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Adobe Fireflyは脱プロンプトの生成AIツールだ! - Blog 2023/11/10 高校生のためのAdobe Firefly[2]

特別講座のテキストアーカイブです。
動画のアーカイブは個人情報を含むため、非公開になっています。

特別講座の第1部は、Adobe FireflyとPhotoshopの生成AIを使ってイラストを作成しました。生成AIを活用したアートワークを「体験する」ことが目的だったので、プロンプトについては学習していません。

第2部では、Adobe Fireflyの画像生成のコツを簡単に解説します。



プロンプト入力だけの画像生成は主流にならない

画像生成AIは、テキストを入力して画像を生成できるため、誰でも容易に利用できることが大きな利点となっています。複雑な操作や特別な知識は必要ありません。

ただ、第1部のアンケートでは「プロンプトを考えるのが面倒」「プロンプトが思いつかない」といった感想がとても多く、作業がより具体的になるほど、テキストプロンプトの限界が見えてきます。

動画生成AI(ビデオを生成するAI技術)はプロンプト入力のデメリットを解決するための仕組みが導入されています。
例えば、映像のカメラコントロールは専用のUI (ユーザーインターフェイス)が用意されており、直感的に設定できるようになっています。
カメラの制御をテキストプロンプトで指示させるのは、ユーザビリティの低下につながるからです。無駄な試行錯誤で膨大な時間を利用者から奪うことになります。

以下は、動画生成AIの「Runway Gen-2」のモバイルアプリの画面です。
直感的なUIで動画のスピードやカメラワークなどを指定することができます。
この指示をテキストプロンプトで全部書くのは「地獄の作業」になるでしょう。プロンプトを書き換え、ガチャをまわし、またプロンプトを書き換え、ガチャをまわす。そんな作業の繰り返しになります。

動画生成AI「Runway」アプリのUI


Adobe Fireflyの脱プロンプト

Adobe Fireflyは今年の3月に公開された(まだ7か月しか経っていない)後発のサービスですが、「脱プロンプト」では最も先行しています。

下図をご覧ください。
この4つの画像は「まったく同じプロンプト」で生成されています。

まったく同じプロンプトの生成画像

使用されているプロンプトはとてもシンプルです。

日本の中学生

画像のスタイルはどこで設定しているのでしょう?

実は、Fireflyにはコンテンツタイプやスタイルなどの標準機能が搭載されています。例えば、アニメのスタイルを表現したければ、スタイルの効果から「アニメ」を選択すればよいのです。
Photoshopで例えるなら、画像に好みのフィルターを適用するようなイメージです。

下図の場合は、スタイル効果の「アニメ」「フラットデザイン」「漫画」が選択されています。

適用されているスタイル効果:

  • アニメ

  • フラットデザイン

  • 漫画

プロンプトは同じ

適用されているスタイル効果:

  • アニメ

  • フラットデザイン

プロンプトは同じ

適用されているスタイル効果:

  • 3D

プロンプトは同じ

適用されているスタイル効果:

  • シンプル

  • 線画

  • 白黒

  • 太い線

プロンプトは同じ

画像のスタイルをプロンプトから分離したことで、画像生成のプロセスが明快になりました。
システム側の機能で対応できない表現は、プロンプトエンジニアリングのスキルが必要になりますが、上級者のレベルだと考えてよいでしょう。
画像生成AIを創作のためのツールとして活用したい人は、既存のアプリと同等のユーザーフレンドリーなUIが適しています。


Adobe Fireflyの画像生成を体験してみよう!

