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こんにちは、おっさん。

結婚して間もない頃、主人がこんな事を言っていました。

「俺、もし子供が生まれたら自分の事、おっさんて呼ばせたいんだ。」

「え?なんで?」

「なんか、威厳があってカッコいい感じがするから!」



月日は経ち、私たちは子供を授かり、そしてその子は、すくすくと育ち、言葉を話すようになった。

子供は、名前はえいじ。

えいじは、夫のことを

「とーちゃん。」


と呼ぶようになりました。


呼び方、普通。


ところが

数ヶ月後、神の采配なのか、夫の願いが届いたのか、その日は突然やって来ました。

私「ただいまー」

買い物から帰ってくると、えいじが出迎えてくれました。

えいじ「おかーさん、おかえり。えいちゃんね、おっさんとあそんでたの。」

私「そうなんだぁ。良かったね!えいちゃんにおやつ買ってきたよ。」

えいじ「やったー!おっさんにもあげる!」

私「うん。あげな、あげな。」

えいじ「おっさん!おやついっしょにたべよ♪」

私「うん。一緒に食べな。」

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

てか、おっさんて誰だよ!


私「え?何で?えいちゃんに、おっさんて呼ばせる事にしたの?」

興奮気味の私に、夫は冷静に答えた。

夫「いや。突然、俺の事、おっさんて呼んできた。」

私「え?突然ってどうゆう事?」

夫「‥‥知らない。いきなり呼んできた。」

私「そんな事あるんだね!おっさんて呼ばせたいって夢叶ったね!笑。」

夫「‥‥‥。あぁ。うん。」

私はわかる。

夫は喜んでない。

自分から、おっさんて呼んでね!と言って呼ばれるのと、ナチュラルにおっさんと呼ばれるようになる事はどうやら違うようだ。

あまり嬉しそうではない夫をよそに、その日を境にえいじは、夫の事を徹底して、おっさんと呼ぶようになった。

えいじ「ねぇねぇ、おっさん、ジュースのみたい!」

えいじ「きょうは、おっさんとおふろはいるのいや!」

えいじ「おっさん、はやくおきて!」

容赦なく、おさっんと呼んでくる。
むしろ、とーちゃんと呼んでいた時より呼ぶ回数が増えたんじゃないだろうか?

そんな中、このまま父親の事をずっと【おっさん】と呼ばせていいものだろうかと私は悩んでいた。

主人にもその旨を伝えた。

主人「そのうちまた自然に元に戻るから、そのままでいいよ。」

あくまでも自然に戻るまで待つスタイルらしい。


そして、私達は大事な事を忘れていた。

もうすぐえいじは、

保育園に入園する


次回

【おっさん、さようなら】



今日も最後まで読んで頂いてありがとうございました。














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