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宇野維正先生考察第十九段  POP LIFE THE PODCAST 宇野先生は米津玄師を褒めても米津玄師と仕事がしたい訳ではない編

今回の宇野先生考察はPOP LIFE THE PODCASTの磯部涼さんゲスト回からの発言をピックアップしていきます。毎回出てるような宇野先生ですが実は6月以来の登場です。今回のポイントは米津玄師を終始褒める宇野先生でしょう。で



#087 ** 書くこと。『ルポ川崎』著者、磯部涼と Guests: 磯部涼、宇野維正**


『この間僕、クロスオーバーしました。Spotify的にはライバル番組の西寺郷太さんの番組出ました。POP LIFEがアベンジャーズなら僕はDCに出ちゃったから。』
『あっちDCでしょ。』
『磯部さん元同僚の政治家とかにインタビューしてて凄えなって。』
『僕もあんまり人のこと言えないけど磯部さんの仕事のフィールド動いてるよね』
『ミュージシャンのインタビューをやらない人だとミュージシャンに思われてて。最近はバタバタとやってますけど。』
『ツイートとかでラップのことしか言わなくなったら極端に減りましたよ。もう興味ないんだけど思われてるかも知れないけど。そんな事ないんですよ。いやそんな事あるかな?笑 そんな事ないですよ。』
『磯部さん42?40歳以下で音楽ライター誰が食えてるの?問題があるんじゃないですか。』
『よく単価の話になると同じメディアでも人によって違うから。』

『どんどん若手に追いやられると思ってたら、嫌われはしてるけど危機感を煽られることはなくて。』
タナソー 「得意気ですね」
『いや得意気とかじゃなくて。僕もインタビューとかは音楽に関してはやってないけど。いや得意気じゃなくて。マジ食えない世界なんだなと。』

『磯部さんの世代が最後って特に雑誌に関してはイメージありますよ。』
『スヌーザーだって色んな若い編集者、ライター育てては来てるけど持続性は限られるしね。』
『タナソーさんは人を育てるって意識はあったわけでしょ?』
『タナソーさんいまでもそうでしょ?』
『雑誌の読者葉書は学生の時の話だよ。』
『柴の回でも話したけど今ではアンチロッキングオンの人たちが投稿してました。』
『70年代と80年代と90年代と00年代のロッキングオンは全然違うので今のイメージで語らない方が良いよ。2020年代のスクランブルスクエアに入ったロッキングオンとはまた違うだろうしさ。』
『いまスクランブルスクエア、サイバーエージェントとロッキングオンですよ。日本で一番坪単価が高い場所にオフィス構えてる。』

『誌面でする論争は一ヶ月おきだった。いまのTwitterの論争なんて一瞬じゃん。中村とうむらと渋谷陽一は2年間ぐらい誌面で喧嘩してるみたいな。』
『僕だって社会に出たのが遅いから。25、26ぐらいまで留年を繰り返して大学に帰ってたから。中原昌也とチケットもぎりはバイトでしてましたけど。
ロッキングオン入ったのは25、26だもん。』
『金が稼ぎたかったから儲かってるロッキングオンに入った。』
『僕は書くことが得意だったから得意なことで金が稼げるなら良いなってそれに尽きる。』

