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BitMEXでのBitcoin先物と現物のアービトラージを行う方法

あまりBitMEXのBitcoin先物のアービトラージに関する記事がなかったので作成。最も簡単な手法について説明しています。

定義

Futures Contract
満期日に買い手/売り手にそれぞれ、ロング/ショートの経済的効果を与えるもの

現物
(現物は現物ですが)即座にビットコインが手に入る価格

ベーシス
先物の価格 - 現物の価格
※ここでは、XBTZ16の先物を用いる

Contract Value
Bitcoinの1米ドル分の価値(BitMEXの定義)

Bitcoin Contract Value
1 米ドル / Bitcoin価格 × 先物の保有数

決済インデックス
この記事の当時はKaiko BitMEX Indexを用いている。50%がBitstamp、50% OKCoinの現物価格
※現在は定義が変わっています(2020/04/05現在)。現在の定義は、

.BXBTインデックスの構成
・Bitstamp:24.86%
・Bittrex:2.53%
・Coinbase:44.98%
・Gemini:4.61%
・Itbit:2.80%
・Kraken:20.22%

となっています。現在の詳細はこちらをご覧ください(BitMEXのリンク)。

満期日
2016/12/30 12:00 UTC

Step1:現物を買い、先物を売る

現在、XBTZ16の価格が$120、現物価格が$100とする。そうすると、ベーシスは$20。

最初に、それぞれ$5,000をBitsampとOKCoinに送る。
そして、50 Bitcoinずつ購入する。
現在、100 Bitcoinを保有(=ロング)し、$10,000米ドルショートしていることになる。

その後、20 Bitcoin をBitMEXに送る。
XBTZ16をどのくらいショートするか計算してみよう。
現在の保有:$10,000分のロング
利益:ベーシス × 購入したBitcoinの数

ヘッジすべき米ドル = $10,000 + ($20 × 100 Bitcoin) = $12,000

XBTZ16は1米ドル分という定義なので、XBTZ16を12,000ショートする。

※XBTZ16はレバレッジをかけられるので、全てのBitcoinをBitMEXに送る必要はない。最大レバレッジは100倍だが、10倍以下にした方が無難だろう。

Step2:収益計算

Bitcoinを$100で売り、先物を$120で売った。満期になればベーシスの$20を稼ぐことができる。
XBTZ16損益は、仮に満期日のBitcoinが$100だとすると、

Bitcoinの利益= (1 USD / $100 – 1 USD / $120) × 12,000 = 20 Bitcoin

満期日に現物価格が$100の時、20 Bitcoinは$2,000だ。$2,000を稼げた。

Step3:決済

2016/12/30に、保有しているXBTZ16は満期になる。決済価格が$100と決まるプロセスを見てみる。
決済価格の決定方法は、11:30 UTC~12:00 UTCの30分の時間加重平均価格(TWAP:time weighted average price)が用いられる。すなわち、30分間のそれぞれの分の最後の価格を平均して決済価格とする。

証拠金として使用されているBitcoin以外は、決済価格に対応させて全て売る。先物が満期になったら、証拠金と実現益が売れるようになる。つまり、それらをBitMEXからBitcoinを引き出し売れるようになる。

例えば、BitMEXに証拠金として20 Bitcoin送っていて、80 Bitcoinが個人のウォレットに残っているとする。80 Bitcoinを11:30 UTC~12:00 UTCに売る。そして、証拠金として20 Bitcoin、 実現益として20 BitcoinがXBTZ16の満期(12:00 UTC)以降に売れることになる。

120 Bitcoinが決済価格の$100で売れるとすると、最初は$10,000だったのが$12,000になった。先物と現物のアービトラージで、20%のリターンとなった。

まとめ

日本ではそれほどでもないのですが、海外の取引所だと先物の取引は活発です。現在もある程度ベーシスが確保できるので、安定的な収益源となるでしょう。

今回の記事は、
How To Arbitrage Bitcoin Futures vs. Spot
https://blog.bitmex.com/how-to-arbitrage-bitcoin-futures-vs-spot/
から引用させて頂きました。ありがとうございました。

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