えます。どうしたらこういう1300年後の状態を発想して、物事に対応できるようになるのでしょうか?

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