『苦手な事をしたくないから。』
『興味のあるものについては何かしら書けるけど興味がないものは文才がないと書けない。』
『取材とかで一人で行くクラブイベント朝までは辛い。』
『学生の頃めちゃくちゃクラブ行ってたけど仕事するようになって行かなくなったもん。仕事で行くようになっちゃダメなんですよ。ああいう所は。』
『磯部さんってロックバンドの仕事もやってたじゃないですか。磯部さんって会うのは3回目ぐらいだけど割と共通の知人が多いんですよ。速水健朗くんとかおぐらりゅうじくんとか。割と僕の数少ない友達。柴が出た時も磯部さんの書いた北関東のクラブの記事の話になったり。会ってる頻度より近しい印象を持っている。』
『いまのバイオグラフィーだとラップがメインだけど他の仕事もしてますよね。』
『割と磯部さんが原稿遅かったりする』
『タナソーさんはクレイジーだから良いけど俺より若い奴で原稿を落としてる奴がいて只者ではないだろって言うのが最初の磯部さんの認識。』
『この世界、原稿って落とさない物だから基本的に。』
『七尾旅人の奴も誌面で書いてたじゃん。今月も来なかったとか。』
『そんなの普通だったら業界からいなくなって終わりなんですよ。』
『原稿落としてプロップスあげるとか雑誌が厳しい時代に磯部さんぐらいですよ。』
『銀杏はムジカでやってたけどQJで磯部さんがやってた銀杏とか神聖かまってちゃんとかの仕事がくるようになった。これって磯部さんの仕事じゃないの?と聞くと「いやー磯部さんは…」と言われた。』
『銀杏とか元々好きだったしかまってちゃん当時面白かったからね。いやいまのかまってちゃんが面白くないって言ってる訳じゃないよ。』
『お仕事としては良かったけど磯部さんがやってた奴が俺に来てるって感じたのがフリーになった頃だよ。』
『QJは表紙以外やらない。QJはこっちから表紙以外やらないと断った。』
『QJギャラ悪くないもんね』
『磯部さんスタジオボイスの末期のころのことは本当に頭が狂ってたので掘り返さないでくださいとか書いてたよね』
『磯部さん結婚して良かったね』
『僕、三原さんって言い続けるからね。三原さんが僕が出てない回でさん付けされるのが嫌って言っててすげー傷付いた。でも、ぼくは三原さんって呼ぶのがあってるよね。』
『僕はタナソーさんみたいな経営者でもなく磯部さんみたいに会社員になったことない人でもないから。会社員ってドロドロになってもギリギリサバイブ出来るんだよね。僕は渋谷陽一さんと鹿野淳さんには一生足を向けられない。会社員じゃなかったらどうなったか分からない。』
『いまの会社に迷惑かけちゃいけないから言えないけど酷かった。月曜日の朝10時の会議にはなんとか出るみたいな。話聞いてると会社員でいる事で救われたんだって言うのはあるよね。』
『あのね、三原さんね。良い話みたいに聞いちゃダメなの。そもそもスヌーザー自体発売が遅れてるの。定期刊行物って遅れちゃダメなの。関わっている人がたくさんいるから。』
『例えば印刷所の新婚の人が家庭に帰れなくて不和になったりする。遅れる事を武勇伝のように語るのは良くないと思う。』
『僕は締め切りが短かったらギャラの交渉するけどね。』
『この間、町山さんが宝島の30年前のギャラが一字10円が最低ラインでそれがライターの生活を守ると言っていた。』
『僕は高橋健太郎はブロックしてるから見てない。』
『僕は全然違うギャラでやってるから。個人で頑張るしかない。ギャラの交渉した方が良いよ。』
『極端な話だとしたらそれで食おうとしてる人は入ってきちゃいけないと思うよ。』
『基本、映画とか音楽で物を書いて食うってなかなか難しい事だと思うんだよね。他の経済的な後ろ立てがないと不幸になっちゃうと思う。確率的に。』
『この間記事書いたけどハーバードとかスタンフォードとかビジネス系の学部を出た子は平均1500万円ぐらいの年収をすぐに得る。でも、ハーバードのライティングに通ってる子は卒業後1年目の年収は2万ドルぐらいなんだって。ビジネス系を出た子と10倍ぐらい差がある。ウェブの記事をコリダーとかインディワイヤーとかで書いてる子はそれが許される家庭な訳でしょ。多くの子はアメリカの大学は学費が高いから学生ローンを背負う。それを返すためにはGoogleとかメリルリンチとかで働くしかないよね。年間800万円払って卒業してコリダーとかインディワイヤーとかピッチフォークに入って2万ドルを稼ぐ生活を選ぶのはそういうことだぜ言うのがあんまり認識されてない気がするんだよね。ギャラが安いって言うのは今更変えられない。』
『さっきなんで表紙以外の仕事はしないと言ったかと言うと表紙しか読まれないから。読まれない仕事はしたくない。』
『音楽とライターが違うのは音楽は、とは言え売れたら食えるじゃん。ジャンル関係なく売れたら食えるじゃん。食えてる道が若い人にあるじゃん。カルチャー周りのライターは、ビジネス系はちょっと違うよ。カルチャー周りのライターは食える人がいない。ロールモデルがないと言うのは深刻で。』
『三宅正一くんとか僕より若い世代ですごい頑張ってたけどマネージメントになっていったんじゃん。稼ぐためだけではないとは思うけど。』
『提灯ライターは今でもいっぱいいますよ。』
『(自分の知識を人には教えたくないと言う)萩原さんと自分と全然違うなと思った。そういう考え方があるのは理解できるけど自分とは全然違うなと。
磯部さんの風営法の問題の話を聞きたいなと。なんだ、俺は?ファンか?』


