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実技科目<デッサンA>について

 デッサンは、武蔵美通信に入る前に、上野で一年ほど教室に通って、短大時代から何十年かぶりで石膏やら静物やらほぼ初めての裸婦とかを描いた。あるいはこの上野のデッサン教室が武蔵美通信で勉強し直すキッカケを生成してくれたような気がする。先生が武蔵美卒の方で、生徒を伸ばすのが素晴らしく美味かった。おかげで人生でやり残していた、苦手なデッサンをある程度までなんとかする、を達成できた気がした。もちろん、デッサンには終わりがないので完璧とは言えないけれども短大の頃よりはよくなった気がした。

 通信で履修した実技科目、<デッサンA>は、室内のクロッキーを四枚提出(数十枚以上描いた中から)、その中の一枚をモノクロデッサンで製作、室外のクロッキーを四枚、室外の色彩付き絵画をB2サイズで一枚、全てを一度に、なぜこのモチーフを選んだのかというレポートと共に提出だった。
 モノクロデッサンは、自宅の家事室で犬がウロウロしているところを描いた(画像は無し)。問題は色彩付きの絵だった。このB2サイズを仕上げるのに随分時間がかかった。画材は自由で、おそらく油絵科や日本画コースの人たちは、油絵や日本画で提出するのだろうと思われた。自分は、色鉛筆画で行きたかったので、主に色鉛筆、他絵の具も使用した。講評は概ね好意的で、嬉しいものだった。

『風の翌日』

 バック・ホー(ショベルカー)は、全部を描かず、腕の部分だけにした。もしも油絵だったら、車全体を描いた方がいいのかもしれない。


レポート:1―2 『家事室』

選択理由:家事室を描いた。この場所は、この家で母が一人で住んでいた頃、長らくの間、要らないものの物置になって、床が見えないほどで日も当たらず真っ暗だったが、長女である私と私の家族が同居し始めてから、少しずつ片付けてゆき、そこに溜まっていた不用品をすっかり片付けた。母は同居からしばらくして、施設に入った。妹二人が、見にきてきれいになったね、と喜んでくれた。しかし、今は天にいる母としてはどのように感じているだろうかと、壁を塗り直したり、磨いたりした床や明るくなった室内を見ながら思った。犬が、時々、ゴミ(食べられるもの)が落ちていないか探しに来る。

1−4  『風の翌日』

選択理由:犬と長い散歩に行くことのある海岸を描いた。タイトルは『風の翌日』とした。大風が吹くと、砂がサイクリングコースの方までたっぷりたまる。その砂を整理するために、時々バック・ホー(大型シャベル)が浜にいるが、それを全部描かずに、切り取って、画面左から手が伸びているような感じにした。空と砂と海を描いてみて、空の青は、海の水面だけではなく、砂の面にも反射しているだろうと感じた。砂浜は、実際はグレーだが、それを色を重ねることで表現できないかと考えた。遠くに見えているのは、工事現場を覆う簡易塀であるが、なかなかそれと分かるように表現できなかった。バック・ホーは、実物はもっと暗くて、細部までなかなかよくわからなかった。(344字)


使用画材 / 水彩色鉛筆 色鉛筆 アクリル絵の具 クレパス


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