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ガンダムオタクから見たガンダムSEEDシリーズ(5)

機動戦士ガンダムSEED DESTINYテレビ全視聴後の感想

余韻の凄まじさ……。
美しくもあるが……。茫然。0083でもここまでモヤッとはしなかった。
「だけど」……シン•アスカって何を守れたの? どんな成長したの? シン•アスカが家族を失う場面から始まっておいて、これで終わりというのは救いが無さすぎじゃない?
最後はキラやアスランと共に巨悪に立ち向かうとか、議長の呪縛からレイを救い出すとか、少しは主人公らしい活躍させればいいのに……。最後に悪役となってもコードギアスのルルーシュや進撃の巨人のエレンみたいな盛り上げ方ならまだ分かる……が、そうでもない。不思議なシナリオ。
戦争を憎んでいたシンなら、議長がレクイエムを使うところで反旗を翻してもよかったと思う……。そうでないなら最初からキラを主役にした方が、観てる側もキラやラクスたちを素直に応援できたんじゃないかな……。
とにかく、キラ達のカッコ良さよりも、シンの扱いの雑さが気になって仕方なかったです。
キラ、ラクス、アスランのファンには良かったのかな?
勝者サイドも、ジュドーみたいに「どうしてみんなで生きていけないんだ」とか叫べば、同じ展開でも納得できたのかもしれないのに、あまりに涼しい顔して、「これって欲望?ワガママ?」とか「ですわ」みたいな天上人目線な台詞のせいで、煮えきらない気持ちになってしまう。「カガリが今泣いているんだ」とか「撃ちたくない。撃たせないで」とか、涼しい顔で言うから自己中なイヤミに聞こえるのかも?不思議。もっとゴリラ顔の脳筋オジサンとかの台詞ならスッと受け止められたのかもしれません。なんで?何故かは分かりません(笑)
キラの繊細さ、優しさ、正しさ(優秀さ)に共感できる人、ラクスが可愛く正しく見える人には大絶賛の内容だったみたいです。私の友人もキラ&ラクスの大ファンで、特に最終回も違和感なく最後まで見られた、よかった、と言っていました。
私は、うそぉ、ってなってました(笑)

名言は多かったです。アスランの「過去に囚われたまま戦うのはもうやめろ!」から「未来まで殺す気か?」のくだりや「命はなんにだって一つだ!君は君だ!彼じゃない!」というキラの台詞も好きです。レイが最後に自由を語るキラの「明日」を選んだ場面も涙を誘いました。デュランダルの死に際の哀愁の、なんともやるせない感じ。ただ、ここの決着はシンがつけるべき決着だったのでは?と思いました。キラよりも、シンが選んだ結果としての結末の方が物語としてはスッキリしたはずです。このときシンは蚊帳の外でしたね。(外でアスランに蹴られていました)

さらにモヤモヤさせるのがネオ•ロアノークだったムウの存在……。
ファントムペインの指揮官で、子どもたちを戦場に送り出し、残虐な作戦を指揮してきたネオ。記憶を操作され、洗脳されていたので罪や責任は連合の司令部にあるとしても……「俺、あの艦、嫌いなんだよね」とか言ってミネルバを攻撃し、記憶を取り戻してマリューとラブラブに。その後、アークエンジェルサイドとして念願のミネルバ打倒を果たす。たとえムウ本人に罪も責任もないにしろ、罪悪感くらいはあっていいんじゃないか?例えステラの為だったとはいえ、シンの約束を躊躇なく即破り、ステラを死なせたことに悔いる姿も言葉もなく、平然と勝者サイドに君臨しているのが……。ムウ持ち前の明るいキャラクターが今回においてはイヤな気持ちにさせる。前作SEEDの終盤、不可能を可能にするためストライクで爆散したムウの勇姿、あの感動はどこへ……。
Ζの敵役ジェリドですらカミーユに「悪かった、知らなかったんだ」と詫びたのに(それもジェリドの責任とはいえない場面で)、ムウはステラたちの死を偲ぶこともなく、ハッピーエンド。
「強すぎる力はまた新たな争いを生む」と言っていたカガリは、ストフリ作ってたラクスと、キラ達最強軍団を前に何も言えなくなったのか、台詞ゼロという最終回。カガリさん、何か言いたかったんじゃないか? シンとカガリの絡みが決着を迎えず、その二人が空気のように雑に扱われるというのはいかがなものか。序盤では二人のすれ違いが物語の核になってたはず。アスハの綺麗事が好きだったシンと、その綺麗事を守ろうとしていたカガリ、すれ違い対立しても、本当に願うところは同じだった。その真実にシンとカガリが気づけたら、この物語はもっと感動できたに違いないと思いました。