【寸評】

若手ライターを危惧してるのか俺には相手にならないと言っているのか分からずに他の出演者につっこまれる宇野先生です。宇野先生がロッキングオンに入社した理由は儲かってるからだそうです。まだフェスやってない時代でしたがあの頃は雑誌だけで稼げたんですね。会社員時代について語る宇野先生もなかなか興味深いところでした。



#088 ** テイラー・スウィフトと2020年の光景 Guests: 磯部涼、宇野維正**

『POP SMOKEは本当に凄いんですよ。ブレイクしたペースが。アルバムが出た10日後ぐらいに亡くなってしまった。』
『Lil Uzi Vertよりウィークエンドのが売れてるよ。ウィークエンドが今年一番売れてる。』

タナソー「よねづげんしの…」
宇野先生、三原さん『けんしね』「けんし

『山下達郎と嵐以外のジャニーズぐらいになったね。ストリーミング配信してないのは。』
『僕が思ったのはバーノン、バーノン、誰だっけ?ボンイヴェールの人。』
磯部さん「ジャスティンバーノン」
『ジャスティンバーノンか。ジャスティンバーノンが参加しているのがポイントだと思ったのは、僕もテイラースウィフトのアルバムではファーストインプレションは一番良くて出た日に4回ぐらい聴いたぐらいかな?でも、一晩中聴いててやっぱり良いなと思った。』
『でも、僕が思ったのは2016年ぐらいかな?チャンスザラッパーとジャスティンバーノンとかフランシスとかさ。フォーク系のアーティストとラッパーが絡む流れがあったじゃないですか。あの頃の流れってどこ行ったんだろうと思ってたんですよ。消え失せたし、例えばソランジュのアルバムは日本の音楽好きには概ね受け入れられたし僕も好きだったんだけど年末ビックリしたのは今年の失敗作みたいになってるわけ。たしかにセールス的には前作より落ちちゃったしコーチェラとかもセットが間に合わなくてキャンセルしてこだわり過ぎてしまった部分もあって上手く回らなかった部分もあるけどそうなんだソランジュのアルバムってそういう扱いなんだと。別にそれにおもねる訳ではないけど、クリティックの判断にビックリして。あのアルバムは良いアルバムだと思うからね。ブラックミュージックとフォークミュージックの融合が何かを生み出していた時代がいつのまに消えてしまった感覚がある中で全然別のところから現れた感じがあるのがちょっとした。』
『ソランジュもSZAもフランクオーシャンもそういうフォークとブラックミュージックの融合の感じがある。』
『フランクオーシャンも彼の出し方の問題もあるけどディアエイプリルとかカイエンドとか全然話題にならないじゃん。フォークって言うとタナソーさんの定義とは違うかも知れないけど白人のギターを主体とする音楽に黒人のアーティストが新しい表現を見つけようとした2016年以降、もっと言うとblonde以降の動きがない中で違うところから来た感覚が僕にはあるんだよね。』
『あんまり好きな言葉じゃないけどインディR&Bを通過した作品だって文脈があんまり語られてない気がする。』
『その感覚で僕なんかはこれまでの作品と比べて凄くアクセスしやすくなってるんだろうなと言う気がする。』
『トラヴィススコットとジェイムスブレイクが一緒にやってるぐらいで他は一緒にもやらなくなってふーんと思ってたけど。』
『だからあくまでも感覚的な感じ。凄い身体に入って来ると言うか聴きやすいと言う感じ。』
『テイラースウィフトの場合はカニエウエストとのいざこざがあってそれがネットフリックスのドキュメンタリーでもメイントピックの一つになってたけど。あれは確かにカニエにも問題はあるけど、そこだけじゃなくてラッパーの人たちがテイラーを快く思ってない感じはずっとあった訳じゃない。』
『授賞式とかでのテイラーが壇上にあがるフランクオーシャンの表情が見え抜かしてたりとか。』
『単純に白人の若い女性に向けてのミュージックはラジオ曲はそこに向けてマーケティングしてるのは歴然とした事実でそう言うものから疎外されているのがブラックミュージック。』
『名前こそ出さないもののJAY Zとかもよくそう言うことを言っていたしカニエとテイラーだけのアングルじゃ見えない、テイラーがある種象徴になってるスケープゴートになってる。』
『僕とかはどっちかと言うとそっち(ブラック)の側に立っちゃう。』
『人種の問題と言うか好きな音楽のテイストの問題だけど』
『と言うのはあったんでそういうのは言葉の端々に出るよね。』
『僕が思ったのはインディの復権の萌芽をテイラーが搾取した感じ。』
『REDの8年前のフリを一人で収穫した感じ。』
『テイラーは本人の才能は疑う余地もないけど凄く優秀なブレーンがいるって感じがしますね。』
『今回のジャケットはブルースコバーンの『雪の世界』だと思いますけど、中の写真がネットで見る限りフランス映画 英題ポートレートオブレディオオンファイア。調べたらギャガが今年日本でもやりますけどフランスの監督セリーヌシアマンのビジュアルを精巧にほとんど元ネタになっている。』
『リファレンスの文化度が上がった感じがする。』
『メガポップアーティストには誰だっている強力なブレインがいる。ウィークエンドにもアリアナにも。本人の力だけではない。だからテイラーを陥れるつもりはないけど流石世界一のブレインがいるのは当然だなと思った。』
『MVもロドリゴプエルトが撮っている。カメラマンもメキシコの超有名撮影監督が撮っている。そこら辺の布陣がバキバキだなと。』
『テイラーも米津玄師もなんで凄いかといえばスタッフが凄いからだという視点は常にある』
『でも、凄いスタッフが集まるのはテイラーが凄いから。』

