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80'sの詩

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80'sの詩をまとめてみました!!読んでいただけたら、嬉しいです☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ 宜しくお願い致しますm(_ _)m♡♡♡
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記事一覧

詩「赤い傘」

詩「赤い傘」

雨なんて降る気配もなかった
空は晴れ渡っていた
色とりどりのランドセルが揺れる
個性ある魂がぶつかる

信号は赤
止まれ
止まれ
止まれ
目を見開いて観察をする
どうしたら
黒の中の赤が黒になれるのか
歩行者専用ボタンを押しても信号は青にはならなかった
(ボタンを強く押しすぎて 簡単に私の世界にヒビが入った。)

空は突然涙を溢す
私たちの中から湧き出た
空に昇った想いを抱えきれない様に

いつも

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詩「サウンド」

詩「サウンド」

耳の奥深くで鳴らし続けていた音
暗い闇の中で救いみたいに光ってた
時間の流れに寄り添うから
手の隙間から零れ落ちてく
その感覚が心地良くて
何度も何度も
子供みたいに繰り返した

私が知っている海の色よりも深くて
夕闇よりも澄んでいた

音符の連なりは完熟したサワーポメロの飛沫
甘くて酸っぱくて
どこか切ない
意識を失いたくないから
アルコールはいらない
このサウンドの波に酔っていたい

繰り返さ

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詩「モラトリアムの終焉」

詩「モラトリアムの終焉」

僕の辞書から空白という文字が消えた
365日脳は稼働している
目の下のクマが暴れようが
みっともない顔で疲れたと文句を言おうが
明日はやって来る

僕の存在に意味があるのなら
明日を歓迎した
しかし
僕が立ち止まる前に
時代は先を急ぐ

余分な夢をみる暇も与えられず
ジョークすら許されず
クジラは空を選び
雲の中を泳いだ
ピエロはスーツを着て
サラリーマンになった
昼間
インスタントラーメンを箸も

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詩「しずく」

詩「しずく」

今日と同じ日は二度と来ない
今日と同じ雨は二度と降らない
しずくはたった一瞬を一生を懸けて駆け抜ける
膨張し続ける世界を中に閉じ込めて

僕はふいに立ち止まる
誰かに言われた事で
頭が真っ白になる
しずくは物にも跳ねないで
何の音も立てず
地面に吸い込まれていった
地上に降り注いだのに
爪痕さえ残せなかった
僕の不甲斐ない後ろ姿に無音の雨が落ちた

街は発光する
太陽の日差しを中に受け止めて
昨日

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詩「伝わらない」

詩「伝わらない」

丁寧に時間をかけて
艶やかに包装した言葉を
君はいらないと言って捨てた
こんな事は誰にでもある
僕は自分の空を黒くは塗らなかった
代わりに少しだけ穴があいた

電源をつけたラジオを放置して
庭に出るひと
若者が歌に紛らせたメッセージを
聴く者は居なかった
流れているのに
流れているのに
確かに そこに音として
空気は震えて泣いていた
一瞬で消滅する無数の星
僕はつけっぱなしの部屋で
暗号の様な紙切

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詩「変化」

詩「変化」

ぬるま湯みたいな
いつもの放課後
透明なマスカラと
透明なグロスを塗ったら
隣の女子に
「曇り空を切り取って 紙飛行機にしたらバレないよ。」
と囁かれた
雨上がりの街はラメみたいに光ってた
光が乱反射して
彼女の髪の毛を虹色にした

頭がツンとなって頬が紅潮した
新色のチークなんて必要ないや
毎日見えない魔法をかけていたつもりが
ほら
キラキラ⭐︎ステッキなんかなくても
厚意的な言葉は呪文になる

