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花鋏キョウ 4thワンマンライブ『FLORIST』ライブレポ

 5月4日(土)池袋harevutaiにて、VTuber事務所「Re:AcT」に所属している、花鋏キョウの4thワンマンライブに行ってきました。ワンマンは2022年7月30日の生誕記念ライブ『DAWN』以来の開催となり、約2年ぶり。私も当時は現地で参加してたので、久々のワンマンに胸が高鳴ってました。昨年末のエルぽき主催『深海フェス2023』に出演されていたので、生歌聴く事自体は久々ではないとは言え、ワンマンは特別ですからね。
 現地開催と併せて、ZAIKOでリアルタイム配信され、アーカイブは2024年5月12日(日)23時59分まで視聴可能。全編の視聴には有料チケットの購入が必要ですが、YouTubeでの無料パートでは2曲見れるので是非。

 影ナレで花鋏キョウ自身が注意事項などを読み上げ、ライブの始まりを今か今かと待ちわびる中、定刻通り照明が暗転。まずは温かい雰囲気のオープニング映像が流れ、この約2年程でリリースされたCDジャケットイラストや、MVのイラストが映し出されました。ライブタイトルも表示され映像が終わると、いよいよキョウが美声を響かせながら登場し「imaginary」からスタート。照明がステージ全体を薄っすらと照らす中、初めは彼女の姿も横からのシルエットのみでしたが、イントロ明けで全貌を拝む事ができました。しなやかな振り付けや軽やかなステップ、蒼い星空の様なスカートをなびかせながら歌い上げる姿に、自然と引き込まれてしまう美しい幕開け。間奏では「皆んなー!今日は花鋏キョウワンマンライブに来てくれてありがとー!この日の為に沢山準備してきたので一緒に思いっきり盛り上がっていきましょう!」と元気に可愛らしく、観客に声を掛けていきます。流れる様に「Daisy - noon Remix」が続くと、リズムに合わせてフロアからはクラップも自然と発生。サビ前では「一緒にDaisy!って声出してください!」と呼び掛けると、一斉に声を出して身体を揺らし、フロアの熱を一気に高めてくれました。しかもラスサビは、少し音源とは異なるメロディで、その鮮やかなアレンジ力に感動せずにはいられませんでした。そして3曲目は、1stアルバム『Petrichor』のリードトラック「All Night」に突入。オシャレでグルーヴィーなナンバーを、低音から高音まで幅広い歌声で、あの頃よりもずっと艶やかに魅せてくれました。ここでも時折アドリブっぽいアレンジが混ざってて惚れ惚れ…。

 最初のMCでは、簡単に挨拶をして「皆んなの事、しっかり見えてまーす!」と、ステージの端から端まで両手を振り、笑顔を魅せてくれました。ちょっと幼くなる様な話し方もなんですが、先までの歌唱パフォーマンスとのギャップが可愛くて堪らない。そして、披露したオリ曲3曲の楽曲紹介をする中で「Daisyは、丁度4年前の5月2日にリリースしていた春の曲です」と、もうそんなに経つのか…と感慨深くなる瞬間もありました。「All Nightは、上京した時の事を元に新生活をテーマにした歌詞なので、当時の事を思い出したりしていました」と、ライブ練習でのエピソードも語ってくれて。お花屋さんという意味のFLORISTをライブタイトルに付けた事についても語り、「LとRの順番も覚えましたよ」としっかり伝えると、フロアからは笑いが聞こえてきたのも微笑ましかったです(Xのポストで綴りを間違っていたりしたため)。

 気を取り直して、このライブタイトルについては、「運営さんとお花に関係あるタイトルを出し合って、キョウの提案したFLORISTが1位を勝ち取りました」と嬉しそうに話すと、ファンも拍手で祝福。「キービジュアルに2人のキョウを描いて頂いている様に、色んな顔のキョウをお見せするライブをコンセプトにしています。活動5周年を迎えて4回目のワンマンライブで、オリジナル曲も増えたし、自分で歌詞を書くようにもなったし、カバー曲も色んなジャンルに挑戦する様になったので、色んな顔の花鋏キョウをこのライブで楽しんで頂けたら嬉しいです」と想いを声にしてくれました。そして、最後にもう1個!と話し始めると、前日の事前配信でわかった、人生初ライブになるファンや、海外から長年のファンが来てくれている事について、喜びを露わに語ってくれて、その仕草やテンションから、しっかり彼女の感動が伝わってきましたね。

