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ごりまる母さんキャンピングカーでフランス スキー旅 Montgenèvreへ


地図では普通車で約16時間となっていますが
キャンピングカーでは速度制限等で16時間以上の道のりに

40歳にして初めてのスキー教室(ドライスロープ編)

 ’ 後悔しないためのやりたい事リスト ' の中にスキーとサーフィンがありました。

四国生まれ、四国育ちの私は幼い頃、スキーとは自分にとって程遠いもの、別世界のものでした。
テレビでスキー場のニュースなどが流れると、スキーウエアを素敵に着こなし軽やかに、そして時には鳥のように優雅にスキーをしている人たちを観て「ええなぁ。楽しそうやなぁ」と羨ましく思ったのを今でも鮮明に覚えています。

40歳になった時、「やってみたかったことに挑戦しよう!」と子供たちを連れ、自宅から車で50分ほどの人工芝スキー場(といっても、ものすごくこじんまりとした施設ですが)で5回のレッスンを申し込みました。

初回はスキーをはいて、横向き姿勢のカニ歩きで少し斜面を歩いて、そこから少しだけ滑るというのを繰り返します。
ようやく、滑れるようになった!と喜ぶのも束の間、次の瞬間には派手に転倒し、子供たちからは「あっちゃ~」という視線を浴びます。
インストラクターの先生からは「またっ!便器に座ってるような姿勢になってる!トイレしながら新聞読む格好はいかんって。それでは転ぶわな...」とキツイセリフをにっこり笑顔で何度も言われながら、「先生、便器よりほかにもっといい例えはないのですか!?」と思いながら、当初予約していたレッスン5回+追加で5回(!)=計10回のレッスンは終了しました。

これが私とスキーの出会い、そして始まりです。

キャンピングカーでドーバー海峡を渡りフランスへ

ドーバー海峡
フランス行きの船に乗船する車の長蛇の列

フランス側のカレーに到着し、キャンピングカー専用駐車場で1泊。
フランスには Aires と呼ばれるキャンピングカーやモーターホーム専用の駐車場があります。
キャンプ場と違って、シンプルな駐車場に車を停めるだけなのですが、無料の所が多く、(駐車場に入る時に料金支払いの所もありますが、無人になっており支払い機はクレジットカードが使えます) 給水場・ゴミ捨て場・トイレカセットを洗える専用洗い場などが整備されています。
事前予約も必要ないかわりに、スペースは早いもの勝ちなので、特に夏冬のホリデーシーズンでなければ問題はないと思います。

こういう感じの普通の駐車場ですが給水所などがあり、1泊するには十分です
木々も綺麗に雪化粧
早朝の Briancon, France
-5 ℃の朝

家を出発して2日後、Montgenèvre に到着

イタリアとの国境線近くにあるMontgenèvre

Montgenèvreキャンピングカー専用パーキングで2週間のスキー滞在

スキーリゾートにある Aire de Camping Car
150台ほどのスペースがあり、給水場・排水場・食器洗い場・トイレカセット用洗い場が完備
(スキーリフトより撮影)

Montgenèvreの中心地から5分ほどの所にあるキャンピングカー専用駐車場で2週間の滞在。
クリスマス前に到着すると、駐車したいスポットを簡単に確保することができますが、クリスマス翌日の26日になると、イタリアからのスキーヤーが一気に増え、この駐車施設も満車となります。
ここから歩いてすぐの道路を横切ると、スキーリフトがすぐ近くにあり、とても便利なロケーションです。
スキーレッスンを受ける場合の集合場所はスキーリゾートのメインリフトがある所になります。
その際はキャンピングカー専用駐車場から定期的に往復バスの無料サービスがあるので便利です。

1週間の ESF (Ecole de Ski Francais)グループレッスン参加


スキーのコースは初心者コースから始まり、易しい順にクラス1・2・3・4に分けられています。
今回はここに通い始めて3シーズン目ということで、クラス3に挑戦することにしました。
初日にまずインストラクターの前で緩いスロープを滑り、本人のレベルがコースに合っているかどうかのインストラクターによる見極め(!?)があります。
正直なところ、クラス2でいたかったのですが、「少し上を目指さないと、いつまでたっても上達しないよ」とインストラクターに指摘されました。
自分自身、心の中で思っていたとおりのことだったのですが、クラスを上げることに怖さや不安があり、’ 万年クラス2’ でいいんです… と言い訳のように逃げていた私は「まったくおっしゃる通りです。クラス3に入ります。でもレッスンについていくのが無理だったら、クラス2にいってもいいですか?」と始まる前から情け無いほど弱気なことを言いながらクラス3でのレッスンに参加しました。
生徒6名(私以外は全員フランス人)とインストラクター1名となります。

