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「誰かのため」は自分に返ってくる(失くしたピアスと思い出が見つかった話)

先日、引っ越しをした日の話です。

引っ越し先は2kmもないくらいの距離なので、自分の手で運びたい物だけ旧居の方に残していました。

荷物の運搬が終わり、引っ越し業者さんをお見送りした後、自分で運ぶ物を取りに、あと、最後にさっとお掃除するために戻りました。

退去後のガランとした部屋でひとり、「ここでいろんな記事書いたなぁ」としみじみしながら、床やキッチン周りなどを拭き掃除しました。

まぁこんなものかなと、終わりにしようとした時。

そのお部屋ではレンタル家電などがあったので、冷蔵庫とかは残っていたんです。

冷蔵庫をどかしてまでは、掃除する必要もないと思っていたのですが、4年間お世話になったお部屋です。

この後ルームクリーニングで入る業者さんに対しても「冷蔵庫どかしてぶわ〜ってほこりとかあったら嫌だろうな、そもそも私が作ったほこりなのに。気持ちよくお仕事してもらいたいな」という思いがよぎりました。

そしてどかしてみることに。

すると、喫茶店のポイントカードが落ちてて。でも1ポイントしか押されてない。しかも期限切れ。

あるよね、冷蔵庫の下っていろいろ落ちるスポットだよね。

他にも何か落ちてるかもしれないと思ったので、もうちょっとどかしてみたら…

出てきた!  ずっと探していたものが。思わず変な声が出た。

肉眼で見ればもうちょっときれい

もう10年以上も前に買ったピアスの片われ。

マリングッズが好きなので、安物だけど、すごく気に入って大事にしていたのに、突然片方だけ失くしてショックだったやつ!

アシンメトリーなデザインで、ヒトデの方だけが1年以上も行方不明でした。

もしクリーニング業者さんが見つけてくれたとしても「ピアス落ちてましたよー」とまで、連絡してくれるわけないよね。

ヒトデくん、きみゴミ箱行きになるとこだったよ。

はい、ここですぐに思い出したのはこの曲。

Omoinotake「惑星」

“部屋の隅で飛べずに佇んでるピアスは…”

あれってこういうことだったんだ(違う)。名曲だなぁ。時々無性に聴きたくなる。


晴れて、先に新居入りしていたタツノオトシゴと1年ぶりの再会を果たすヒトデ(同じ部屋にいたんだけど)。

きれいに消毒して、1年ぶりにそのピアスを両耳につけてみた。

好きだった人が「そのピアスかわいいね。こっちがタツノオトシゴで、こっちがヒトデなんだね」って右と左、両方から笑いかけてくれた表情を思い出した。

失くした時も、思い出したな。

いや、このピアスを付ける度に、思い出していたかも。

ピアスはもうくすんでしまったけど、その人の笑顔はきらきらしていた。

ジュエリーに勝る笑顔とは。


思い出は思い出として、一緒に引っ越しをするのかな。

それとも、新たな出来事が降ってきて、思い出はそこに埋もれて、思い出すこともなくなってしまうかな。

そうなってほしい気もするけど、何度引っ越しても、忘れることはないみたいだ。

失くしたピアスを見つけられたのは、掃除してくれる人のことを考えて冷蔵庫をどかしたからだった。

「情けは人の為ならず」は本当かもしれない。

誰かのためにしたことで(自分のほこりだけど)、自分の大事なものが見つかって、思い出も回収できて、また新しい生活が始まる。

埋もれてしまうとしても、思い出せるうちは大事にしたい。


▼エッセイのような言葉のかたまりはこのマガジンに収めています


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