タイムスリップ

音の向こうに
二十歳の娘がいた

玉音放送を耳にし
何を言ってるのか
何が起こったのか
何もわからなかった
わたしの祖母ではない娘だ

孫娘が持ってきた
魔法の道具を握りしめ
明瞭な音に感激し
また聞きたいと
何度もせがむ

おばあちゃんの顔の下にいる
チョコレートが好きな少女が
幼くして父を亡くした少女が
無邪気にはしゃぐ

この人が死んだら悲しいだろうなと
わたしは初めて思った

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