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キミは推しメンとデートしたことがあるか⁉️〜のほほんうの散歩・渋谷編〜

はじめに

「推しメンとデート」。
あらゆるアイドル・オタクが描くドリーム。
これは僕がそんなオタリカン・ドリームを合法的に実現した話だ。
繋がりとかのスキャンダラスな話じゃなくてごめん。

僕はくぴぽというアイドルグループを応援しているのだが、ここ数年くぴぽは大阪の服部緑地野外音楽堂にて「服部フェス」という音楽フェスを行っている。

服部フェス2024

フェスを主催する、というのは大変なことだ。
グループの人気、立ち位置、人望、コネクション、いろいろ必要なものがあると思うが、何よりも必要なのは金だ。(身も蓋もない)

というわけで、そんな服部フェスをファンが支援できるクラウドファンディングが先日行われていたのだが、そのリターンの1つに「うの散歩」というものがあった。
これはくぴぽのメンバー・うのちゃん(以下ウノチャン)と1対1で30分間散歩ができるというもので、ウノチャンを推している僕としてはむしろ「1対1で30分も!?そんなの無理だろ」と思うほどであったが、ここで支援せねば男が廃る、と昭和生まれの気概を見せて支援したのである。

最新のウノチャン(かわいい)

日程が決まる

クラファン終了後しばらくして「うの散歩」の実施候補日の連絡があり、僕は自分のスケジュールと照らし合わせて直近の2024年5月12日で参加したいと連絡した。

これはもらった候補日の中で最速の日であり、「うの散歩」のいわゆる「鍵開け」(※チェキ会や握手会などで先陣を切ること)というやつだ。
こういうときオタク心は複雑で、何事も“初めて”はわくわくして嬉しいものだが、複数回あるイベントはこなれてきてからの方が演者さん側も楽しめるということもある。

いや、そんなことは関係ない。
僕にとって「うの散歩」は2024年5月12日という日、1日しかないのだ。
その1日をめいっぱい楽しもう。そう思った。
じゃあなんで↑書いたんだ。
オタク心は複雑ですね。

散歩の場所は渋谷である。
その日は渋谷DESEO mini with VVにおいて昼ライブがあり、そのイベントの物販・特典会の終了後、準備ができ次第、散歩スタートということになった。

当日

運営さんとの希望日の連絡のやりとりから数日後、散歩当日となった。
散歩についてどうしたいか、何を話したいかなど、あまりビジョンがないまま当日になってしまった。
それに、僕にとっては半月ぶりぐらいのくぴぽのライブだったし、ピューパ!!などの好きなグループも観られるということで、まずライブ自体が楽しみだった。

ライブを超がつくほど楽しんだ後、特典会になり、いつも通りウノチャンとチェキを撮って話した。
散歩の話も少ししたが、基本的にはいつも通り、その場での話題を話す感じで終わった。
ただ、いつもならば特典会が終わったら、また次のライブで、ということになるが、本日僕だけはこのあと散歩であるからして、ウノチャンと「また後でね」という言葉を交わせたことに僕はドキドキした。

散歩スタート

散歩の中身について直前まで何も考えずにいた僕だったが、あえてそうしている部分もあった。
僕はウノチャンとただ話しているのが好きだ。
チェキのときも、ウノチャンが最近感じたこと思ったことやったことをとりとめなく話してくれて、僕はそれに返したり、逆に僕からそんなようなことを話したりする。
そしてたまに、お互いの心に触れるような話もする。
そんな日常の延長線上や、そこに寄り添う形でウノチャンがいてくれることが僕にとって心地よく、救いであるし、そういう何気ないやりとりの中でウノチャンのことを想う気持ちを伝えらればいいなと思っている。

だから実は「散歩」というのは、そんな僕にとって一番合っているのかもしれないと思っていた。
街をただぶらぶらしながら、とりとめのない話をする。
そんな時間が30分もあるのだ、と思うと、凄く幸せな気分になった。

