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Albemuth 1st ONE-MAN LIVE『罪と楽園』ライブレポ

 どうもです。

最初で最後…本当にありがとう

 4月9日(火)Zepp Shinjukuにて、クリエイティブレーベル「KAMITSUBAKI STUDIO」所属のVsinger、存流ある明透あすによるユニットAlbemuthの1stワンマンライブに行ってきました。これまで配信での開催はありましたが、現地は初。昨年リリースされた2枚の1stアルバム『ADAM』と『eve』の二面性をコンセプトにした楽曲披露がメインでありつつ、この公演を以て存流がアーティスト活動を終了する事が決まっていたので、彼女の為の公演でもありました。言ってしまえば今回が最初で最後のワンマンライブです。

 定刻通り暗転すると、オープニングムービーが流れた後に、「幽ノ楽園」で開幕。2年前正式にユニットを組んでリリースされた最初の曲。美しく奏でられるピアノの旋律とシックな白い衣装に身を包んだ2人の歌声が響くと会場の空気が一瞬で変わりましたね。そのまま「赤い洗礼」⇒「清々する」と、前半はAlbemuthしろとして『eve』の楽曲達が次々と披露されていく形に。ステージ上部には常にリリックモーションムービーが流れ、両サイドには生バンド。別世界へと導かれる様な不思議な感覚に襲われながら、4曲目「感光」では切なさを加速させるメロディが胸を刺し、早いと思いながらも泣きそうに。曲間にはポエトリーが挟まれており、一つの物語を形成する様な構成になってましたね。MCは無く、ノンストップで「星月夜の調べ」⇒「白夜にて」を披露。2人で目を合わせつつ息の合った綺麗系のダンスを魅せ、曲の〆でポーズが決まると歓声が上がってもいました。皓としては終盤、「箱庭」⇒「新世界へ」を披露。「新世界へ」はAlbemuth結成前から2人で歌った最初の曲で、映画の様な只ならぬ雰囲気で幕を開けるドラマティックソング。ピアノのように繊細で囁き混じりの透明感ある歌声が持ち味の存流、対照的にハリのある大人っぽい声で予測不能の声色を持つ明透、そして2人の美しいハーモニーが文字通り新世界へ連れていってくれました。ここまで温かみと神聖ささえ感じる光を放つ荘厳な雰囲気はアルバム通り徹底されていたので、劇場でのミュージカル作品を見ている様でもありました。感動しかなかったですね…。(『eve』から披露されてない曲あるな…とも思いつつ)

 一旦ムービーが流れて、Albemuth黑の世界へ。黒を基調に赤が差し込まれたスタイリッシュな衣装になった2人が登場し、「guilty」で再スタートを切りました。ライティングも青から赤へと変わっていき、前半とは全く異なる、メランコリックでダークな雰囲気へと変わってきましたね。そのまま「HALF」⇒「BlackGlow」までまだまだノンストップ。「HALF」ではクラップやジャンプなどフロアも熱い盛り上がりを魅せ、イントロで歓声が上がったTeddyLoid & Gigaによる「BlackGlow」では爆裂爽快サウンドと共にクールなラップを聴かせてくれました。

 ここで、ようやくMC。明透ちゃんがファンと「イェーイ!」とコーレスを楽しんでおり、「楽しすぎて何度もやってしまう」と喜んでいましたね。そんな明透ちゃんを見守る存流ちゃんも可愛いらしい笑顔を魅せてました。「前半はAlbemuth皓の世界をお届けしましたが、ここからは会場を黑の世界へ染めていきましょう!」の明透ちゃんの掛け声と共に「tuberose」で再開。妖艶で酔いしれるメロディが印象的な1曲ですが、ライブでの盛り上がりは十分。そんな熱気を更に上げていく様に「Do You Wanna Die?」⇒「Laziness」を連続投下。どこか禍々しく不気味ながらも、その力強さにどんどん魅了されていきましたね。2人以外にもシンガーがいるのではと錯覚してしまう程の奥行きあるハーモニーや、普段は見られなかったカッコいいキレキレのダンス等々、サウンドの迫力以上でした。その後も「Replica」「Underdrain」「jealousy」とアプローチに富んだ楽曲を一気に歌い上げ、あっという間に「次で最後の曲です!楽しんでいってください!」とラストは「cage」を披露。クラップ、ジャンプ、シンガロングなどファンも全てを出し切る盛り上がりで、本編は幕を閉じました。

 アンコールに応えると、存流ちゃんが自身のソロ曲「いのり」で再登場。ラスサビ前で明透ちゃんも登場し、なんと2人で温もりに溢れた切ないバラード曲を歌ってくれました。そのまま、アルバム『eve』の中でまだ披露していなかった「饒舌な星」が続きました。もう歌詞が突き刺さる。”あなたには笑ってほしいかな”、"あなたは優しく生きてね"で大分涙腺に来てた。

 ここで、遂に長めのMC時間が取られました。存流ちゃんから「私はもう少ししたらこのステージからいなくなってしまいます。ライブが終わったら歌う事が好きな普通の女の子に戻ります。だけど、音楽は私にとって人生だから…音楽は続けていきたいと思っています。明透ちゃんは、陽だまりの様な存在で、話すのが苦手な私の事も優しくしてくれて、隣にいて幸せだった。1人にしてごめんね、でも私はこれからもずっと応援しているし、ここにいる皆んなが支えてくれるから」と、ファンと隣にいる明透ちゃんに向けて、丁寧に言葉を紡いでくれて覚悟みたいなのも感じてカッコよかった…。明透ちゃんは、もうずっと涙を堪えている様子で「なんて言っていいたらいいか分からない…もう一緒に歌えなくなるんだと思うと…」と素直な悲しみを露わにしており、そんな2人の様子や言葉を前に自分も実感が湧いてきてしまって…。でも、存流ちゃんが「寂しいけど、ずっと曲の中に私はいます、音楽は永遠です。みんなの笑顔、涙、音楽と共にした様々な時間。全てが私の宝物です」と最後に力強い嬉しい言葉を残してくれました。

 別れは本当に辛いけれど、ここは終りだけではなく、お互いの旅立ちにもなります。送り出してあげなければ。そんな想いを込める様に最後の最後はやはり「舟」が披露されました。メロディも歌詞もこの日の為に作られたのではと、有り得ないのにそんな事を思ってしまう位にピッタリで…。"どうぞ ここにいて"で想いを振り絞って歌う明透ちゃんの姿が鮮明に焼き付いているし、存流ちゃんもずっと曲と共に、"ただ目を閉じれば ここにいる"、そう思える最高に美しいエンディングでした。

 その後のエンドロールや明転しても拍手に包まれており、Albemuthが愛されていた事やこのライブの満足度を物語っていたと思います。本編での荘厳で美しい皓の世界から、激しくカッコいい黑の世界まで会場を染め上げていく姿は圧巻の一言。アンコールは存流ちゃんの為に、ゆっくり時間を取ってくれて、あの3曲でちゃんとお別れできた気がします…。彼女は体調を鑑みての活動休止からそのまま終了だったので、勝手な推測ですが継続的な活動が難しいと云う結論に至ったんじゃないかと。なので、彼女がこれから別の道を歩んでも、健康で元気にいて欲しいなと心から思います。“音楽続ける”と聞けて嬉しかったし、明透ちゃんがライブする時なんかは見に来てくれるだろうし。今迄沢山ありがとうとお礼を言いたいです。改めて、最初で最後のAlbemuthワンマンライブは歴史に刻まれる素晴らしいライブでした。本当にありがとうございました!


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