「最後には嬉しいお知らせもあるので、皆さん最後まで盛り上がっていきましょう!」と声を掛けると、NUU$HI作の「intention」でライブが再開。浮遊感漂うクールな楽曲で、ドロップのリズムに合わせて青色に染まったペンライトが上下に振られ、フロアは見事な一体感を帯びていきます。床が振動する程の重低音が効いており、あの感覚はライブならではの最高体験。続けて披露されたのは「paradøx」。余りに心地良いリズミカルなメロディを身体全体で乗りこなしながら歌い上げ、キメでの目を閉じた美しい表情も印象的でした。歌い終りで拍手に包まれた後、お次に掛かったイントロは、Ado「唱」。これにはもうフロアのボルテージも最高潮に。彼女らしい透明感を崩さないまま、上品な色気をもまとった歌声を披露しており、最高に楽しすぎた時間でした。続いては、暗闇の中で聴こえてくる、幻想的なコーラスが特徴の、やなぎなぎ「アクアテラリウム」をカバー。椅子に腰かけながらアンニュイさも交えた、少しユラユラとした歌唱を魅せ、ステージ上の水玉や泡をイメージさせる照明演出も相まって、息を呑む美しさでした。

 披露後のMCでは、「今回カバーで選んだ"唱"は、Adoさんご本人に配信で聴いて頂けた曲で、細かい技術的な部分を褒めてくださってて。キョウ自身も日々小難しい技術的な所に注意しながら歌を練習してるからこそ、改めて歌の強みを再確認させてくれた様な気がして嬉しかった」と喜びを噛みしめていました。カバーアルバム『hasamiUta vol.3』にも収録された「アクアテラリウム」については、「最初のコーラスみたいなのも入ってて、不思議な曲の雰囲気を作り出してると思うんだけど、そういうコーラスも音源化させて頂いたからこそレコーディングできたりして、長年大好きだった曲を収録させて頂いて、ライブでも歌わせて頂けて嬉しいです」と、こちらもカバー楽曲に対する熱い想いを語ってくれました。

 そして、キービジュアル通りの両サイドに鏡があるステージについても触れた後、「実は今の鏡のキービジュアルとは違った、お花屋さんに沿ったイラストラフも描いて頂いていて、それも皆んなに見せちゃいたい位すごいステキなイラストで…。猫山さんには可愛くて綺麗なキービジュアルをありがとうございますという気持ちで一杯です!」と、感謝を伝えていました。

 イヤモニを触る様な仕草で軽く準備を整え「次の曲にいこうと思います、それでは聴いてください」と告げると、続いてもカバー曲で、ヒグチアイ「悪魔の子」EGOIST「当事者」を披露。この日初めてマイクスタンドに向かって、時に両手を広げ、時に胸の前で握りしめ、切なくも力強い歌声を響かせていきます。特に「悪魔の子」はパート毎のニュアンス付けがどれも丁寧な中、滲み出る優しさが沁み渡りました…圧巻。生まれた美しい余韻を消す事なく、そのまま「Starry - night Remix」を披露。2番に入る瞬間で消え去ったマイクスタンドは、ラスサビのベストタイミングで再び登場し、バーチャルならではの綺麗な演出の一つとして機能していました。拡がるサウンドと融合する、天高くまで突き抜けていく様な高音、本当に美しかった。

 「Starryは、オリジナル版もめちゃ大好きなんだけど、今回のRemixではバンドサウンドにガラッと変えて頂いて、個人的にキョウは凄くお気に入りです!皆んなどうでしたか?」と呼び掛けると、拍手に声を上げ、ファンも大満足な想いを伝えてました。続けて「Starryはキョウにとって初めての作詞曲でもあり、作曲のポリピカさん(※ポリスピカデリー)との初めての作詞共作になっております。歌詞を改めて見返すと、あの時の、あの拙い時のキョウにしか書けない歌詞だなって思うので、キョウにとって大切な曲です」と、前半に披露した「Daisy」同様、今の心境を改めて伝えてくれました。

 そして「本当にあっという間なんですが、次がラストの3曲になります」と告げると、フロアからは"え~"と声が上がり、やはり寂しさが募ってきてしまいましたね。でも「皆んなのお蔭でこのステージに立てたと思っています、今日来てくれた皆んなや、聴いてくださる方の力になれる様な歌をこれからも沢山届けていきます!今日は本当にありがとうございました!」と、活動当初からブレない力強い決意と、別れを惜しみながらも感謝をしっかり受け取ると、盛大な拍手に包まれラストパートへ突入していきました。

