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第6回 実際どうなの!? PMP取得物語(前編)

こんにちは!
株式会社クリエイションラボの平澤です。
 
前回は「プロジェクトマネージャになる上で資格は必要なのか?」という話題を取り上げて解説いたしました。ちなみにこちらは結論ですが、資格を取得することよりも、マネジメントの経験を積むこと(経歴貯金をすること)がプロジェクトマネージャを目指す上で重要であると解説させていただいております。
 
とはいえ念の為、誤解のないように申し上げておきますが、資格を取得することも重要なことではあります。しかしそれだけに捉われて、実践を積むことなく勉強だけを頑張るのではなく、マネジメント経歴を積みながら並行して資格も取得していくことがベストとなります。
 
仮に資格試験に合格ができなかったとしても、資格勉強をすることで培った知識は実際のマネジメント業務にしっかりと役立てることができるからです。なので、“何がなんでも合格せねば!”と、そればかりにこだわりすぎないほうが良いということを、補足してアドバイスしておきます。
※個人的な感想ではありますが、ベンダ系の資格と比較すれば普遍的な試験でありますので、中長期的に役立つものと考えています。
 
また前回のコラムで、私自身Project Management Professional (通称:PMP)を取得する上でかなりの苦労をした話もさせていただきました。
 
そこでこの回では、PMPの取得に際して私がどのような経緯を辿り、どんな苦労をしたかを、エピソードを交えてお話したいと思います。


・ある時思い立つ「そうだ!マネジメント資格を取ろう」
私のエンジニア人生は、紆余曲折あったものの、無職寸前の状況から通信会社のフロントSEとなることができ(第4回参照)、その後はご縁あってマネジメント系の業務を転々としました。少しのきっかけからマネジメント職種という大きな船に乗りこむことができたことで、私のキャリアも軌道にのってきたのです。
 
「ピンチの後にチャンスあり」などといわれますが、まさにその通りで、諦めずに行動することが大事だと当時身にしみて感じたことがあります。
 
というのは、当時の私は、家庭を持っている一家の大黒柱であるにも関わらず、勤務先では有期が条件である契約社員という不安定なポジションにおりました。将来的なことを考えれば正社員になることがベストではあるものの、目先の収入が無くなり、家族の生活が立ち行かなくなる恐れの中、悶々としていたのです。
 
しかし、現状がベストではないことは明らかであるため、勇気を振り絞って転職活動に打ってでることにしたのです。
 
何としてでも早期に就職内定が欲しいと考えた私は、活動をする上で武器を身につけようと考え、マネジメント系の資格を徹底的に調べました。焦る気持ちもあったため、とにかく受験可能な資格を探していたところ「PMP」を知ることとなり、検討することになったのです。
 
━━お恥ずかしい話ですが、当時もマネジメント系の業務に携わっていたにも関わらず、実はPMPのことを深く知らなかったのです。「まあ大丈夫だろ!」なんて、安易に考えていたほどでした。しかしそれが、後々大後悔することになるのですが(苦笑)


・高額な講座を受講し、いざ、PMP受験!
今でこそ、日本はPMP資格取得者は世界で5位(※)というランキングを誇ってますが、十数年前はトップ10外という低位置だったそうです。そんな時代背景もあり、私が受験をした当時、書店などでもその手の参考書がほとんどなく、しかも当時はネット上にPMP試験の情報がほとんどないという状況でした。よってどんな試験問題が出るのかもよく分かりませんでしたし、もっといえばどこから勉強を始めればよいかすら分からない状況でした。
※ 日経BP総研調べ
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00166/103000137/
 
なので仕方なく、スクールが主催する講座を受けることが近道だと考えて、上流領域のコンテンツを中心に扱っているスクール講座を受けることにしました。
 
同じ業界の方ならIT系講座の相場はお分かりかと思いますが、ひとつのコンテンツが数十万円するのは当たり前のレベルでして、PMP講座もかなりの高額でございました。
 
貯金がそれほど多くはなかったのですが、「将来への投資だ!」と覚悟を決めて申し込みをし、講義を受けることにしたのです。


・「そんなはずじゃなかった!」、難易度の高さに仰天
当時はコロナ前だったため、50名ほどの大勢の受講生たちが一堂に介する形での受講となりました。PMPへの注目度の高さと人数の多さにびっくりした記憶が蘇ってきます。
 
さてさて、そんな状況から受講がスタートしたわけですが、初めて聞く単語や難解なスキームばかりで、講義についていくだけでも一苦労(汗)。それなのに講師が答えを求めて指名してきたりするので、それはそれは緊張感の連続でした。
 
講義日程は5日間、朝から晩までみっちりありまして、終わった後はもうぐったり。何もやりたくない!と思うくらい苦しかったですね。
 
しかし本当の苦しみは……実は、受講が終わったあとにやってきたのでした。


・どこが違う!? IPAプロジェクトマネージャ試験とPMP
さて皆さん、ここで質問です。
 
知っているようで知らない、IPAのプロジェクトマネージャ試験とPMPについて、今一度考えてみて欲しいのです。最大の違いは何だと思いますか?
 
