田島木綿子「クジラの歌を聴け」山と渓谷社
「ザトウクジラの歌に涙腺崩壊!」
と国立科学博物館動物研究部の研究者である筆者は興奮気味に語る。
クジラだけでなく動物たちの求愛活動、種を維持するための活動を事細かに綴っている。興味深い話の連続だ。
ザトウクジラは秋を迎える頃、約30~40トンの巨体を揺らしながら、時速5~15キロで大海原を泳いで5,000キロメートル先のハワイや沖縄、小笠原諸島という海域へ向かう。その道程で求愛のためのソングを作り上げていく。このソングは音の構造も複雑で、発声法もいまだに解明されていないそ