ただ、まったくノープランなのもな、と思い、会場の外でウノチャンを待っている間、僕が知っている渋谷の街を頭の中に思い描いてみた。

当然、僕が知っている渋谷はライブハウスかそれに準ずる場所、サブカルスポット、安い飲み屋ぐらいしかなく、ライブハウスはいつも行っているし、飲み屋に行くわけにはいかないので、それ以外で考えてみる。

幸い渋谷は駅の周りならどこに行ってもそんなに時間はかからない。
あ、じゃあタワーレコードに行ってみようかな、と思った。

タワーレコード渋谷店はもはや世界で唯一残っているタワーレコードの大型店舗で、フォトジェニックなエントランスなどでチェキが撮れたらいいなと思ったのである。(※散歩中は任意の場所でチェキや写メが撮れる)
ウノチャンは以前所属していた代代代というグループで渋谷タワレコでのインストアイベントに出演したことがあるが、くぴぽになってからはまだその機会はない。
これからそういう機会が訪れると良いなという願掛けも込めて、行ってみようと決めた。(※散歩のルートや内容についてはウノチャンや同行のスタッフさんに確認の上で決定しています)

しばらくしてウノチャンがスタッフさんと共に会場から出てきた。
当然だが私服姿だ。
衣装で会うことの方が格段に多いので、不思議な気分になる。

散歩のルール・レギュレーション等を確認し、スタート。
僕とウノチャンが並んで歩き、スタッフさんが少し後ろから同行するという形だ。

タワレコ渋谷へ

スタート地点であるDESEO mini with VVは、いうなればホテル街にあり、僕には「散歩」という大義名分があるのだが、緊張半分ふざけ半分で「ここで写真撮られたらヤバいね」などと言っていたら、ウノチャンが「そしたらあたしがちゃんと「これはデートですから」って言ってあげる」と言ってくれて、開始1分で30分ぶんの元が取れた。

道玄坂に出ると、さすが日曜日の渋谷、人、人、人、さらには人種のるつぼである。
普段ライブハウスやそのロビー、もしくは何らかのイベントスペースでしか話さないので、人の多いごみごみとした場所を歩きながら話すのも不思議な感覚だったが、ウノチャンはいつもの感じで会話をしてくれたのでとても安心した。

ウノチャンはその日、少し中華風のアジアンなサテンのブラウスに、やはりアジアンなテイストの薄手の上着を羽織っていて、その私服は今日の僕との散歩のために選んでくれたということだった。
僕はジャッキー・チェンが好きで、ウノチャンには普段からジャッキー・チェンの映画のポスターなどのポーズをしてもらってチェキを撮っているのだが、そのイメージに合わせてくれたのだ。
散歩の30分という時間を僕のために遣ってくれるだけでなく、今日の散歩が決まったときから僕のことを考えてくれていたというのが、とても嬉しかった。

街並みや人ごみを見ながら、住んでいる街の話になった。
ウノチャンは滋賀県出身で、いまも滋賀に住んでいる。
「夜になると街灯も少なくて、人よりも虫やカエルの方が多いくらい」と笑う。

僕も生まれた場所は海の近くの田舎で、夜になれば真っ暗、虫の声とともに眠る(昔は不登校児だったので寝てたのは朝だが)というような環境で少年時代を過ごしていたのでとてもシンパシーを感じた。

その話をすると、「滋賀は海ないからさぁ。海に憧れてたの。北海道に住んでた時は家の近くが海で「映画みたいや」って思ってた」とウノチャン。

僕はそれを微笑みながら聞いていたが、その頃のウノチャンは十代で故郷を離れひとり北海道の地に暮らしていたことを思うと、その胸中はいかばかりだったろうと考えてしまった。
ただ、いま隣にいるウノチャンは幸せそうだから、僕はそれでいいのだと思った。

そうこうしているうちにタワレコ渋谷に到着し、チェキを撮ろうということになったのだが、当然のように人の波が絶え間なく押し寄せる。
僕も「NO MUSIC, NO LIFE.」の看板の下でいい感じに撮れればいいかと気楽に考えていたが、「何が“いい感じ”だ!」という難度であった。

ということでウノチャンに看板の下でスタンバってもらい、表情を作ってもらいつつ人が途切れることを待つこと数十秒、なんとか撮れたチェキがこちら。

NO UNOCHAN, NO LIFE.

