Poor Youngness

 ふと振り向くと、私の後ろで溺れている女の子が沢山いた。その時気づいた、後ろを振り返る余裕ができていたことに。強制的に上がらされ、無理やり戦わされ続ける「若い女」という土俵から降りていたことに。


 「若い女」、それはとても惨めでみすぼらしく不甲斐ない思いをさせられ続けることだった。まるで生きた心地がしなかった。「ここにお前の居場所はない」と突き落とされ続ける日々、それでも何とか這い上がろうとする姿を「若い男」に無邪気に見下され続ける日々。
 スタート地点が全く違うことに彼らは気づいていないのだ。浮き輪を使って穏やかな流れを泳げる彼らと同じ場所に辿り着いたら、急流を休みなく上ってきて既に疲弊しきっている私がなぜあえてそんなコースを泳いできたのかと彼らは不思議がっているのだ。彼らと同じ緩流を泳がず浮き輪を使わずにやってきたことが、そのコースを選ばせてもらえず浮き輪も渡されなかったせいと思い至らず、ただの物好きだと信じ込んでいるのだ。


 「若い女」ではなくなり「劣化」という声を投げられつつもやっと人間として呼吸できるようになった時、これからの人生は溺れ死にそうになっているあの子たちのために戦おうと決めた。コースを変え、浮き輪を投げ入れなければ。
もう誰にも助けてもらえなかったと思わせたくない、あそこで言葉にできなかった想い共々抱きしめて、一緒に救われたいのだ。

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