 まず披露されたのは、活動休止明け後の2022年5月8日に発表した名曲「Under」。流麗なストリングスと共に壮大な展開美を魅せる楽曲なんですが、約2年前のワンマンで感動の余り涙を流した本当に大好きな曲なので、この日もちょっと泣いてしまいました。優しい息遣いと感情の込もった繊細な歌声で、間奏のメロディまでも即興で歌い上げていく姿は、胸に迫る素晴らしさでした。これに続いたのはやはり、夜明けから朝に繋がる楽曲として制作された「Purple」。朝を迎える空気感が漂う、心地よく穏やかなメロディ。言葉一つ一つを丁寧に届ける様に柔らかく歌っており、心が洗われるような気持ちのよいものでした。そして、本編ラストを飾ったのは、ピアノバラード「約束の花」。泣きを誘うエモーショナルなメロディをしっとりと歌い上げると、繊細なのに芯のある、凛と咲く花のような歌声がスッと身体に沁み込んできて、極上の余韻をもたらしてくれました。

 感動の拍手の後アンコールが掛かり、2ndシングル「Behavior」でスタート。軽快なリズムに合わせて歌うだけでなく、ヘッドセットマイクだったので、飛び跳ねたり、ユラユラしたりしながらのパフォーマンスがとても印象的でした。間奏では、フロアからもリズムに合わせてハイ!ハイ!と大きな声が上がりました。

 歌い終えると「皆んなー!アンコールありがとー!なんかアンコールって聞いたの久々だからどのタイミングでいこう…って裏で言ってました」と笑顔を見せながら語ってくれました。そして、ここでお知らせ。来月6月29日に「Re:Act」2期生でのライブがある事と、今から新曲を披露すると発表。「作家さんからデモを頂いた時に、”hasy”っていうタイトルが付いていた曲で。”hasy”はモヤという意味の英語なんですが、そこから連想してモヤの掛かった様なバーチャルの世界で生きるキョウをテーマに、キョウ自身が作詞をしました」と新曲紹介をし、「支えてくれる皆んなや、もりちかママの暖かい空気感があるからこそ、キョウはリアルの世界にはいなくても、モヤの掛かった世界にいても、今こうやってこの場所に立てています」と想いを言葉にして届け、本当に最後のパートへ。

 「それでは新曲聴いてください、"mist"」と告げると、イントロから美しいストリングスが響いたか思えば、歌い出しからはグルーヴ感のあるビートが刻まれ、初披露にも関わらず多くの人が身体が揺らしていきます。サビは一気に高音が心地良く且つ滑らかに駆けていく様なメロディとなっており、歌詞には"hasy"という単語もしっかり含まれていましたね。そのまま最後に掛かった楽曲は1stシングル「蒼に躊躇う」。艶っぽい美しさ、幼い少女の様な笑顔、儚げな歌声など、本当にいくつもの表情を魅せながら歌い上げていく姿は、正に彼女の真骨頂であり、今回のライブコンセプトをしっかり体現していました。「今日は本当に本当に…ありがとうございました!バイバーイ!」と満面の笑みで両手を振り、盛大な歓声と拍手に包まれながら、ライブを締め括りました。

最後には彼女からのメッセージも

 合計16曲、約1時間半に渡るライブ、本当に最高でした。2年前のワンマンより更にパワーアップした歌声に聴き惚れるばかりで、特にその場でのアレンジはどれも見事。透き通った芯のある美しい歌声をこれでもかと堪能する事ができました。どんなジャンルの曲でも歌いこなせる歌唱力と表現力は以前からの魅力ではありましたが、改めてやっぱりキョウちゃんの声や歌い方が好きだなと心の底から思いましたね。MCになった途端、あたふたしちゃう感じも可愛くて、その歌唱とのギャップもまたファンを惹きつけているなぁと。最後まで色んな表情で、ファンの皆んなと楽しみたい気持ちが伝わってくる、思いっきりパフォーマンスしてる姿が目に焼き付いています。本当に幸せな時間をありがとうございました!

【セットリスト】
1.imaginary
2.Daisy - noon Remix
3.All Night
4.intention
5.paradøx
6.唱
7.アクアテラリウム
8.悪魔の子
9.当事者
10.Starry - night Remix
11.Under
12.Purple
13.約束の花
(encore)
14.Behavior
15.mist(新曲)
16.蒼に躊躇う


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