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【続いてる写経 1493日め】4TBの仏教の叡智、公開中

『法然と極楽浄土』展で度肝を抜かれた一つに、浄土宗大本山増上寺の所蔵する『三大蔵』がありました。

『三大蔵』のリーフレット

『三大蔵』は古代インドから伝わる仏教教典を編纂したもので、中国の宋版、元版、高麗版の三種があり、その三種すべて保管しているのは増上寺だけ。
製作された時代の印刷技術の粋を集めたそうです。

こんな感じの木版です。

さらに凄いのは、増上寺さんこれをすべてデジタルアーカイブとしてネット上に公開しているのです!!

経典の検索もできるので、改めてこの『三大蔵』にある『般若心経』を調べてみました。

トーハクで展示されていた高麗版を発見。
ここで注目したのは、「无」と「無」です。

増上寺『三大蔵』高麗版より抜粋
増上寺『三大蔵』高麗版より抜粋

前半はほぼ今写経で使われている文字と変わらずです。

通常は、「無無明亦 無無明盡」、もしくは「无无明亦 无无明盡」と、同じ漢字が二つ使われるのです。

この高麗版は「無无明亦 無无明盡」と、「无」と「無」が混在してます
他の箇所では「无」と「無」が使い分けられているのかもしれません。

また、後半の「是大神呪 是大明呪」のところは、「是大神呪」がない。

さらに、「故知波羅蜜多呪」のところは、「故知波羅蜜呪」と「多」が抜けています
最後の「ぎゃーてい」の部分も、使われている漢字がちょっと違いますね。

この高麗版、三蔵法師・玄奘訳の「般若心経」と書かれており、日本に伝わっているものも、玄奘訳のはず

同じ訳出でも違っているのが興味深いです…。

高麗経由とは違う伝わり方をしたのでしょうか?
中国から伝わる途中でちょっとずつ、改変されたのかしらん?

木版なので、掘った人のお名前が入っているのも面白いですね。

板木つくるの、細かいから大変だっただろうなあ…。
それこそ、抜かしちゃったとか、間違えたとかあるかもしれませんけど。

それにしても、このデータベース、4TBあるんですって。
地上波デジタル放送ならば、480時間分。

これを無料公開している増上寺さん、太っ腹ですね。
スキャンも大変だっただろうに…。

現代にデジタル化されて、より検索性も増して利用しやすくなった。『大蔵経』を編纂した人たちの苦労も報われますね。
ここから新しい研究が拓けたりするのかもしれません。

一庶民の写経マニアがちょろっと検索しただけでも、このデータベースの奥深さ伝わりました。

こんなのがあればねえ、最澄さんの”理趣経を貸してください”トラブルなかったかもねえ…。




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