利用者をシャカシャカさばくパーフェクトな介護士の恐るべき本性とは? 高齢者の鋭い人間洞察眼
仕事ができると評判の介護士Aさん。
利用者への対応はパーフェクトに見えるが、実はとんでもない裏の顔を持っていました。
私もすっかりだまされていたのだが、なんと利用者は見抜いていたんです。
今回は、一人の介護士の二面性と、それを簡単に見抜いてしまう高齢者の実態について書いてみたいと思います。
介護士Aさんの二面性
介護士Aさんは、毎日、仕事をテキパキこなします。
🌷風呂介助も順調にこなし、遅れることがない
🌷利用者には、朝からにっこり笑顔で元気に挨拶
🌷レクリエーションで盛り上げるのは天才的にうまい
🌷他の職員にも指示を的確に行う
🌷上司にも頼られ、よく相談されている
🌷返事も「はい」と心地良く行う
すばらしい介護士さん、のように見えます。
しかし、一部の利用者や職員からは、かなり嫌われていました。
💦性格の悪さが顔ににじみ出ている
💦言葉使いがきつい
などなど。
私には、とてもそうは思えませんでした。
しかし、一緒に働く年数が長くなるうちに、利用者や職員からいろいろ話を聞くうちに、介護士Aさんの本性が見えてきたんです。
実は、
💦入浴介助のときに、気に入らないスタッフにパワハラを繰り返していた
💦注意されると、すぐに、ふてくされていた
💦自分のわがままを実現することばかり行っていた
本当の姿が分かってきた
「風呂介助も順調にこなし、遅れることがない」というのも、度を超していたようです。
利用者をシャカシャカさばいて風呂に入れるため、ゆったりと風呂に入りたいという利用者からは、怖がられていました。
ゆっくりと入浴介助したいという職員もいましたが、「さっさとやって」と指示を出し、とにかく、さばくことを優先させていたようです。
「他の職員にも指示を的確に行う」
というのも自分のペースで思い通りに仕事をさばきたいだけで、他の職員のペースや事情はまったく無視して、やりたい放題やっているだけでした。
他の職員に「仕事を頼む」のではなく、威張り散らして「命令」をしていたようです。
🌷利用者には、朝から笑顔で挨拶。
🌷レクリエーションで盛り上げるのは天才的にうまい。
🌷上司にも頼られ、よく相談されている。
🌷返事も「はい」と心地良く行う。
というのは事実ですが、あくまで表向きの顔。
表面上、取りつくろうのがうまいだけでした。
入浴介助など、人の目が届かないところでは、気に入らない職員への嫌がらせやパワハラ行為が頻繁に繰り返されていました。
と怒鳴りつけたこともあったらしい。
と、他の職員を、せかすことが多く、自分のペースで仕事を出来ない職員は、役立たず呼ばわりしていました。
夕方のカンファレンスの際、気に入っている職員は近くに座らせ、気に入らない職員は遠くに座らせるなど、まるで小学生のイジメのようなことをやっていました。
高齢者は人を見る目がある
実は、この介護士の本性を、かなりの利用者は見抜いていたのです。
「○○さん、おはようございます。今日もよろしくね!」
と、わざわざ利用者の手を握って、にっこり笑顔で挨拶するこの介護士Aさん。
利用者は「うん、おはよう、今日もよろしくね!」とにっこり笑って返す。
さわやかな、朝の光景です。
ところが、この利用者のリハビリを行っていたところ、
とのこと。
介護士Aさんの本性を知っているのです。
他の利用者からも、
と言われたこともありました。
利用者は年寄りだから何も分からないと思っていたら、大きな間違いです。
私たちより、ずっとたくさんの人を見てきているんです。
アラフィフの私たちよりも、ずっと人を見る目があるんです。
表面上、どれだけ取りつくろってみても、本性は簡単に見抜かれてしまっています。
しかし、利用者は、表向きに介護士Aさんを批判することはしません。
にこにこ笑って、私たちに合わせてくれています。
介護士Aさんの本性を見抜いていることも、本当は介護士Aさんのことが嫌いなことも、バレないのです。
リハビリの職員は、利用者と関わる時間が長いため、本音や愚痴を打ち明けられることが、とても多いので、本当のことを知っています。
人は「さばいては」いけない
普通の仕事の場合、
という考え方は納得できます。
しかし、医療や福祉の業界では、どうでしょうか?
情報や物、書類をさばいているわけではありません。
対象は「人」です。
人を物のように扱うのは本末転倒です。
たとえ業務フローを犠牲にしてでも、利用者との関わりや安全面を優先したほうが良いことも多いはず。
仕事の本質とは何か。
この点を振り返る必要があると考えます。
医療・福祉に携わる以上、人である利用者の尊厳を大切にすること。それが仕事の原点であり、忘れてはならない大切なことです。
Aさんの問題行動は、「仕事の本質」を見失っていたことが原因です。
本当なら、管理者が、部下の育成にあたって、単に業務処理能力を認めるのではなく、利用者との関わりを重視すべきだったはずなのですが、こうした視点が欠けていたのでしょう。
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