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第2回 上流領域と下流領域間のとてつもない壁

こんにちは!
株式会社クリエイションラボの平澤です。

前回は「IT業界にプロジェクトマネージャが少ないのは何故か?」について解説させて頂きました。

そこには、IT業界の構造が深く関わっていることをご理解頂けたかと存じます。

尚、そちらの記事を読んで
「独立系SIにいる私はPMになることが難しいの?」
「この先PMの能力が身につくか不安…」
と思われた方はいませんか?

結論として、全くそんなことはございません。

何故かというと、小さなシステム会社からスタートした私が、
PMとしてバリバリと働けているからです。

ただ… そこへ至るには、下流領域から上流領域のとてつもなく高い壁を突破した経緯がございます。これには大変な努力と覚悟が必要になった訳ですが、そこにリンクした話として、「上流領域と下流領域のとてつもない壁」について解説させて頂けたらと思います。

・上流領域と下流領域の業務
大〜中規模のプロジェクトにおける流れは、開発系もインフラ系も、概ね以下の工程で進みます。

<上流領域>
主にコンサルティングファーム・大手SIといった1次請が担当する
・企画
・要件定義

<下流領域>
主に大手SIのグループ会社・独立系SIほかの2次請・3次請が担当する
・基本設計/詳細設計
・構築/プログラミング
・試験(単体/結合/総合)
・リリース
・運用

上記ざっくりとはなりますが、企画・要件定義といった工程は上流領域。設計以降の工程が下流領域に分別されます。そしてITの請負構造上、この下流領域に携わるエンジニアが非常に多いことになります。

こうした下流領域に携わるエンジニアは、コーダーやテスター、運用オペレータといった業務から担当し、年数を重ねながら設計工程へと進んでいきます。

以上の通り、下流領域に携わるエンジニアは、設計工程までは順調に経験できることになるのです。

・上流領域へのとてつもない壁
但しここからが問題です。
設計よりも上、企画・要件定義に進むには、そこにとてつもなく高い壁が存在しているのです。

ここで第一回より繋がる話となりますが、2次請・3次請のエンジニアは置かれる立場上、企画や要件定義、ステークホルダーとの横串調整といった「本格的な」マネジメントに直接携わることがありません。そして本格的な経験が積めないことにより、マネジメント人材も育たないことになります。

・本格マネジメントを経験できないジレンマ
尚、下流工程の領域においても、マネジメントの業務は存在します。但しそのマネジメントとは、自社のチームリーダーとして自社要員(数名)を管理するか、その会社がマルチ案件を抱えていれば、それを横串にて薄く管理するといった形式です。

上記は「マネジメント」ではありますが、「本格的なマネジメント」か?と問われれば、残念ながら違います。
※文脈上、こちらを「間接マネジメント」と表現させて頂きます。

この通り間接マネジメントと本格マネジメントにおいては、取り扱う情報や応対するステークホルダに大きな違いがあります。当然ながら、本格マネジメントに携わる人材の方が情報量や関わるステークホルダ数も多くなるので、必然的に積み上がる経験・スキルに差が生じることとなるのです。

これが数ヶ月・数年の単位なら問題ないのですが、十年単位となる場合は、持ち合わせるマネジメント能力に大差がつくことになります。

残念ながら、この様に置かれた環境・立場における「格差」は存在するのです。


…いかがでしょうか?
まったく負のスパイラルですよね。

残念な状況でありますが、この課題は私也に感じており、
だからこそこうした状況を変えていきたいと考えています。
本当に、この負のスパイラルを変えていきたい!!

・まとめ
今回は第一回より掘り下げた記事とさせて頂きましたが、あらためて、「下流領域にどっぷり浸かる私はPM目指すのは無理なのか(嘆)」と感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

でも、そんなことはないのです!!

次回は小さなシステム会社に入社した私がなぜPMになれたのか、「第三回  中小IT出身の私がなぜプロジェクトマネージャになれたのか?(挫折編)」について解説させて頂きたいと思います。
※(挫折編)(起死回生編)の二編となります。

それでは皆さま、お読み頂きありがとうございました。
次回もお会いできることを楽しみにしております。

■自己紹介
株式会社クリエイションラボ
代表取締役 平澤 富輝

エンジニア歴28年(マネジメント歴20年)
インフラのエンジニアとしてキャリアをスタート。内資外資、業界業種問わず多くのお客様先でプリセールスやフロントSE、プロジェクトリーダーからプロジェクトマネージャを歴任し、大中小百以上の案件やプロジェクトに携わる。

会社員時代は最終的に30名を束ねるグループリーダーも担い、その長い経験の中でマネジメント人材育成の重要性を感じ取り、裾野拡大を志して独立する。
「エンジニアとは才能ではなく、学ぶ姿勢と少しのセンス」が持論。

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