『現実的には一月、二月にウィークエンド、三月にLIL UZI VERT 、その後にリルベイビー、ダベイビー、ガンナー、POP SMOKE、ジュースワールド。シングルはずっとロディリッチですよ。ずっと。』
『凄かったよね。テイラーが出るまでのチャートは。』
『そうかボブディランはあったよね。』
『なんか変なチャートではあった。』
『アルバムチャートは全部ラップだったからテイラーにわーッと行ったのは分かる。』
『ジュースワールドのマシュメロとかは別にしてクロスオーバー感がなくなってラップはラップになっているその対比としてテイラーが出たときは感じた。』
『自分の帰属するカルチャーはオリジンに戻っていっていることを感じる。』
『インタビューとか今回の件でテイラーは受けてるのか?どこからコロナか分からないけど何の読んだ内容だと2年ぐらい前から構想があったと出ていた。本当か嘘か分からないけど。』
『ここまで吹っ切れた作品になったのはライブを想定しないで良い。ライブでパフォーマンスをする時にティーンの女の子がファンが一緒に歌う事を考えて作品をする作る訳じゃん。ポップアーティストは。でもそれを考えなくて良い作品だと感じた。ビリーアイリッシュのマイフューチャーもまんま2、3年出てこないと言う宣言。』
『少年、少女たちを相手しているポップアーティスト。社会的責任をある程度背負うアーティストてさ、こうなっていくのかな?と言うのは感じるよね。』
『ラップはそう言うのをあんまり気にしてないじゃん。』
『グリーンガートサイドのソロシングルのジャケットが苦手で。俺、亀裂恐怖症なんですよ』
『テイラーのフォークロアは広い層に受け入れられる絶妙だとは思う』
『タナソーさんがラップを聴かなくなったのは分かるけど、ゲームのルーが固まったから聴かなくなったのと言うけどまた三年で変わってきたからね。
去年の終わりにタナソーさんがダベイビーをただのラップじゃんと言ってたけど、そりゃただラップだけど… たしかに今のラップはただのラップになってるよね。』
『久しぶりにトラヴィススコットのアストロワールド聴いたら大昔のレコードみたいに聴こえた。』
『トラヴィススコットが最近作ってる音も全然違うしこんなユートピアみたいな時代があったねーみたいな。』
『いまは変わったしカクタスジャックなんかも全然違うし。でも、そっちのがかっこいいと僕は思っちゃうしね。』
『ルールはまた変わったよって話。』
『Jhene Aiko のアルバム、タナソーさんと車で一緒に聴きましたよね。』
『Jhene Aiko のデラックス盤のアルバムのサマー2020って曲もめちゃくちゃ良くて。』
『あと最近だとサマーウォーカーのフォークっぽいEPもめちゃめちゃ良いし、ティアナタイナーも良い。』
『この間FMで選曲する機会があってまとめたんだけど本来だったら日本でもっと聴かれても良いジャンルだと思う。J-POPとは違うけど。』
『ラップじゃないR&Bって書き手もメディアも思い浮かばないし番組も思い浮かばないし。』
『ラップを語る人は若い人も含めて出てるけど一番見過ごされてるジャンルな気がする』
『UKのR&Bはジョルジャ(著者注スミス?)とか好きですよ』
『どっちか言えばUS寄りかな。』
『ディスクロジャーとかデュアリパとかドージャキャットとかずっとチャートにいるけどどこでみんな聴いてるの?どこで消費されるの?フロアはいまないから。』
『イビサとか空いてるの?』
『パーティーチューンがパーティーやってないのに流行ってるのは面白いなって。』

