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【戦略がカギ?】#1 孤独なアル中&アラ50ライターの苦悩 VSクライアント

ライターが、相性が合う編集者に出会えば仕事がうまく回るのは前述の通り。しかし、どうにもならないのが、クライアントの存在だ。

ここで言うクライアントとは、編プロや制作会社とお付き合いがある企業のことを指す。私のギャラを支払ってくれるのは大元のクライアントなわけだから、打ち合わせなどで直接会う機会やメールのやりとりがない場合もあるが、決してぞんざいにはできない。顔を会わせて親密にならないからこそ、クライアントの要求がどんどん加速するし、下請けの、さらに下請けの私などは、クライアントに振り回されるしかない。

このクライアントさま。特に中堅企業やベンチャーが厄介で、企業の広報や総務担当者→部長→役員→社長と原稿チェックが入るので、いちばん初めに書いた自分の原稿が最終的には全く違うものに形を変えている。原稿をチェックするのは編集のプロではないことがほとんどなので、誤字脱字も当たり前、話の展開も訳が分からない。「ですます」と「だ」が共存しているということも日常茶飯事だ。

そんな原稿を最終的に戻され、途方に暮れるのも場末のライターならしょうがない。「もうこれでいいんじゃないか、あちらが納得しているのなら……」とも思うけれど、どう考えても文章が変だ。変な文章を編プロや制作会社の編集者と突き合わせしながら、なるべく当たり障りのない原稿に仕上げたことが何度あるだろうか。

元から編プロや制作会社の編集者や営業担当者がクライアントと話を詰めているとこのようなトラブルは少ないかもしれないが、そうはうまく話が進まないのがクライアント。

一度などは、クライアントからの修正が10回以上、しかも「明日朝イチで修正をください」と制作会社の編集者から言われたこともあった。正直、「朝イチって、私に寝るなというのか(寝ない=酒を飲みすぎて酒代が上がってしまうやん……)」と思った。死ぬ気で対応はしたが、心底疲れた。編集者も疲れて、体を壊したという連絡があった(それで案件が1つ消えた)。

編集者も私も病んだ地獄の原稿修正の夜

さすがに現在は、フリーランスのライターやデザイナーの修正回数に関しての注意喚起もあり、過度な修正を依頼されることは少なくなったように思える。しかしクライアントには文句が言えないのが辛いところ。ライターから編集者には「これ、アリ!?」と文句が言えるかもしれないけれど、編集者も死ぬ気で、寝ないで付き合ってくれているから文句は言えない。

もっともベストなのは、穏やかで話が通じるクライアントに当たることだろうが、それは幻に近いと思う。だって、クライアントはサラリーマンだもの。自分の一存でどうこうできないのが当然。でも、最下層で手を動かしているライターって本当に損しているなあ~とか思ってしまうのだ。いやいや、編集者もその後の原稿チェックがあるから大変だ。つまり、クライアントがちょっと難ありだと、編集者もライターも寝る暇すらなくなる。

私なぞ、離婚寸前で1人暮らしだからまだクライアントの無茶ぶりにも対応できるかもしれないが、家庭がある編集者やライターはもっとつらい思いをしていると思われる。自分がクライアント対応(仕事)をしたくても、どうしても無理なケースがあるはずだ。

子どもの食事時間や就寝時間、保育園の送り迎えとか? もちろん私は子どもを持ったことがないから、人づてに聞いたくらいしか把握していないんだけど……。きっと皆さん、時間をどうにかやりくりしているんじゃないかな……。もちろん、仕事をするにあたって配偶者の理解と手助けも必要だし。

と、「おひとりさま」の自由度を武器に強がってみたが、本当は、家族がいる編集者やライターが憎たらしいくらい羨ましい(笑)。

そして、クライアントの勤務時間が平日の9時~17時、または10時~18時なのも、ライターの私にはハードルが高い。いつでも自由に休めて、どこでも仕事ができるのがライター業の醍醐味のはずなのに、クライアントに合わせてしっかり月~金、フルタイムでスタンバイをしている(笑)。

土日はクライアント→編プロの編集者や制作会社の担当者に連絡がないことがほとんどだから、私も休息だ(別案件の原稿を書くけど)。あれー、フリーランスなのに「フリー」じゃないなあ、と思いつつ、土日は胸を撫でおろして朝から酒を飲む。

取材についても同様だ。取材の開始時間が平日朝の10時、関東圏とはいえ茨城の奥地とかだったりしたら、私には前日のうちに前乗りしている。ホテル代などはもちろん自腹だ(笑)。一応リスクマネジメントって意味なんだけど、この習慣のおかげで私は取材に遅れたことはない。必ず30分前には到着して、一服する時間まである。もちろん宿泊した夜は、愛犬もいないし1人だけの快適な空間なので、取材先のリサーチも捗る。

こうして一応というか、クライアントに対してはかなり気を使って仕事を行っている。おかげ様でクライアントからクレームをもらったことは一度もない。遠方での取材時では、自分のホテル代に犬のペットホテル代にとお金はかかるけど、クライアントや編集者からの信用を失うよりも全然良い。

長くなったので、その2へ続く→


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