記事一覧
【知られざるアーティストの記憶】第69話 バナナのキスと合鍵
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
→前回
第9章 再発
第69話 バナナのキスと合鍵
会えばキスをするのが当たり前になった頃、
「口臭、する?」
とだしぬけに彼が訊いた。そんなことを気にしていたのか、と意外に思った。
「ううん。一度も感じたこと
【知られざるアーティストの記憶】第68話 S医院の思想と療法との出会い
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
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第9章 再発
第68話 S医院の思想と療法との出会い
メイから教わった、抗がん剤を使わないがん治療のS医院のホームページを、マリは早速彼と一緒に見てみた。一緒に見た、というよりは、マリが彼の前でホームペ
【知られざるアーティストの記憶】第67話 情熱的な友のアドバイス
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
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第9章 再発
第67話 情熱的な友のアドバイス
初めに、性格のタイプを診断するためのいくつかの質問があった。それは、様々な対人関係の場面においてどのように感じ、どのように行動するかについての質問で、せい
【こぼれ落ちた断片02】ある日の遭遇 その2
彼はたぶんいつもの安売りスーパーに行くところだった。自宅からスーパーへ行く道のりの半分よりもスーパーに近い地点のなだらかな登り坂を自転車で進んでいた。その様子は、深く物思いに耽っているようにも見えた。
マリは車だった。三男を保育園に預けてから、駅のそばのショッピングモールに車を停めて電車で出かけるところだった。よく見慣れた人の姿を認めると嬉しくなってすぐに助手席の窓を開けて、
「イクミさーん!」
【知られざるアーティストの記憶】第66話 彼からのささやかな贈り物
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
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第9章 再発
第66話 彼からのささやかな贈り物
マリは彼への差し入れや贈り物を厭わなかった。もちろん、主婦の経済力の範囲内であるが、これまで質素極まりない消費生活しかしてこなかった彼にあげるものは、な
【知られざるアーティストの記憶】第65話 ツインレイ
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
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第9章 再発
第65話 ツインレイ
丸く大きな月が明るく夜空を照らす夜には、マリは彼と共にその月を見上げたいと願った。それはかつて彼の入院中にマリが寝室の窓から見上げ、その面を通じて彼と交信しているつも
【番外☕】続・あなたと出会う交差点
※この記事は、前記事の【追記】として書いたものですが、独立させることにしました。
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彼は毎日抗がん剤を投与しながら、片道1時間弱(アップダウンのある)を自転車でT大学病院まで通うという強者でした。本編ではもう少し先に出てきます。
通るときに思わず手を合わせてしまう場所は、このT大学病院に曲がる交差点の他にいくつかあります。
できれば通りたくない、私にとって身のすくむ場所なので
【知られざるアーティストの記憶】第64話 漢方内科でのコミュニケーションと彼の望む死にかた
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
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第9章 再発
第64話 漢方内科でのコミュニケーションと彼の望む死にかた
マリは漢方内科のF医院に一旦彼を降ろし、三男を保育園に届けてから再びF医院に戻った。予約なしの受診だったので、小一時間を待合室の
【知られざるアーティストの記憶】第63話 抗がん剤治療以外の選択肢、S医院
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
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第9章 再発
第63話 抗がん剤治療以外の選択肢、S医院
今回の突発的なT大学病院受診は、普段の定期的な検査受診とは別に、彼の不眠の訴えに応じるためのものであったが、主治医のH医師による血液検査も念のた
【知られざるアーティストの記憶】第62話 マリの見ていた幸せと、彼の見ていた恐怖
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
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第9章 再発
第62話 マリの見ていた幸せと、彼の見ていた恐怖
お互いの背中に腕を回して、温め合ったぬくもりからこぼれ落ちた言葉を、マリはその場で言葉にできない。家に帰ってから紙に書き留めて、彼のポスト
【知られざるアーティストの記憶】第61話 弟との面会
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
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第8章 弟の入院
第61話 弟との面会
マサちゃんが転院したO病院は、当時の感染症対策体制下にあっても入院患者との面会が全面禁止ではなく、医師の許可が下りれば月一度の面会予約を取ることができた。そのこと
【こぼれ落ちた断片01】ある日の遭遇
何度も何度も何度も曲がる
あなたの家の曲がり角
下手をすると1日に何回も
保育園の送り迎えや買い物のときは右折
次男の学校や駅の方面へゆくときは左折
この日も左折をしようと一時停止し
ウインカーを出すと
道路の右側からあなたが歩いてきて
わたしと目が合うと微笑み立ち止まる
わたしはどうぞという手振りで道を譲る
あなたはそれを見てゆっくりと歩み出す
わたしは微笑みながらその様子を眺める
あなたが
【番外☕】キスのおもひで
【知られざるアーティストの記憶】第60話で彼とのキスのことを書いた日の夜、詩人のげん(高細玄一)さんの「詩)燃えるようなキス」が目に飛び込んだ。
字数の限られた「つぶやき」でご紹介させていただいたが、なんだか言い足りないので改めて記事を書く。重複ご容赦ください。
(だったら初めから記事を書けばよかったのだが、短いとわかっているから見てもらいやすい「つぶやき」は、記事とはまた別の交流が生まれること