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「振り返って学ぶ」の限界とその先

人には「転機」があります。
なんていうと、大げさかもですが、それは本との出会いだったり、人との出会いだったり、何気ない出会いが、自分の人生の航路を変えることはあります。

私にそのようなものがあっただろうか?と振り返ると、その一つは今から10数年前の、あるセミナーとの出会いでした。
(・・・アヤしい出だしですが、壺や情報商材も売りつけないのでご安心ください笑)


自己省察と100日ブログ

そのセミナーの内容は割愛いたしますが、そこで初めて聞いた言葉に『自己省察』というものがありました。平たくいうと、こんな内容です。

「人は振り返ることでは学ぶ。振り返ることで、同じ過ちをせず、上手くいったことは再現できるようになる。それを毎日毎日繰り返すことで人の成長は加速する。だから、毎日「省察日記」をつけるのが大事である。」

とのこと。

そのまま、セミナー後の「100日ブログ(省察日記)」という宿題を愚直に取り組み、その振り返りが成長に資する力強さを肌身で感じたのでした。(後の大学院で、この学習方法を「経験学習」と呼ぶことを知ります)

そして、それは現在、3700号以上続けているメルマガ、そしてこのnoteへと繋がっていきました。

毎日振り返るのは意味はあるのか

「毎日、振り返ること」。

この効果は凄まじいものです。1日1%の成長でも、それが1年2年になると、果てしない差になるように、日々の振り返りは人を間違いなく成長させていきます。ゆえに毎日メルマガを通じて振り返りをし、それは1000日、2000日と経過をしていきました。基本的に、体験したこと、読んだこと、聞いたことなどの、心が動いた経験を中心に振り返り、言葉にしていきました。

 言葉にすることで、ぼんやりと曖昧だったふわりとした体験が、手触り感のある学びへと変わりました。まるで、なんとなく湿気を含んだ気体を、言葉によって結晶にするような、そんな感覚です。やっぱり振り返りってすごい、これいいなあ、と重ねて思います。

・・・しかし、ある時に、前職で働いていた上司が、電車に乗りながら、ふと「振り返ること」についてこんな話をしていました。

「僕ね、10年日記をつけてるんだよね。毎日振り返ってるの。
 でもね、ふと気づいたんだよ。10年前と書いていること、何にも変わってないなって。成長していないなあと思って」

その瞬間、ずしりとした問いを投げられた感覚がして、時がゆっくりと流れる感覚を覚えました。

「ただ振り返ってばかりでも、成長しないのかも・・・」と。

正直にいうのであれば、振り返った言葉が1000日、2000日と続くにつれて、経験から教訓を編み上げるのではなく、「過去の気づきの焼き直し」のようになっている自分にも気づいていました。言葉にした過去の学びを何度となく繰り返すのみとなっていく、、、そこに成長実感はあまりないことを感じていたのでした。

振り返りに意味がない、とは思いません。しかし「濃厚な経験がない中での振り返り」では抽出できる教訓が少ないのも事実でした。

濃厚な経験がない日は「自己学習」を選ぶ

「学習」には、様々な方法があります。たとえば、以下の3つの学習方法は有名なもの一つです。

(1)経験学習(自らの経験から学ぶ)
(2)観察学習(上司や同僚を観察して学ぶことで、やるべきこと/やるべきでないこと/暗黙のルール等を理解して学ぶ)
(3)自己学習(本を読んだり、勉強会に参加して学ぶ)

振り返りによる学び、つまり「経験学習」は学び方の一つにすぎません。
良質な経験をするから振り返りによる学びはインパクトをもたらしますが、経験なき振り返りは良質な果実をもたらすことは難しい可能性もあります。

であれば、良質な経験があまりないと思ったときには、書籍や他者の考えをインプットし、「自己学習」として学ぶほうが、体感覚として自己成長につながるように、いつからか(特に大学院に入ってから)思うようになりました。

自分が振り返り言葉を編み上げる学びも重要。
しかし、すでに世界にある、誰かが作り上げた概念を勉強することも、自分の内的世界を深めてくれます。世の中に存在する概念を、自己学習を通じて手に入れていくことは、何気ない1日を振り返るよりも、個人的には自分の世界を広げてくれる、と私は感じています。

少し前に「強み論文100本ノック」という、論文を読んではアウトプットするというプロセスを行いました。学びは時間がかかるし、時に面倒なものです。

でも、自己の内部を振り返る「経験学習」も大切に、自己の外の世界に広がる学びの種を得る「自己学習」も、どちらもバランスよく行うことが大事だと私は感じています。

「振り返って学ぶ」の限界、そしてその先は、両者の学習を適度に往還すること。内省、インプット、それぞれのバランスを考えた学びを通じて、自らを磨いていきたい、そんなことを思った次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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