日韓若手文化人対話

日韓若手文化人対話シーズン2の第3弾がスタートします! 日  時:2021年10月1…

日韓若手文化人対話

日韓若手文化人対話シーズン2の第3弾がスタートします! 日  時:2021年10月16日 (土) 16:00 - 17:30 開催方法:オンライン(Zoomミーティング)※通訳付き お申込み→ https://japankoreaculturetalk.peatix.com

最近の記事

「履歴書」オ・ウン

飯を食って書く 飯を食うために書く 一行書くたび溜息が出る 僕が優秀で 温厚で 礼儀正しいということを 可能な限りさりげなく語らねばならない 今宵は そして 今宵も 謙虚に自慢しなければ 一人でワルツを舞うように 騒々しいパントマイムのように 甘い舌でささやくみたいに 包み方を一人で覚える時間 次にいつバージョンアップされるのか自分でもわからない 書き終えるときまって腹が減る いくら食べてもまぼろしのように軽くなるけれど 数行の嘘のように 明日の朝 書類が開かれる

    • 「フレットレス」三角みづ紀

      夏の庭で 植物がたのしそうにはしているが それは形容にすぎない へだたりなく ことばをあやつれたとしても 君をおこらせてしまうときもある 夏の庭で やわらかくひざしに やかれて きょうはあついですね、なんて 植物に水をやる へだたりなく ことばをあやつれるはずなのに おこってしまった君が ねむったふりをする 水がかわかぬうちに 朝食の支度をして ふっとうするまでの流れで またあたらしいことばをかんがえている 詩ではないことばをかんがえている 現代詩文庫『三角みづ

      • 「ふり」オ・ウン

        僕の名前は「ふり」 ある日 僕は自分に自分を紹介した 僕が僕を知ってるふりをして 僕が知らない僕を 実は知っているけれど知らないふりをしていた僕を 僕の名前は「ふり」だから しばらく「ふり」でないふりをしてたんだよ いや ちょっと「ふり」のふりをしていたんだ 小さなカメラの前ではかわいいふり 大きなカメラの前では純粋なふり もっと大きなカメラの前では真剣なふり カメラも社会もうまくいっているふりをしていた 僕はたしかに学校に行ってたのに 月曜になるときまって転校生に

        • 「私を底辺として。」三角みづ紀

          私を底辺として。 幾人ものおんなが通過していく たまに立ち止まることもある 輪郭が歪んでいく。 私は腐敗していく。 きれいな空だ 見たこともない青空だ 涙は蒸発し、 雲に成り、 我々を溶かす酸性雨と成る はじまりから終わりまで 首尾一貫している 私は腐敗していく。 どろどろになる 悪臭漂い 君の堆肥となる 君は私を底辺として。 育っていく そっと太陽に手を伸ばす 腕、崩れる 現代詩文庫『三角みづ紀詩集』(思潮社)より

        「履歴書」オ・ウン

          「未視感」 オ・ウン

          そんな法があるものですか 泣き叫びながら人がしがみつく ここにあります 人が淡々と答える 存在しなかった法ができた瞬間 身体が崩れた 心が崩れた ぽきりと 気持ちが折れた ここから出たことがないのに 一度だってここに所属したことがなかった気がする どれもこれも初めてみたいにおぼつかなかった 人が人を取り囲む 囲む人と囲まれる人がいる 口をきかない 人が人にどう対していいかわからない 人なのに人でいることがぎこちない ここで泣いていた人が 道にしがみつくようにか

          「未視感」 オ・ウン