少し遠目になったものの看板がいい感じの画角で入り、ウノチャンの表情も読み取れるし、見事に他に人が写っていない。
日曜昼の渋谷で、である。
これは本当に撮ってくれたスタッフさんにありがとうを言いたい。(その場でも言いましたが)

レギュレーション的にはスマホで撮影してもOKなので、その方が画質もよく画角も決めやすいのだが、僕は個人的にアイドルとチェキという文化が好きなので、想い出を残すときはチェキで、と決めている。
失敗してもそれ自体が想い出だ。
それに、はじめからデジタルデータである写真はいくらでも同じものがコピーできるが(厳密にはコピーするたびに劣化しているようだが)、アナログのチェキはこうしてデジタル化もできるが、元はアナログの一枚だけだ。
そういうところも気に入っている。
しかしこういう変にロマンチストなところが気持ち悪いなぁといつも思う。

せっかくなので、入口近くにある「TOWER RECORDS」の標示の前でも1枚。

ありがとうタワーレコード

「くぴぽもいつかタワレコ渋谷の地下のライブスペースでライブやりたいね」としみじみ話をしながらその場を後にした。

渋谷PARCOへ

さて最初に決めた目標が達成されてしまい、どうしたものかと考える。
散歩の時間は半分を少し過ぎたぐらい。
「駅の方に戻る?」とウノチャン。
そうだなぁとタワレコ前の道を見る。
「この道を上っていったらパルコだな」とふわっと思っていたところでピンとくる。
「ニンテンドーストアに行ったらまた何かいい感じにチェキが撮れるのでは?」
渋谷パルコに関して知識が少なすぎることが逆に幸いしてそんなことを思いつく。
「パルコの方に行ってみようか」と提案し、承諾を得て歩き出す。

しかし、僕はまた忘れていた。
「日曜昼間のパルコ、しかもニンテンドーストア」である。
どう考えてもタワレコの前より人がいるだろう。
“いい感じ”にチェキが撮れる保証などどこにもないのだ…。

パルコへ向けて、少し急な坂を上っていく。
ここからこの道にいくとあのライブハウス、こっちにはあのライブハウス、と、つい共通の認識があるライブハウスの名前を出しながら話してしまう。
「渋谷にくるといつもライブハウスの場所が分からなくなんねん」と苦笑するウノチャン。
渋谷は坂が多く、JRの駅から見ると放射状に縦方向の道ばかりだ。
道同士にあまり横の繋がりがないので、一度道を間違えてしまうと延々と歩かされ、いる場所が分からなくなる。
2本隣の道に行きたければ結局戻った方が早い、なんてこともある。
ウノチャンの言ったことを反芻して、なんだかんだ渋谷に土地勘のある自分に、すれたなぁと思う。
まぁさすがに四十路、子どもじゃないんだし、と思うが、今日はウノチャンと歩いていることで、普段アイドル現場ではほとんど中高生みたいに楽しんでいる自分と、渋谷の街を迷いもなく歩いているおっさんの自分との乖離をなんとなく感じてしまった。

そんなことを考えていると、ウノチャンが「最近「神泉」って駅は覚えたよ。コメダがあるねん」と得意げに話す。
「コメダかぁ。コメダなら渋谷駅の近くにもありそうだけど」と返すと、「渋谷はほら、人が多いやん。神泉まで行けば人が少ないから」と笑いながら言う。
こういうところが好きなんだよなぁと思った。