**『ただね。そういう方向行っちゃうとさ。またノーネームみたいに拗らせてたりする。』

タナソー、三原さん「いやいやノーネームは拗らせてる訳では」
『いやいやこの前の回聴いても思ったけどノーネームは売れてないことに不満を持ってるわけよ。それはずっとツイートしてたし、それをすぐ消すでしょ。彼女はビヨンセとかのスターシステムを攻撃するのはちょっとみっともないよ。彼女は売れてない事を嘆いてた訳だから。』
磯部さん「ノーネームという名前なんだからスターシステム時代のカウンターという意識もあったのでは?」
『カウンターではあるけど、ノーネームは地元アーティストとユニットを組もうとしていた。ポップへの色気を持ってやっていたけどどっかからプッっと切れてしまった。そもそもツイート消す人好きじゃないんだよね。戦略上消すならまだしも。』

『僕がさっき言ったポップアーティスト同士での表でのクロスオーバーは確かに無くなったけどコラボ的な。フィーリングの共感は確かにあるかもね。アミネとか良く聴いてるけどちょっと前のアブソリュートヒップホップとはまた違うスピリチュアルでさっき言ってたJhene Aikoとかもあるけど繋がって感じはあるよね。』

タナソー「POP LIFEのリスナーが一番聴いてるのはずっとテイラー」

『何か真面目な回だね。僕もこれはいかんと思って所々暴言挟んだけど。広がらずね。そういうこと考えてるんですよ。僕だって。』


【寸評】

この回で興味深いのはJコールとNO NAMEのビーフについてNO NAMEを批判した宇野先生のスタンスでしょう。かなり難しく意見が真っ二つになっていましたが宇野先生はNO NAME批判でした。




#089 米津玄師最新作を語らずにはいられない Guests: 磯部涼、宇野維正


『はい、宇野維正でーす。』
『萩原さんはちょっとキャプテンマーベルのブリーダーソンに雰囲気似てますよね。』
『磯部さんはアヴェンジャーズだとXメン方面な気がする。』
『そもそも米津玄師をタナソーさんはいつ好きになったの?ウィークエンドの前座の時観てなかったじゃん。僕は前の方で一人だけ歌って踊ってたよ』
『タナソーさん別に観なくて良いやとか言ってなかったけ?』
『けどタナソーさん米津玄師好きなんでしょ?でも、それは意外だよ。』


タナソー「最近のラテンを取り入れたポップスと言えばポルノグラフィティ」
『最近でもないけどね。』


『ドラゴンアッシュなんかも一時期ラテンを取り入れていたね』
『四人一緒になっちゃうとあれだけどハチの頃とかは普段聴いてる音楽の文体と違うので』
『米津玄師はバンドでやりたかったという大きなモチベーションがあった事をインタビューでも語っていて所謂J-ROCK的な所を通過する必要はあったと思うけどフラミンゴのタイミングで磯部さんが言ってたのは実は一貫してたと思う。ガラパゴス言葉を反転させようとしていた意志がある。感電もそうだけど。』
『僕ね、野木さんあんまり評価してないんだよね。批判できるポイントはいくらでも言えるし逃げ恥も批判するポイントはいくらでも言えるけど。』
『意識にしてる事が広いし、実は曲ごとにやってることのベクトル割とバラバラで。そこが凄い所で感電とかやっぱりテイストの話になるとシンコペイテッドリズムが好きでそうなるとLemon以降なんですよ。カップリングも含めて凄く好きで。感電とかそれにさらにスイングも含めているから全然気持ち良さも変わってきて、それを全部乗りこなす。』