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詩「かげ」

詩「かげ」

揺れる
踊る
かげが舞うのは
あなたがそこにいる証

黒の中に紫を隠してる
かげですら高潔なシルエット
あなたを形造る
運命共同体

こんなに近くにいるのに
一番側にいるのに
輪郭がぼやけていく
つかまえることは出来ない
無邪気に誰にでも微笑む君に
強引に触れることなど

揺れる
踊る
くるくる回る
かげのすぐ側にはいつも
あなたが居る
しあわせそうに微笑むあなたが

逆さまになった影帽子
光が歪

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詩「ペイント」

詩「ペイント」

有り余った感情を
それぞれの色にして
壁に叩きつける
先人が描いた見事な絵の上に
稚拙な色を塗り重ねて行く

行き過ぎる人達は愚行を見て見ぬ振りをする
ごらん
これが退化だ

子供達は目の前の子供を笑わせることに必死になる
小難しい事なんて何も考えちゃいない
大人達は顔にも
何色も色を重ねて
素顔を見せようとはしない
本気で笑っていないから
仕事場のパソコンよりも先に
人間がフリーズした
心は簡単

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詩「恍惚」

詩「恍惚」

過酷で加工出来ない現実を彷徨ってる
大抵の事柄は美化できた筈なのに
プリクラに写っている私は機械が作り出した別人だった
この子だったらうまくやれていたのかな?
しあわせになれたのかな?

何かを忘れた人達は皆うっとりとした瞳をたずさえていた
私とは違う世界に爛々と生きている
若い頃は願った忘却
今は簡単な単語が出てこなくなってしまうのが
放っておかれた子羊の様に
やけに心細い
透明な文字の空間をひ

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詩「今日の続きを誰も知らない」

詩「今日の続きを誰も知らない」

昨日も私の為の予告は特に流れなかった
昔 センセイは予習の重要性について
非常に熱心に説いていたが
今日起こる出来事の詳細について
誰も把握していない

大勢の人の波に溺れながら
大海の真ん中に流れ着いた蟻について思う
=私みたいだね
なんてね

明日をよく知らないのに
グッスリ眠らないといけないなんてさ
毎日が舞台の初日に似てるね
この歳にもなると
もう
手に汗なんて握らないけどさ
毎日が修学旅

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詩「パレット」

詩「パレット」

小さい頃
真っ白なパレットに
様々な色を出した
鮮やかな色達は僕の心模様

そこに
ここぞとばかりに
僕が放った黒い絵の具が侵食していく
墨汁やイカの墨とは違う圧倒的な濃い黒色
僕は
何にしても使い方が下手くそだった
パレットにこびり付いた
混ぜるのに失敗した絵の具を
何度も水で洗い流した
それでリセットしたつもりになった
僕は
せっかくのエメラルドグリーンを台無しにした
鮮やかなエメラルドグリー

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詩「ここに産まれてきたならば」

詩「ここに産まれてきたならば」

「足から根が生えて ここからは逃げられない。そのくせ 俺には翼が無い。」
電車の車窓から見えていた太陽は雲に隠れた
若者の悲痛な叫びは遠くで微かに聴こえるサイレンの音によく似ている
非常事態だと分かっているけど
私には手が届かない
関与できない

彼等が肩を落とす度
空気はか細く震える
吊り革を持っている手が揺れに合わせて
哀しく踊る
ほんの少しの温もりを分けてあげられない代わりに
今日も勝手に祈

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詩「よその子」

詩「よその子」

前の私の靴を踏んで
何もない様な顔をした子
突然大きな声で駄々をこねた子
親に嘘をついて叱られた子

そんな よその子が
ちっとも可愛くないと
膨れっ面した私の前で
どこかで見た様な子がスッと通り過ぎた
それは 誰かさんによく似ていた

もう一度
よその子を見て
そんな訳がないと
気のせいだと
一生懸命 自分に言い聞かせた

よその子は無邪気に笑い続けていた

詩「季節外れの暑さの中で」

詩「季節外れの暑さの中で」

四季に当てはまらない
突然の熱に微睡む
私は
存在しない季節の隙間に埋もれる
(確かにいつも色々と決めていたのは人間だった。)

思わぬ汗が噴き出る
長めのシャツをたくしあげて
無理矢理半袖にする
(いつも辻褄をあわせようとして歪になるのは私の悪い癖だ。)

アイスが欲しい
アイスが欲しい
アイスが欲しい
(人間の欲望は熱で一旦は溶けるが時間が経てば また再生する。)

今日に限って
小さめのハン

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