渋谷パルコに着くと、当たり前のように人が多く、外国人率もぐんと上がった。
これがインバウンドというやつか。
推しメンと一緒にインバウンドの波を体感する。
これはなかなか貴重な経験である。

人ごみの中をとりあえずニンテンドーストアに向かってみる。
スタッフさんがスーツケースを牽いていたので、人の多い場所ばかりで申し訳なさを感じつつ、ごちゃごちゃとしたビル内より比較的人が少ない外のエスカレーターから上がっていく。
ニンテンドーストアのある6階はやはり大変な人の入りだった。

この階はニンテンドーストアだけでなく、ポケモンセンターやジャンプショップ、カプコンストアもあり、より外国人観光客が多くなった。
みんな買い物にいそしんだり、思い思いの場所で写真を撮影しているのであらゆる場所が人でごった返している。
マリオの大きなフィギュア(像?)のところでチェキが撮りたかったが人が多すぎて断念。
フロアをうろうろしていると、ガラスの壁にヨッシーのイラストがあったので、これいいじゃん!、とここで一枚。
特に聞かれもしないので言うこともないが、僕はスーパーファミコン時代からのヨッシーファンだ。

ヨッシーに匹敵する可愛さのウノチャン

チェキを確認しながら少しだけその場で雑談。
向かいにはポケモンセンターの近未来的なエントランスが広がっている。
「これ知ってる。ミュウツーやろ。『ミュウツーの逆襲』!」
「古くない!?(※『ミュウツーの逆襲』は1998年公開)」
「それしか知らんねんもん」
ふくれるウノチャンが可愛かった。

ここでタイムリミット。うの散歩は終了となった。

うの散歩・フォーエバー

人でごった返すフロアでお別れするのもなんなので、一緒に地上まで下りることに。
こういうアディショナルタイムも楽しいもんである。

エスカレーターで下りる途中、目に留まる服屋さんを見ながら「あ、このお店知ってる。あのお店も!」とウノチャン。
いやーやっぱりウノチャンも年頃のアイドル、オシャレな店知っとんなぁと感心していたら「でもお店に入ったことはないねん。ネットで見るだけ。買うならZOZO TOWNとかで買う」「あんなオーラ出てる店入られへんやろ。ユニクロとかGUはセルフレジだしpaypayも使えるから神」と早口で言っていてとても良かった。

パルコの入口のところでお別れのあいさつ。
僕の変な要求に応えてチェキを撮ってくださったスタッフさんにも感謝と労いを伝える。
ウノチャンは「東京に来ても時間がないからほとんどライブハウスとホテルの移動だけやし、あとはご飯屋さんぐらいにしか行かへんから、こういうところに連れてきてもらえて嬉しかった!」と笑顔で話してくれて、散歩者冥利に尽きるたぁこのことよ、と胸がいっぱいになった。

「またライブハウスでね」と手を振りながら別れたが、そこからどこに行っていいかわからず、僕は何回か振り返って所在なさげに手を振ったが、早めにウノチャンとスタッフさんの視界から外れるためにWWWの横の階段を足早に下りて駅へと向かった。

おわりに

というわけで、僕の「うの散歩」は終わった。

ここまで長々と書いてきたのだからお分かりのことと思うが、本当に楽しい時間だった。
何か特別なことをするわけでもなく、ゆるい目的だけ決めて雑談しながら街を歩く。
そんな日常の延長線を推しと辿れたことがとても幸せだった。

もちろん、かっちりとした目的を決めるのも良いと思うし、「こういうチェキが撮りたい」だとか「この話を絶対したい」と決めていくのもいいだろう。

これから「うの散歩」に参加される方がそれぞれの道を辿れるように祈っています。
きっと、いや間違いなく、楽しいよ。

最後に
大好きなウノチャンへ
ありがとう!

おわり

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