『米津玄師一番好きなのは不真面目そうな所。』


『僕、真面目なミュージシャン嫌いなんですよね。嫌いと言うか夢中になれない。嫌いは言い過ぎ。苦手。自分が不真面目だから。星野源さんとか真面目なんだよね。』
『自分が乗っかれるかどうか。』
『不真面目と言うか不良性と言い換えても良いかも知れないけど。』
『どっかで舌出してる感じが常に彼の音楽にはあって、ユーモアと言うか世の中を舐めてる感じ。』
 『分かるでしょ。僕の好きな音楽の傾向が。そう言う物なんですよ。』
『それはサウンドにも出るからね。米津玄師は完全にサウンドにも出てる。フラミンゴとかまさにそんな感じゃないですか。人を食ってる感じというか。』
『アウトサンダー感なんですよね。』
『パプリカは子供を絶対舐めないで作ろうとインタビューで言っていて世の中舐めてるけど子供は舐めてないってバランスがすっげー信用できるんだよね。』
『今の人気者で別格に好きだね。ここ5年ぐらいでバーっと出てきた。そんな人は他にいない。』
『社会批判ってことはないけど夜の街に別格に合うんだよね。磯部さんが言ってた6曲目以降のちょっとバラードぽくなってかもね。夜の町に合う音楽って。沢田研二みたいだなと。そういう時代の歌謡曲の大人の世界を世界を覗きみるみたいな感覚に近いものを自分の子供とかも感じてるように思う。やっぱ別格だなと思う。』
『アウトサンダーやマイノリティであることをアピールしないのが粋だよね。他にいないじゃん。褒めてばっかりだけど。』
『米津玄師は海外で結構な数のリスナーを獲得してる訳ですよ。特に東アジア。中国のツアーでは2万人とかでガンガンツアーをやっていた。』
『日本で受けるためではなく日本のアーティストとしてのアイデンティティを打ち出す。そこが大きいんじゃない?そのバランスがすげー良くできてんなと。アメリカやヨーロッパではまだまだでそれが正解かは分からないけど日本のアーティストの海外進出ってアジアを段階として踏むのが正解な気がしてて。』


『磯部さんとはRADWIMPS周りでやりやったことあるけどね。』
『ほーら、磯部さんは何も覚えてない。』
『九龍ジョーさんとの本で磯部さんが「SEKAI NO OWARIやRADWIMPSよりも明らかにCEROや森は生きているのが面白い」って一文があってそれ全然違うけどって。』
『それが最初だよね。』
磯部さん「僕が言ったのは引用を正確にしてくださいだけですけどね。クーロンさんも発言も混ざっていたんで」


『けど、今回feat少ないよね。』
『今でこそ菅田将暉くん歌う人のイメージだけど引っ張って来たの米津玄師だからね。池田イライザだってそうだし。』
『かつては木村拓哉と武田真治といしだ壱成とDJ DRAGONが公園でセッションしてたみたいな。いつの時代もある話だから。』
『オールスター感ではなく米津玄師なりの美学と選別があると思う。』
『米津玄師は経営者と飲んだりしないよ。悪いけどそこはめちゃくちゃ重要。堀江と絡んだりするかしないかって凄く重要な所なんですよ。気楽に見ちゃいけない所で信用出来る所がある。』
『ただ人気者が集まっている所にいるだけじゃない。グラデーションがある。』
『何でこんなに言うかと言うと本人がこれ聞くからですよ。多分。こんなに信用してると言いたい。』
『僕はヒーローにがっかりしたくない。信用してるぜって言いたい。
けどがっかりする事ってあるから。頼むぜって。』