メカも歌も台詞も良くて、キャラクターの描き方も感情を揺さぶる展開も、部分的には本当に最高でした。それだけに不完全燃焼というか、消化不良気味の終盤展開は悔しかったです。

良かった点について。ミーアの回が一番泣けた、というのは、良い意味での裏切りでした。実は、私はミーアというキャラクターが苦手でした。もともとラクスが苦手でSEEDの視聴を一度断念しているほどです。ミーアはハートマークのついたピンクのザクで登場するぶりっ子で、ラクスの上を行く私の「ザ•苦手」キャラクターだったのです。それが『ミーア』回で一変、どんなエピソードよりも泣かされました。もっと早く、誰かに救われてほしかったです。アスランはミーアやシンの傍にいながら結局2人を救わない、救えなかった。カガリを救ったのもキラ。戦闘においては誰よりも強いのに、助けが必要な人や救いを求めている人を救おうとする精神は未熟なんですよね。上手く導けない。シンだってアムロかブライトかシャアがいれば、もっと精神的に成長することができたかも?しれませんよね。少なくとも悪の手駒にされることはなかったかもしれません。

『君は僕に似ている』という神曲。seesaw恐るべし。これでもか、と何度も限界を超えてくる。変な表現ですが、最高と思っていた曲をどんどん飛び越えてきて、また最高!と言わせる、「最高」を上書きしてくる、seesawはそんな力を持っています。メロディの良さ、歌詞の良さ、何をとっても最高!しかも歌詞は物語に合っている。『君は僕に似ている』シンもレイもアスランもステラも、キラもカガリもラクスもミーアもデュランダルも、みんな大切な『願い』を守ろうと必死に戦って傷ついて、そんな姿がみんな似ている、本当の願いは同じなんだ、というメッセージに聴こえます。当時、この歌詞はキラとアスランのことだ、と多くの人が言っていましたが、私はもっと多くの登場人物に当てはまると感じていました。キラがシンに「君は僕に似ている」と言っても成立すると思います。
好きなところも多かったですが、シンやミネルバの仲間たちの救われなさに絶望していたんです。そんなときに、ニュースが届きます。SEED DESTINYの特別編が深夜に放映される、とのこと。
消化不良で胃もたれした部分が回復できるかもしれない、と僅かに期待して深夜の特別編を見てみました。

機動戦士ガンダムSEED DESTINY スペシャルエディション視聴後の感想

シンとキラの和解。
アスランとシンを引き連れたキラ。ザフトの白服(軍服)を着ている。終わり。

「強すぎる力は……」
最後の最後に最強軍団を結成して物語は完結しました。キラ、アスラン、シン、この3人に勝てる敵なんて、コズミックイラの世界には存在しません。ムウやバルトフェルド、イザーク、ディアッカ、ルナマリアが手を組んだところで敵わないでしょう。
テーマ的にはどうかと思いますが、絵柄的にはすごく良いです。カッコよかった!!
読後感?余韻はテレビの最後よりは良かったです。
花は何度吹き飛ばされてもまた植えればいい?
命はなんにだって一つだ、君は君だ。吹き飛ばされた花だって……。
……ダメ、かな?

友達とは意見が合いません。友達はとにかくキララクス推しなので……。友達曰く、彼らがすべて正しい、そうです。そして、もし正しくなくても、好きだからいい、だそうです。まあ、そういうものか、とも思う。
ですが、私は、やっぱり……
アスハの綺麗事が一番好きですね。

次回 劇場版機動戦士ガンダムSEED FREEDOMの感想

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