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『きまぐれテンプテーション』感想

 どうもです。

 今回は、シルキーズプラスWASABIより2019年9月27日に発売された『きまぐれテンプテーション』の感想になります。ロープライス作品です。また、約1年後の2020年8月28日には全年齢版も発売されています。

 OP「Fantastic Conflict」はスルメ曲ですね。その上にクセになるメロディでした。この明るい曲調とパッケージビジュアルのエロ可愛さに騙された人がいそうなゲーム内容ではあったんですけどw
 プレイしたキッカケですが、この一つ前にプレイしていた『夏ノ終熄』のライター"かずきふみ"先生繋がりですね。積みゲーと化していたので、この機に。なお、当時購入したキッカケは、イラスト担当の"きみしま青"先生のファンだったからです。

 では、感想に移りますが、受け取ったメッセージと、雑感をなるべく簡潔に書けたらなと。こっからネタバレ全開なんで自己責任でお願いします。


1.受け取ったメッセージ

 正直掴み切れてないです。ただ、この物語が悠久とアンネの物語だった以上2人からヒントを得るしかないなと思い、何度か読み返しました。いくつか刺さった言葉があったので、それを頼りにまとめていきたいと思います。

 まず、地味に大事だと思ってたのはプロローグ。

つまり……結局のところ。
人を害すのは、人 なんだ。

『きまぐれテンプテーション』

 初めは、"害す"でなるほどなぁ…と思いながら物語を楽しんでいたんですが、終わってみるとコレは、"人を形成するのは人"。を言いたかったのかなと思います。善悪に関わらず、結局のところ、人は誰かしらの影響を受けて生きていますよね、と。至極当然のお話。アンネリーゼの存在を踏まえても、伝えたかったメッセージはこの辺りなのかなと思いました。

 人の影響を受けて自分が形成されている、強引な言い方をすれば他人が形成した自分がいると。では、本当に自分が形成した自分は?自分として残したものは何?他から完全に独立した自分と言えるものは何?みたいな感じで膨らんでいきました。ここで、ひとつヒントになったのが以下の言葉。終盤、悠久がクーリィ(晶)にかけた言葉です。

「いや、聞いて。目的もなくフラフラしていると、自分を見失う。自分を保ってこの世に存在し続けることは、難しいみたいなんだ」

巽悠久ー『きまぐれテンプテーション』

 「自分を保ってこの世に存在し続けることは、難しい」、言い得て妙ですね。先の投げかけに戻ると、ここは、「他人ではなく自分が形成した自分を存在させ続けることは、難しい」にも聞こえます。

 では結局、"自分が形成した自分"、"自分として残したモノ"、"完全に独立した自分"、とは何なのか。コレを示してくれたのが、アンネリーゼと云う存在だったのだと思います。

「あたしを残せた」と言葉があった様に、彼女は1週間で悠久の中に、アンネリーゼっていう女の子が…本当の私がここにいたって証を残そうとしました。最期の最後も、住人の願いではなく、アンネリーゼ自身の望みを必死に伝えていました。こうして、悠久の中に残ったモノは何だったか。まず絶対に欠かせないのは「アンネリーゼ」と云う名前でしょう。ここでまた、ひとつヒントになった以下の言葉を。

「名前って大事だよ、すごくね。えぇと……そうだな。名前が個を規定している、というか」
「名前があるからこそ、俺は俺でいられる。名前があるからこそ、俺は巽悠久として、他者に認識される」
「名前がなければ、この世に存在しないのと同じだ。名前がなければ、人も物も、その存在をこの世に確立できない」

巽悠久ー『きまぐれテンプテーション』

 名前ってどっちでも取れると思うんです。名付け親がいるので、他人が形成した自分とも云える。一方で、悠久の言葉を借りると、名前が自分を自分たらしめていると。確かに、名前を記載したり覚えてもらったりしたら、それは自分が残したモノです。それに、死ぬ時にも名前はこの世に残ります。紛れもなく自分が遺したモノでしょう。

 そして、名前以外にもアンネリーゼの感触・温もり・笑顔・声…など多くが悠久の中に残ったはずです。彼女がしつこいくらいに、「ダーリン」と呼んでいたのもアンネが自分を残そうとした意思の一つだった様に思います。
 アンネの様に死ぬ直前にまで、何なら死んでもこの世に残るモノが、"自分が形成した自分"、"自分として残したモノ"、"完全に独立した自分"なのかなと思います。そう考えると、住人達がそうでしたが未練とかも、ある意味自分を自分たらしめるモノなのかもしれません。
 また、本作では「呪い」がキーワードの一つでしたが、「呪い」は「まじない」とも読みますね。おまじない…コレは何か神秘的な力をも頼って、願いを叶えようとする意思に他ならないです。そう考えると、アンネからの「呪い」も彼女の願い・祈りだったのかもと腑に落ちています。

 以上を踏まえると、TRUE Endで産まれたアンネはかなり"純度が高い"と云うか、限りなく"他人が形成した自分"が少ない存在だったのかなと思っています。悠久の想いも影響されていると思いますが、それは元を辿れば、アンネによって形成された想いなので。2人の物語から、想い出と共に他人の中に自分を残し続けていけば、果てしなく"ずっとずっと"自分は生きていける。みたいな考え方もできますし。主人公の本来なら"ゆうきゅう"とも読める"悠久"はそういう意味合いもあったのかなと考えたりもしました。

 受け取ったメッセージは以上になります。何か少しでも感じ取って頂けたり、考えのヒントになっていたりしたら幸いです。



2.雑感

 良作でした。ロープラにしては尺も十分、と云うより今時アドベンチャー要素の強い、選択肢が多かったのが印象的でした。物語もホラーによる程良い緊張感と先が気になる展開でしたし、起承転結が綺麗で良かったかなと。
 強いて言えば、TRUE Endのオチが丸く収まりすぎた気がするので、もう少し"なんか"欲しかったかなと(アバウトですみません)。でも、エンドロール後の約束を叶えたCGと、捜査手帳のアンネの一言はかなり好きです。また、オチだけで云えばBAD Endがインパクトあったので、作品全体で見ればバランス取れてるのかなとも思います。

 イラストは、"きみしま青"先生。むっちゃ可愛いイラスト沢山拝めて満足です。女の子特有の柔らかい感じ・雰囲気と、優しい瞳が良いなぁと改めて。E-moteで動くので余計に可愛かったですし。Hシーンもバッチリエロ可愛いでした。1枚選ぶなら、やっぱり最初の窓ガラスのシーンですね。おっぱいの迫力は言わずもがな、ほっぺが潰れてる表情むっちゃ可愛い。

 声優さんは割とベテランでお馴染みの方達、全員良かったです。アンネリーゼを演じた歩サラさんは、『殻ノ少女』のイメージもあるんですが、餅月ひまりちゃんとのラジオ「株式会社サラひまり」の自然な印象の方が強くなってたので、久々のガチ演技聴けて逆に新鮮でしたw

 音楽は、"未来"さん。正直、可もなく不可もなく、印象に残った曲はなかったです。『景の海のアペイリア』の時も思いましたが、尺が短すぎる。曲名の"取り敢えずつけた感"もどうにかならないのか…。あと、「アンネリーゼのテーマ」は有名な「チョコレイト・ディスコ」にしか聴こえなくて心配になるレベル。作編曲:"橋咲透"さんによる「願い」は良かったです。

 とゆーことで、感想は以上になります。
改めて制作に関わった全ての方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。"かずきふみ"先生の作品、次は恐らく年内に発売される新作をプレイすると思います。

 ではまた!




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