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私の親友とは

私には大好きな親友がいる。彼の事を私は「あっきー」と呼んでいる。彼は脳性麻痺で、車椅子生活をしている。トップに貼った画像は彼がこの約1年ほど作業所で作っているアルミを丸くして磨いている作品だ。

親友あっきーとは闘病グループLINEで仲良くなり、いつの間にか7年の付き合いになっていた。最初に片っ端から質問攻めにしてしまった私を彼は面白いと思ったらしい。障害があると通常、腫れ物に触るような扱いや、優しい言葉だけを話す人ばかりらしい。私は彼の政治的思想や得意の歴史の話に興味を持ったので障害の事など正直すっ飛ばす勢いで色々と訊いた。勿論、障害の話もたまにはするが。

彼はいつでも誠実で、実直で、情熱も秘めている。そんな彼は私の大切な親友の1人の中でも異彩を放っているので紹介したい。障害者は通常は政治的思想は共産主義だが彼は違う。だから余計に話が面白いのかもしれない。あっきーおはよー!と土日は通話をする。午後14時から約2時間の通話だ。彼は私が線維筋痛症で苦悩していた事も知っている。

病苦(線維筋痛症)で自死を図った事も彼は知っている。それでもいつも「身体は大丈夫かい?」と訊いてくれる。そして私の珍妙な話も笑いながら聞いてくれる。そしていつも私に「みィちゃんもたいがい悪趣味だなぁ」と言う。彼は関西の人なので話す速度が速い。脳性麻痺だと上手く話せない、というイメージを払拭する勢いで会話をするので彼が障害者であるという感覚はあまりない。

主にいつも海外の人と交流しているので社会情勢にも明るい。何かあれば私はあっきーに訊く。あっきーは的確に分かりやすく説明してくれる、先生でもある。一時期私はグループLINEを自分で作ってあっきーも入れて親交を深めていたのだが、中にはあっきーを身体障害者でかわいそうだといわんばかりの扱いをする人もいた。あっきーはかわいそうなんかじゃない。日々を全力で楽しんでいるナチュラルハイな30代の青年だ。

私はあっきーとの土日の通話を楽しみにしている。話題らが尽きない。時事ネタで盛り上がったりもするし、弱音を吐く日も昔はよくあった。だが彼はいつもシンプルだった。物事はシンプルに考えると大したことではない。複雑にする必要性等ない事をひたすら話してくれた。いつの間にか私は物事をシンプルに考えるようになり、弱音を吐かなくなった。

車椅子生活でも関係ない。彼はお洒落な靴(装具付き)を履いているしお洒落な靴下をいつも履いているしお洒落な服を着ている。親御さんがお洒落な方なのだ。毎日が楽しいと必ず言うし、立ち直りも早い。私も彼のようになりたいと思い、色んな話を聞いた。まだ持病が寛解していないので私はあっきーより家から出る頻度も低いが、あっきーが外の話を教えてくれる事で色々な事を知る。

外が暖かい事ですら私は知らないでヒーターとエアコンを稼働させていたりするが、あっきーが今日は暖かいよと教えてくれる。私は「知らなかった…寒いわ…」と鉄筋マンションで震えていたりする。私はひどく寒がりなので家族の「今日は暖かかったよ」という言葉にも驚く。あっきーは私の事をほぼ何でも知っているし、私の事を大切にしてくれる親友だ。

彼のお陰で私は前向きになった。持病があって自宅療養中でも心豊かに暮らせる方法はいくらでもある。それを教えてくれた人はあっきーだった。大好きな親友。勿論幼なじみや沢山の親友はいるが、親友とは例え1ヶ月音信不通だろうと半年音信不通だろうと、話せばいつも通りの話をする関係だなとつくづく思う。私は季節性うつも持っているのでたまに音信不通になるタイプだ。

あっきーはそんな私をいつも快く受け入れてくれている。実際私も現在は障害者なのだが、そろそろ障害者ではなくなるようだ。闘病グループLINEの管理人さんが女性のフリをした男性だと真っ先に気付いたのもあっきーだ。性的マイノリティと云うよりいわゆる「ネカマ」でいつも同時並行で男性の障害者を誘惑しており、彼はその手には乗らなかった。私とあっきーで色々と矛盾をついたりしていたら私達は強制退会になってしまった(笑)

だが私とあっきーはそれから何年か経ってもたまにその話で笑いあったり、本当に面白かったねと悪趣味な会話をしたりもする。それと、彼は古代エジプトオタクなのでエジプトの話も教えて貰った。日本史から世界史まで幅広く知っているあっきーを私は尊敬している。この先もずっと私達の関係は途切れないし、きっと彼もそう思ってくれている(そんな感じの話もした…)

たまにビデオ通話にしてツーショットをスクショしたり、あっきーの笑顔を激写したりする事もある。彼は本当に良い笑顔をする。私はその度にあっきーに癒されている「車椅子に座っているだけの健常者」と私は彼に言った事がある。彼は精神疾患や知的障害がない。だからそう表現している。実際は彼の家は毎日ヘルパーさんが出入りしていて複数のヘルパーさんに介助をして貰っているとは聞いているが、介助が終われば通話も出来る。

真の親友とは、障害など関係ないのだ。会話の中で沢山の楽しみを教えてくれる。現在、私はいつも楽しく暮らしている。嫌な事など何もない。毎日が楽しい事で溢れている。季節性うつで眠ってばかりいる日でも私は楽しく暮らしている。私は良い友に恵まれている。人生は清濁併呑だ。それでも友達、親友のお陰で毎日楽しく生きられるようになった。

今の私を作った1人はあっきーだと言い切れる。親友がいるという事はとても幸せな事だ。

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