タナソー「聞いてる事意識するなよー」
『日本のアーティストについて語るってそういう事だから。』
『サザンの時も無茶苦茶話したけど桑田さん聴いてる可能性高いから。』
『米津玄師に関してもスタッフは確実に聴いてる。』
『悪口とか言いたくないしおべんちゃらを言うつもりもないけど意識はしちゃうよね。仕方ないよ。』
『別に仕事したい訳じゃないししたこともないけどフォローは結構早くされてたよ。』
『意識せざるえない。』


『僕はSpotifyもNetflixも全部英語でやってるんで』


【寸評】

宇野先生の僕は英語でやってるという中学生みたいなアピールもらしくて良いですが、この回は終始、米津玄師を褒め続ける宇野先生がポイントですね。そのせいで「仕事が欲しいのか?」と他の出演者から突っ込まれるのも良いですが宇野先生曰くそうではないらしいです。前に読んだライター関連の本にも「海外のアーティストは批判しやすいけど日本のアーティストは仕事で会うかもしれないから批判しにくい」と書いてあったことを思い出しましたが宇野先生のスタンスから音楽ジャーナリズムとは何か考えさせられる回です。



#090 現在のグローバルとローカルの関係って? Guests: 磯部涼、宇野維正


『宇野維正です。』
『ドリル(ラップ)は現代版ギャングスターラップだよね。威圧的で、ビートも重くて低くて怖がらせるようなうわ音で。』
『POP SMOKEは2枚目のMIXテープがボーンといってあれも確かビルボード一位でその10日後に射殺されてしまった。』
『POP SMOKEはLAに部屋を借りていてジョンクーガーメレンキャンプの娘の家だよね。元ね。』


『ソフィアコッポラのブリングリングって映画あったよね。セレブの豪邸にティーンたちが押し入って物を盗む。それのブラック版みたいな。ギャングの抗争とかじゃない言ってみればしょうもない。インスタかなんかにいる場所をあげたら「こいつイケてるから金持ってんだろ」とティーンが押し入ったら本人いて殺されてたみたい。』


『最近、XXテンタシオンもそうだしジュースワールドもそうだけど出来損ないの映画のエンディングみたいなケースが多いよね。あんじゃん、松田優作の映画みたいな山越えたと思ったらしょうもない雑魚キャラに殺されて終わるみたいな。』

『振り返れば奴がいるもそうだけど織田裕二最後全然関係ないやつに殺されるみたいな。あの美学ってあるんだけど』
『昔のトゥーパックとかビギーとかとは違うよね。抗争があって真相は分かんないまでもその流れだったりするけどもっとしょうもない理由で20歳、21歳で。』 

『featだって今出てるのは本人の意思か分からない訳だからね。』
『今日まさにウィークエンドとジュースワールドの新曲スマイルが出てるけど。それはジュースワールドがウィークエンドと一緒にやりたいと言ってたって言うのはあるけど。』
『基本やっぱり相当なパーセンテージが遺族に行くって大前提言があるんじゃないですか。それがコミュニティの掟みたいな。そこがちゃんとしてるから。』
『XXテンタシオンとか死後二枚目ぐらいから急に評判にならなくなるからジュースやPOP SMOKEの作品が死後出たとしても死んでる限りは期限はあるから。』
『トゥーパックは死んだ後三枚ぐらいかな?けど売れましたもんね。』
『もはやアーティストのアバターというかバーチャルというか。Fortniteのライブじゃないけど。』
『うちの息子とか11歳だけどジュースワールドとかPOP SMOKEとか聴いてるわけ。で、死んでるよって言うとマジ?って。いつ死んだの?、でも、新しいの出たじゃん。みたいで。』
『今のタイミングでファンになる若い子もいるじゃん。そういう状況が凄い不思議。』
『ジュースワールドのリリックにもあったけど60年代に27クラブってあったじゃん。27歳でジャニスジョプリンとかジミヘンとか死んでくみたいな。シーン全体が変な空気に包まれてる時に起こり得るような事が21クラブ。21歳で死んでしまう。21クラブになってしまった。POP SMOKEは20歳で21にもなってないけど。一つの象徴的だし子供とか見てると死んで昔みたいに神格化されるより死んだ事がなかったようになってるのが今。三ヶ月で作品出てそれがしかも良いじゃん。』
『最近のジャケット酷くない。ガンナーとか。ビルボード一位になった作品で一番酷いよ。』
『それを面白がれてる僕と面白がれないタナソーさんの違い。』
『酷いジャケットは昔からあったけどそれが一位になってるのが。』
『カニエのWash Us In The Bloodだってこれまでとは違うじゃん」
『ポルジーしてもリルダークにしてもゴリゴリのドリルじゃないからトラップと混ざって。』
『ほとんどトラップと変わらない感じはするけどね。』
『POP SMOKEの今回のアルバムってゴリゴリのドリルは数曲じゃん。あとから50centが色々やったのもあるけど。トラップにドリル要素が混ざって地域性が薄まったって感覚に近い。』
『僕が磯部さんに聞きたかったのはそこなのBAD HOPって成功例があるのに若いラッパーたちが同時代のUSラップシーンよりも日本のドメスティックの文脈の中でのビートを作り続け、使い続けているのか。』
『まあ、前も柴が来た時のグローバルシャインの時も言って問題提起になってちょっとリアクションあったんだけど問題提起にしかならなかったんで。
日本のラップシーン独自のビートが生まれる可能性はあるの?僕はビートが気になってビートの新鮮味を感じない。ビートの新鮮味を感じないのに何でラップ聴いてるんだろう?って思っちゃう。ずっとやってる人は別よ。』
『ヒップホップの歴史それはどこの国でもビートに現れるものじゃないんですか?」
『20アーティストがいたとして18くらいのアーティストが同じようなビートをやってたらシーンにみたいに見えてくるじゃないですか。そういうのが見えないんだよね。みんなバラバラ。趣味性でビートが流通してる感じがして。ビートって趣味がじゃないんじゃない?日本語ラップって個々の特出した物は現れるけど。』
『韓国のビートは明らかに日本よりはUSに近いじゃないですか。』
『日本のロックのやってる事と同じような事をやってること。国内の文脈はあるけどそれが閉じちゃって感じがある。』


