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異臭を放つオンナ その2

(その1から続く)

 幸い現在はそもそも毎日他人と会う習慣がないので、風呂に入らないことで生じる異臭についての苦情は滅多にないが、その代わりに、トイレに行かないことで生じる異臭に自分が悩まされている。これは、私にとって排泄も入浴も同じレベルで面倒くさいからだ。

極限まで排泄を我慢する上に足が悪いのでトイレにたどり着けず、普通に漏らしたりする。そんな時はさすがに「ああ、間に合わなかった……クサイな……」と自己嫌悪に陥る。1人暮らしだから大を漏らしても誰にも迷惑をかけてないとは言え、アラ50で大を漏らすというのもいかがなものか。

 しかも、さすがに漏らしたままだとなんだか気持ち悪いから、やむを得ず入浴もする。つまり、ダブルで面倒くさいという局面に陥る。自宅のトイレは、ケツや陰部を洗浄できる機能がついた「温水洗浄便座」だが、局部だけ一時的に洗浄するよりも入浴して全身を洗浄した方が極めて効率的だろうという考え()。

 まあ、排泄は生理現象だからやむないとはいえ、入浴しなくても済む、人間洗濯機みたいなのがないのかな……と調べていたら、なんと1970年の大阪万博で初の人間洗濯機が展示され、進化を遂げ、一部のエステや、スポーツジム、インターネットカフェ、介護施設などでは導入されているとか!? さらに、「心も洗う」次世代人間洗濯機も現在開発中のようだ。……これなら私も入浴が苦痛でなくなるかもしれない。異臭でなく、芳香おばさんになれるかもしれない。しかしお値段は数百万円と現実的ではない……。

 まあ、こんなことを調べてしまうくらい、私は風呂が嫌いだ。入浴=良しと思われる文化がない国に生まれたら、風呂嫌いも正当化されるのに……。いや、フランス人は確か風呂が嫌いなはずだ、とこれまた調べてみたら、正確にはシャワーは毎日浴びているというのが大多数。実に、裏切られた気分だ。

 物騒なことを言うが、3.11の時は大義名分で風呂に入らなくて良かった。入浴中に地震が来たらそれこそ逃げる手段がないし、ライフラインの遮断が懸念されて、国から入浴も控えるようなアナウンスがあったような(節水、とかね)。

 それでも当時はまだ旦那とラブラブ()だったので(確かたまにセックスもしていたような)、水のいらないシャンプーや、濡れタオルを使用して一応体を清潔に保った。

 旦那、といえば、旦那とはよく旅行にも出かけた。旦那は私とは真逆で風呂が大好きな人種だ。私の旅行の目的はセックスだけだったので、そりゃ旅先で風呂に入った記憶もある。でも、セックスは滅多に叶わなかった。「風呂に入って損した」と言えるだろう。

 旦那と別居する前は、旦那が浴槽にお湯を張って入浴するタイプだったから、ついでに入浴することも多かったように思える。別居後は浴槽に湯を張ったことは一度もないが。おかげ様で水道代は都内の最低料金をキープし続け、水道のメーターを確認する作業員さんに「何かありましたか……?」と確認されたくらいだ。いや、入浴の回数が減っただけ……。

 つまり、他人に会わない、独居、足が不自由な現在の私にとって風呂に入るメリットは皆無と言って良いだろう。HSP×風呂で調べると、風呂を楽しい空間にするだとか、風呂で考えることを決めておくとか、風呂嫌いを克服する方法はあるようだが、別に風呂を好きになりたくもない。旦那と離婚して、新たに恋愛でもする機会とかがあれば、風呂での自分磨きも再開するのかもしれないが。まあ、今のところその未来はないな……。

その3へ続く→)


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