それは、資格を管轄する組織が日本か米国(世界?)かの差です。
 
ここで両者の差分を解説すると、IPAの試験は日本において知名度があるため、IT業界以外の方にも広く認知されていたりします。そのため転職の武器とする上では、汎用性高く活用できる資格といえます。
 
その反面PMPは、日本における知名度がまだ高いとはいえません(今でこそ認知度が上がってきましたが、昔はPMPの存在を知らない面接者などもいたほど)。
 
とはいえIPA試験と違う最大の点は、ワールドワイドな国際資格であるということです。
例えば皆さんが将来、海外での仕事を考えるとした場合、取得者はかなり有効な武器となり得ます。
 
どちらも良い資格ではありますが、国内を主戦場としたい方、海外で活躍したい方によって将来的な評価も変わってきますので、どの資格を取得するかは、先述の基準で考えた方がよいでしょう。
 
もちろん、両方取得できるなら、それにこしたことはございません。


・英語がわからず、提出書類に悪戦苦闘
先ほどPMPは国際資格と説明した通り、日本人にとって難易度が高くなる理由があります。それは、国際資格がゆえに英語にて、経歴書の作成や申込用紙への記入をしてPMI本部へ提出しなければならないからです。
 
当時、スクールの担当に提出して添削をしてもらうのですが、「これじゃあ不完全」と、結構な回数の差し戻しを食らい、返送⇄提出を繰り返す羽目に。完成するまでになんと1か月半程度かかった記憶があります。
 
いやぁ~、現在は無事に取得できておりますが、当時の受験の顛末を振り返った時、この英文の経歴書作成が一番苦しかったことを真っ先に思い出します。

また実のところもうひとつ苦労したことがありまして、英文化より更に苦しかったのが、各々の経歴項目において証明者の承諾を得ることが必要だったことです。
 
PMI本部からその証明者へ問い合わせが来る、なんてことは実際にはないのだろうとは思いますが、万一、私の取引先に問い合わせがあったことに備えて、「書類に記載する必要があるので、御社名やお名前を拝借してもよろしいでしょうか?」なんて聞いて回ることに。

それに対して「どうぞ、いいですよ」などと二つ返事で許可をくださることが少なく、怪訝な反応を示された方がいらっしゃったことは確かです。それでもめげずに当時の後輩に頼んだり、はたまたお客様に繰り返し頭を下げてお願いしたりと、かなり大変なタスクとなってしまいました。
 
PMPの資格取得にあたりさまざまな苦労がありましたが、この経歴書作成だけは、二度とやりたくないです(笑)


・やっとこさで無事に書類提出!いよいよ受験!
さて、諸々の準備をする上で結局2か月かかってしまいましたが、何とかPMI本部に書類を提出し、Webサイトから受験の申し込みをした結果、GOサインが出ました。
 
いよいよ受験に臨みます!
 
━━と、無事に受験できるところまできましたが、前編はここまでで。
 
第5回でも言及させていただきましたが、PMPの合格率は50%超“も”あるのは、受験資格を得ること自体が非常に難度が高いことが理由だからです。
 
皆さんどうですか? 受験したいと思いましたか?(笑)
 
でも、安心してください。最近後輩に聞きましたが、スクール受講者に対するサービスとして今では日本語の経歴書を渡せば英作文までやってくれるそうです。私からすると、なんとも羨ましい限りですが、PMPのスクール選びには、こうしたことも含めてご検討することをお勧めします。
 
次回はPMP取得物語の後編として、受験についてや資格取得後についてのお話をさせていただきます。
 
皆さま、今回もお読みいただきありがとうございました。
次回もお会いできることを楽しみにしております。


■自己紹介
株式会社クリエイションラボ
代表取締役 平澤 富輝

エンジニア歴28年。
インフラのエンジニアとしてキャリアをスタート。内資/外資、業種を問わず多くのお客様先でプリセールスやフロントSE、プロジェクトリーダーからプロジェクトマネージャを歴任し、大中小、百以上の案件やプロジェクトに携わる。
会社員時代は最終的に30名を束ねるグループリーダーも担い、その長い経験の中でマネジメント人材育成の重要性を感じ取り、その裾野拡大を志して独立する。
「エンジニアとは才能でなく、学ぶ姿勢と少しのセンス」が持論。

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