ヨーロッパとアジアの違いってなんだろう
ヨーロッパの人たちは、「ヨーロッパはこんな文化だけど、アジアの文化は・・」といった言い回しをよく使う。つまり彼らは世界の文化をいくつかの大きなグループで括った場合、「ヨーロッパグループ」「アジアグループ」という分け方をしている世界観が浮かび上がってくる。
「アジア」ってどの地域?
では、この場合の「アジアグループ」とはどの地域を指しているか。
僕の印象では、ヨーロッパから見て「ユーラシア大陸の反対側の地域」というざっくりしたイメージを持っている。黒い髪、黒い瞳を持った人たち。
因みに、ユーラシア(Eurasia)ってEuropeとAsiaを合成した言葉やってんね。このテーマを考え始めるまで知らんかった。
アジアとヨーロッパの境界は?
絶対的な定義はなくて、なんとでも言えるみたい。
ただ、一般的な定義はヨーロッパ人の視点が基準になっている様子。それの意味するところは、
「ユーラシア大陸の中で、ヨーロッパの人が同じ仲間と感じる範囲まではヨーロッパ。そこから外はアジア」
で、両者の境界の代表例とされるのが、トルコのボスポラス海峡。
そのため、トルコの東側は、日本と同じアジアに分類される。しかし、トルコと日本が同じ文化圏のグループに属するという定義は、さすがに違いが大きくて無理があると感じる。
無理があると感じる理由は、トルコより遠い地域を「アジアという名前で一括りにしている」からだと思う。前述のとおり、ヨーロッパの人が同じ仲間と感じる範囲を超えた地域を、ユーラシア大陸の「その他」と括っているわけだから、「その他=アジア」の中で国々が似ているか違っているかは、あまり考慮されていない。
北の境界は?
北の方では、一般的にはロシアのウラル山脈が境界とされている。
当時の職場にはロシア出身の同僚がいて、彼女はウラル山脈のすぐ東側、つまりこの定義によると「アジアに属する村」で生まれ育った。
その彼女は、見た目はヨーロッパ的な顔立ち。髪はブロンドで、瞳は水色。鼻は高くて彫が深く、身長も高い。彼女の生まれ育った地域に住んでいる人たちは、みんな彼女のような見た目とのこと。
彼女に、自分はヨーロッパ人かアジア人かどっちだと思うか聞いてみた。
ロシア人同僚
「私は地理的な定義によるとアジア出身ってことになるわね。でも私は、アジア人じゃなくて、ヨーロッパ人」。
ということらしい。まあ、彼女は人種的にも文化的にもヨーロッパ人と共通点が大きかったから、いくら地理的にアジアで生まれ育ったとは言っても、さすがにアジア人と呼ぶには無理があるだろう。
ユーロ紙幣でチェックしてみよう
ユーロ紙幣をよく見てみると、ヨーロッパの地図が描かれている。ここにはどの地域が描かれているか見てみると・・。これまで書いたとおりの境界が確認できる。
ジョージアはヨーロッパ?アジア?
なんでこの話を書いているかというと、むかしアジアとヨーロッパの間くらいの国、ジョージアへ旅行に行ったときに、「アジアとヨーロッパの境界ってどこだろう」って思ったから。
そのジョージアは、ロシアとトルコの間にある微妙な位置。
どこやねんジョージアって、という疑問への答えが簡単でない。
〇 ヨーロッパの一番東側に入るか入らないか微妙な地域
〇 アジアから見れば西方向へ一歩外側
〇 中東から見れば北方向へ一歩外側
〇 ロシアから見れば南方向へ一歩外側
この位置関係からして、どこに属するか、非常に微妙。そして必然的に多様な文化が混ざる地域。
実際に行ってみると、どこの文化圏だか本当に分からなくなった。
人々は、東欧っぽい見た目の人が一番多い。でも、トルコ・ロシア・中東・中央アジアっぽい人達もそれなりにいる。
昼間から男性たちが街角でたむろしていたり、客引きもかなり強引だったりという行動パターンは、ヨーロッパではなく、アジアか中東が思い起こされる。
さらに街の建物も、どこの様式というのが言いがたい、雑駁な建物が混ざっている。
そんなジョージアの街は、人を見ても街を見ても、自分が世界のどこにいるのか見失ってしまった。
こんな不思議な地域もあるんやね。世界は奥が深いなぁと思った。
ジョージアという呼び方について補足
ちょっと話がそれるけど、僕の記事ではこれまでずっと、グルジアという昔の呼び方で統一してきた。ジョージアだとアメリカの州と区別がつかないから。
でも2015年に日本政府は日本語の呼称をジョージアに改正した。理由は、当時のグルジア政府がグルジアというロシア語的な読み方ではなく、英語的な読み方であるジョージアに変えてくれという要請に応えたため。グルジアの脱ロシア化に向けた外交活動の一環だった。
日本語での世界各国の正式な読み方は、日本の法律で定められている。前述のとおり、グルジア政府の要請に従って2015年に法改正を行ったから、現在は「日本語での正式な呼び方=ジョージア」となっている。
因みに、ジョージア語での自国の呼び方は「サカルトヴェロ」。自国の呼び方が海外での呼称と全然違っているパターンやね。
説明が長くなったけど、世間的にはジョージアという読み方が定着したように感じるようになったので、僕の記事では今後はジョージアに統一しよう。
ジョージア人に聞いてみた
さて、話を戻して、ジョージアはヨーロッパなのかアジアなのか。
僕自身も疑問に思っていたから、ジョージアへ旅行で行った時に、ジョージア人に聞いてみた。
「ジョージアはヨーロッパ?それともアジア?」
そしたらこんな答えだった。
ジョージア人
「歴史的な経緯から、地理的・政治的にはヨーロッパに分類されるよ。でも人々の中身はアジア人。というのも、ヨーロッパの人、特に西欧の人は自由とか平等とかの価値観を重んじるでしょ。でも僕たちはそれよりも伝統とか仲間を重んじるから、アジア人の考え方だよ」。
つまり彼の考えでは、アジアを特徴づけるのは、人々が伝統とか仲間とかを重視すること。
一方で、ヨーロッパは何によって特徴づけられているかというと、人々が自由とか平等とかの価値観を重視している地域、とみている。
そしてジョージア人が、自分たちが重んじる価値観を考えると、自分たちはアジアに近いと。
確かに、その後で僕が働いていた会社に入社してきて仲良くなったジョージア人の同僚は、やっぱりヨーロッパの人たちとは違うウェットなメンタリティだった。という経験もあり、僕にとってはナルホドな分類だった。
さて、みなさんは「ヨーロッパとアジアの違いは何によって特徴づけられる」と考えるでしょうか。
by 世界の人に聞いてみた
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