それでは、シンプルかつフラットな可愛いペンギンのキャラクターを生成させてみましょう。

(1)Adobe Fireflyを開いてください。続けて、「テキストから画像生成」をクリックします。

「テキストから画像生成」をクリック

(2)以下の初期プロンプトを入力して、enterキーを押します。

アニメスタイルの可愛いペンギンのキャラクターのイラスト

初期プロンプトを入力

画像が生成されました。

生成結果

(3)画像の縦横比を変更します。メニューから「正方形 (1:1)」を選択してください。

縦横比を「正方形 (1:1)」に変更

(4)次は、初期プロンプトの検証します。プロンプトの「アニメスタイルの」を削除して、enterキーを押してください。

生成された画像を見ると、プロンプトに書かれていた「アニメスタイル」はあまり影響力を持っていないことが分かります。

生成結果

(5)編集しやすいプロンプトにしていきましょう。
効果の「すべて」を選びます。

スタイルの「効果」カテゴリーから「すべて」を選択

まず、「テーマ」の中の「アニメ」を選択します。

「テーマ」カテゴリーから「アニメ」を選択

同様に、「フラットデザイン」を選択してください。

「テーマ」カテゴリーから「フラットデザイン」を選択

(6)enterキーもしくは「更新」をクリックして、画像を生成します。

生成結果

(7)意図したイメージに近づきましたが、あと一歩です。
「コンセプト」から「シンプル」を選択します。

「コンセプト」カテゴリーから「シンプル」を選択

(8)enterキーもしくは「更新」をクリックして、画像を生成します。

生成結果

画像の縦横比を変更します。メニューから「ワイドスクリーン (16:9)」を選択してください。

縦横比を「正方形 (16:9)」に変更

意図したイメージになりました!

生成結果

Fireflyに搭載されているスタイル「効果」は、流行(26)、テーマ(32)、テクニック(25)、効果(16)、マテリアル(15)、コンセプト(10)の6カテゴリー/124種類の効果が使用できます。
※2023年11月現在

スタイルの「効果」一覧

上記のスタイルをプロンプトだけで表現する場合は、「ベクターグラフィック」や「フラットなイメージ」などを加えることで可能になりますが、要素が増えてくるとワードやフレーズの影響力が分散してしまい、予想外のイメージに変わってしまう可能性が高くなってしまいます。
できるだけプロンプトの要素は厳選して、スタイル効果と分離して管理する方がカスタマイズしやすくなります。


スタイル効果、ベータ版では利用価値のない機能だった

3月にリリースされたベータ版のFireflyは、スタイル効果を適用しても効きませんでした。ほとんど意味のない機能だったと言ってよいでしょう。

9月13日に正式版となり、ある程度使える機能になりましたが、プロンプトで指示する方が良い結果を得られるという状況は変わりません。
劇的に変わったのは、10月11日に公開された新モデル「Adobe Firefly Image 2 Model」からです。プロンプトに重複するスタイル記述がある場合、標準機能のスタイル効果を優先するようになりました。

Firefly Image 2 はまだベータ機能です。正式な機能になると、さらに適用精度が高くなるはずです。また、スタイル効果の種類も増加し、Adobe Camera Rawのようなワークスペースに発展していく可能性があります。


3Dスタイルのイメージに変更してみよう

ペンギンのプロンプトはそのまま使用し、スタイル効果だけを変更して「3DCGのペンギン」に変えてみます。
まず、「シンプル」だけ残して他のスタイル効果を削除します。続けて、「テーマ」カテゴリーの「3D」を追加してみます。

「テーマ」カテゴリーの「3D」を追加

生成結果を見ると、3DCGアニメのキャラクターのようなペンギンになっています。プロンプトは変更していません。

生成結果
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同じプロンプトです。

スタイル効果を変更するだけでイメージを変更できる

「ライト」から「ドラマチックな照明」を追加して、「シンプル」を削除すると、ライティング効果による逆光イメージになります。
※スタイル効果の最下部に「カラーとトーン」「ライト」「合成」があります(メニュー項目から選択します)。

プロンプトは同じ
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プロンプトのコピペでは再現できない!

Adobe Fireflyは、テキストプロンプトだけではなく、コンテンツタイプやスタイルの有無がとても重要です。
スタイルの効果が適用されている場合、プロンプトをコピーしても再現することができません。プロンプトではなく、共有リンクを管理しましょう。

リンクの取得は、生成画像にマウスカーソルを合わせて、表示される出力アイコンをクリック、メニューから「リンクをコピー」を選ぶだけです。

「リンクをコピー」を選ぶ

以下が取得した共有リンクです。クリックしてみてください。

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ダウンロードした生成画像

Adobe Fireflyの生成画像は、「プロンプト」+「コンテンツタイプ」+「スタイル」で決まるということを覚えておいてください。


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更新日:2023年11月10日(金)/公開日:2023年11月10日(金)

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