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11年前から続いている猫との交流

11年前のFacebookに近所の猫との交流について書いていた。
現在は2匹の猫と一緒に暮らしている僕である。

ゴマが帰って来た

僕の家はマンションの一階で、
時々ベランダを野良猫が通過していたのだが、
去年の10月の終わり、病院から退院して、
家でおとなしく静養していたら、
ベランダからミャーミャーという、子猫の鳴き声がした。

覗いてみると、子猫も子猫、まだ足元もフラついてるのが、
ミャーミャー言いながら、ヨロヨロ歩いている。
そして、その声を聞きつけた猫好きの女性が、
なんとか猫と接触しようと、うちのベランダの柵のあたりを、
ウロウロしていたのである。

正確な数はわからないが、子猫は5匹くらいいたようで、
うちのベランダに住んでいたわけではなく、
うちのベランダは散歩コースの一部であるようだった。
僕は「ご近所づきあい」くらいの気持ちで、
ベランダに猫が食べそうなものを置いておくことにした。

あと、猫が休憩できるように布を敷いたり。
すると、母猫と思われる少し大きな、黒っぽい猫が、
いぶかしそうに、クンクン臭いを嗅いだりしているので、
「それ食べていいよ」と言ったらピューっと逃げた。

この猫はその後もいかにも野良猫らしく、
チョロチョロえさに近づいたり、ピューっと逃げたりするので、
「チョロ」と名付けた。

チョロはしばらくの間、えさをくわえて逃げて、
どこかで子猫たちに食べさせているようだったのだが、
だんだん子猫たちも慣れてきて、
チョロと一緒にえさを食べに来るようになった。

その頃には子猫は3匹に減っていた。
きっと誰かに拾われたのだと思っていた。
車に轢かれたり、カラスに喰われたりしたのではなくて。

子猫はチョロにそっくりな黒っぽい猫が1匹、
これは「ミニチョロ」と呼んでいたが、
後に「ミニ」と呼ぶようになった。
そして、白い身体に黒いブチ模様の猫が2匹、
これは「ごま塩1号」と「ごま塩2号」と呼んでいた。

それから約三カ月、チョロ、ミニ、1号、2号の4匹は、
毎日うちにえさを食べに来ていた。
しかしいつの頃からか、チョロと2号の2匹だけしか来なくなった。

ちょうど子猫が一人立ちする時期だったし、
誰かに拾われたり、
どこかに自分の寝ぐらを見つけたりしたんだと思っていた。

その後もチョロと2号は、毎日うちに来ていた。
2号は「ゴマ」という名前に「昇格」した。

チョロは相変わらず、野良猫らしい、
用心深くて卑屈な態度なのだが、
ゴマはのん気な子猫で、うちに上がりこんだり、
網戸に昇ってみせたり、
「えさくださいよお」と鳴いたりしていた。

そんなゴマが夕べは一度も顔を出さなかった。
チョロだけがえさをもらいにきた。

ついにゴマも一人立ちしたのか、
猫のルールはどうなっているのか知らないが、
何か理由があって、チョロは残るけど、
他の3匹はもう「卒業」なのか、と思った。

元々がうちのベランダを通過するだけの、
ちょっとした知り合い程度のつもりだったが、
なんとなく淋しい気持ちもないではなかった。

しかし、今日、
ゴマがベランダを歩いているシルエットが見えた。

なんだ、昨日は夜遊びしていただけなのか、
いつもチョロと一緒だったお前が、
昨日は一人でどこかに行っていたのか?
そこで何か食べ物を見つけたのか?
こんなささいなことに喜んでいる自分を
少し微笑ましく思った。

チョロたちの一家とは福岡でのつきあいだった。
今は熊本で2匹の別の猫と暮らしている。


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