タナソー「これまさちゃんが誰の事を指してるのか分からないから分からない。クリーピーナッツのことなのか舐達磨ことなのかなみちえのなのか、JP THE WAVYなのか」
『JP以外全部』


『僕も舐達磨は好きなんだけどね。』
『僕は若いラッパーが昔からあるビートを使ってるのがずっと分かんなくて今も分かんない。ずっとやってる人は良いけど。』
『BAD HOPはフォロワーは形だけ真似るわけにはいかないもんね。』
『ここ数年BAD HOP以外ビッグになれてないのは事実じゃん。』
『僕は音楽業界的な視点ではない。』
『たまにラップ関係の人が言うヒット曲待望論がよく分からない。過去にもヒット曲があっても何も変わらなかった。ヒット曲よりラップスターが欲しい。』
『世界的に通用しなくてもラップスター欲しいよね。こんなラップスターがいない国はないからね。スペインでもフランスでもその国しか知られてないラッパースターがいるわけじゃん。』
『KREVAファンの三原さんにこんなこと言うのはあれですけど。若い世代のことですよ。KREVAはスターですよ。』
『磯部さん言ってたけどこれだけスターがいないのに全国各地のラップのシーンがあるのはすごいと思うよね。だからこそ、スターが欲しいとは思うけど。』
『(磯部さんの話を聞けて良かった)納得出来た部分はある』
『結局芸能事務所に入ったラッパーが売れるって構造は変わらないよね。そこには夢ないよね。』
『僕も2020sでヒップホップじゃなくてラップと言うべきだと言ってるけど、磯部さんもそこにこだわるよね。』
『そこはラップの書き手では磯部さんが一番説得力があったから。』
『磯部さんはある種アクティビスト的に動いたけど最近休止してるのは気になっていた。』
『磯部さんがソーシャルでの発言は最近しないのは深くコミットした人が故の態度なのかな?と思ってる』
『凄い僕磯部ファンみたい。僕磯部さんに結構詳しいんですよ。』
『僕はご意見番じゃないですよ。聞きたいことがあるから来ただけ。』


『僕は不真面目さを出せなかったのは心残り。でも、磯部さんと話すとそうなるんだと思う。』


【寸評】

POP SMOKEの話から日本のラップへの問題提起に終始する宇野先生でした。以前もこの話を宇野先生はしてましたが日本のラップ界ではどう思われているのでしょうか。

宇野先生は不真面目さをやたらアピールしてました。米津玄師は不真面目だから良いとか。自分のスタンスも不真面目でいたいようです。

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