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餃子のルーツを学ぶvol4 宇都宮餃子はなぜ生まれた?

こんにちは。学ぶ餃子vol4です。

今回のお題は、

宇都宮餃子はなぜ生まれた?

です。

それでは、ノートを机にペンは手元に、準備はいいですか?🥟

そもそも、宇都宮餃子とは?

「餃子」といえば何も珍しくない料理ですが、「宇都宮餃子」は1991年(平成5年)に宇都宮餃子会に登録商標されているれっきとしたブランド品です。とはいっても「宇都宮餃子」に明確な定義があるわけでなく、基本的には宇都宮市内で作られている餃子や市外でも宇都宮市内の餃子店の支店などを含めて「宇都宮餃子」と呼んでいるようです。餃子の種類も関係なく、焼餃子、水餃子、揚餃子、スープ餃子も宇都宮に関係していれば「宇都宮餃子」です。

にっぽんの郷土料理観光事典

とのこと。つまり、宇都宮内で餃子店の繁栄があってこそ宇都宮餃子が今もなお名を博していると考えられます。そこで気になるのは、宇都宮餃子を食べる宇都宮市民の餃子愛はいかほどか、ということ。
ここで、総務省の2022年家計調査から、宇都宮市のギョーザの年間購入額を見てみましょう。

22年の1世帯(2人以上)あたりの購入額は1位宮崎市4053円、2位宇都宮市3763円、3位浜松市3434円。

※総務省の調査のギョーザ年間購入額は、県庁所在地と政令指定市、東京都区部が対象。
※スーパーやコンビニ、デパ地下などで購入するギョーザが対象で、冷凍は対象外。ギョーザ店での外食も含まれない。持ち帰り専門店での購入は統計に入るが、飲食スペースがある店からの持ち帰りは対象から外れる。

朝日新聞DEGITAL

以上からわかる通り、全国2位ということで宇都宮市民にとって餃子は家庭料理としてポピュラーな選択肢になっていることがわかります。
現在は2位であるものの、実はそれ以前、宇都宮市が1位をとっていた歴史も持っているのです。

総務省の 発表する全国家計消費量調査(餃子の部)、(全国餃子消費量 調査と記載したりもする)、で調査が始まった昭和62年から (宇都宮市が)1位をとり続けていたというのは、不思議なことではなかっ たのである。その後平成7年に静岡市、平成23、24年に 浜松市に1位を奪われた以外は、宇都宮市が1位を独占して いるのである。通算24年間である。

宇都宮市と浜松市の餃子戦争について

とのことで、宇都宮市が上位にランクインしていたのにはかなり長い歴史があるみたいです。
そこで一つ疑問が浮かびます。

なぜ宇都宮市民はそんなに餃子を食べるのか?

続いては、宇都宮での餃子の起こりを見ていきましょう。

一般的には戦後の昭和時代にさかのぼると考えられいるようです。戦後、宇都宮市には多くの中国からの引揚者が定住し、その中には料理人や飲食店経営者も含まれていました。彼らが持ち込んだ餃子の技術やレシピが地域に広まり、宇都宮餃子の基礎が築かれたと言われています。
例を挙げると、

宇都宮駅を西口、宮の橋のあたりに昭和26年ごろ、この橋の東詰めに宮茶房という名の喫茶店があった。この宮茶房が、宇都宮で餃子を出したとされる最初の店である。宮茶房の餃子は中国北部の餃子だった。 また宮茶房の経営者についてはよく分かっていない。だが、 引揚者から称賛される餃子を作っていたのは間違いないようだ。

宇都宮市と浜松市の餃子戦争について

とのこと。つまり、中国からの引揚者から経営者へ餃子の文化交流が起こっていたとも考えられるのではないか、と思います。餃子知識の輸入と伝達が、宇都宮餃子の発祥において重要な役割を果たしていたといえます。

続いて少し時代は進み、2年後の昭和28年。また新たな餃子店が生まれたようです。

昭和28年頃、今となっては、宇都宮のシンボルである、大イチョウの下に、一軒の屋台店ができた。「蘭鈴(らんりん)」 である。 宮茶房は餃子中心の営業ではなかったが、蘭鈴は餃子を商売の中心として成立させた初めての店舗である。「蘭鈴」の餃子は、具にひき肉、ニラ、玉ネギ、貝柱、キクラゲ、いり卵 などのほか、エビ、ナマコを入れた餃子であった。この頃は 材料不足が依然として続いていた時代であり、東京の築地に足を運び材料を仕入れていたという。 また蘭鈴の経営者、鈴木フクに餃子を教えてくれた知人は、 中国料理人であったようだ。中国北部で日本人が覚えてきた餃子は家庭料理であり、料理店で提供されるようなものではなかったからである。

宇都宮市と浜松市の餃子戦争について

この時代には、中国料理人から日本人餃子店経営者への餃子知識の交流が行われていたことがわかります。
そうしたこともあり、宇都宮には餃子の店の豊富さもさることながら、独自の餃子文化が根付き、餃子を愛す人々がたちまち溢れるようになったのではないでしょうか。

その後、餃子で町おこしをしようと考えた宇都宮市役所の職員たちは、任意団体「宇都宮餃子会」を発足。また、「宇都宮餃子」を観光資源としてさまざまなイベントの開催、餃子マップの作成、餃子駅弁の販売、餃子像の建設などに力を入れ、現在では年間約80万人が宇都宮に餃子を食べに来るほどになったそうです。

宇都宮市特産の大谷石でできている餃子像。宇都宮駅西口前に設置されている。

現在、宇都宮市内には多くの餃子店があり、宇都宮餃子祭りを年に一度開催されています。2022年には餃子祭りが3年ぶりに開催され、約30店舗の餃子店が宇都宮城址公園に集まりました。また宇都宮市外でも宇都宮餃子を提供する店舗やレストランが増えており、その影響力は広がっています。

まとめると、宇都宮餃子の誕生には、中国からの引揚者による餃子の技術やレシピの輸入、中国の餃子文化を取り入れた餃子店経営者と餃子を愛する宇都宮市民の存在、そして宇都宮を盛り上げようと取り組む宇都宮市の活動が関わっていることがわかりました。

宇都宮に足を運ぶ機会がありましたら、宇都宮餃子をぜひご堪能あれ☺️



きよみちゃん

21歳、女子大学生、文学部。東京都在住。
「くいれぽ餃子」編集部メンバー。
皮厚め・生姜味よりニンニク味が強い方がタイプ。猫舌のため、あっつあつの肉汁を包む餃子はちょっと敬遠してしまう。キンキンのハイボールで脂を蹴飛ばすまでが「餃子を食べる」ということである。ちなみに、春巻きも大好物。大学の空きコマに町中華を食べたり、Googleマップで調べた中華料理屋さんへ、休日足を運ぶこともしばしば。
餃子は私のソウルフードである。まさしくエネルギー源。🥟life with gyoza🥟


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