スキーと胃痛

クラス3の中でも、私は特に上達が遅く数えきれないほどの転倒。
そして、インストラクターの素敵なフランス訛りの英語が私の拙い英語力では理解できない時も多々ありました。
インストラクターも各国からの生徒に対応して、フランス語と英語の2か国語でレッスンをしてくれるのですが、クラス3は私以外の皆さんはフランス人ということもあり、フランス語で説明した後、私がいることを忘れてしまい英語での説明をすっ飛ばしてしまうという。
今なら笑えるの話なのですが、私だけ次の行動に出遅れてしまうということがよくありました。

レッスンの中で辛く、特に苦手だったのが傾斜の大きい、特に上級者用のブラックスロープを滑る事でした。
見下ろすスロープは想像以上に急斜面。
生徒さんは次々と何の躊躇もなくシャーっと優雅に斜面を滑り降りてゆき、下ではインストラクターと生徒さんが私が降りてくるのを見上げて待っています。
足が震え、心臓バクバク、恐怖心で胃が痛くなり、こうなったらもうほとんどやけくそ、やけのやんぱち。
「もうどうなってもええわ~」と直滑降。その繰り返しです。

他の生徒さんについて行くのに必死で泣きべそをかきながら、罰ゲームのような1週間のレッスンをなんとか終了し、キラキラ光るバッジと修了証書の手帳をいただきました。

「よう頑張ったなあ!また来年もおいで」とインストラクター(60歳のとても穏やかで優しいベテランの先生でした)が満面の笑顔で抱きしめてくれた時は、「頑張ってよかった…」と心底嬉しくほっとしました。

この景色を見るたびに
「スキーを習って良かった」と思います
美しさのあまり息をするのも忘れてしまいそうに
午後からは子供達と合流
子供は私のように恐怖心がないからか上達が速い!
羨ましいかぎりです
山越えをしてイタリア側へ
大好きな山 Pic de Rochebrune (3320m)

童心にかえって子供たちと雪遊び

1週間のレッスンも終わり、残りの1週間はスキーを楽しみながら、ゆっくり過ごすことにしました。
キャンピングカー専用駐車場の近くにある森に行き、子供たちと雪投げをし、大人気もなくついつい本気が出てしまいます。
子供たちに迷惑がられながらも「なんぼ大人でもな、いくつになっても、たまには子供みたいになれる時間が必要なんやで」と特大の雪の玉を作って子供たちを追い掛けまわしました。ストレス解消の時間です。

こうして2週間の滞在があっという間に終わりました。

子供達と作った猫
(家で留守番中の猫を思いながら作る)
歩いて森を抜ければイタリアとの国境に
スキーリゾート内
とっても素敵なロケーションにあるレストラン
何を頼んでも高いので、2週間の滞在中2-3回ほどしか利用しませんでした
スーパーで買ったものをキャンピングカー内で自炊して過ごします
ホットワイン
自分へのささやかなご褒美に
(褒美を貰えるような事など何もしていないのですが)


Montgenèvre の街並
(スキーリフトから撮影)

おわりに

40代になると、なにをやっても上達が遅く、新しいことを習うには時間がかかります。
特に運動神経も皆無、どんくさい私です。
スキーを始めて、レッスンをうけながらも「やっぱり無理や。辞めようかなぁ」と何度も思いました。
「もうちょっとだけやってみて、それでもダメやったらスキーは諦めよ」と
そんな思いで続けていました。
そして、初めてから3年目にしてやっと「スキーって楽しいな」と思えた瞬間があり、その時は自分が生まれ変わったような、空飛ぶ鳥になれたような気がしたものです。

あの時、諦めていたら「やっぱりスキーは向いてなかった」とこれから先もずっと、都合の良い言い訳のように自分に言い聞かせていたことと思います。

新しいことを始めることは不安もつきまとうものです。それでも恐れずに、まずは飛び込んでいく姿勢。そして少しばかりの勇気をこれからも忘れずに持っていたいと思います。

いくつになっても、’新しいことができるようになる’ ことが1つでも増えることは、人生を豊かにしてくれると信じて。