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パリに、また一人で行った時の、飛行機のこと

 そこでは、妹が一人で住んでいて朝から晩まで仕事をしている。コロナ時期からずっと帰国できていなかったため、姉としては、妹がどうしているだろうかと気になって、ずっと訪ねたかった。「来てもいいよ」と言われ、パートをひと月お休みできることになり、前回と同じ、日本の航空会社で、エコノミーの後方部座席通路側を搭乗三か月前に予約した。後部座席を取ると、機内がいつ何時「寝てくださいモード」になったとしても、いつでもおトイレに行けるのでなんとなく自由感があると思っている。

 羽田でなんとかチェックインを済ませて、機内に入ってみてから、ああ、そういえばこのくらいのスペースだったな、と座って、前回の旅を思い出した。そうしてしばらくすると前の席の人がリクライニングするので、さらに目の前は狭くなる。

 けれど、乗り慣れた(というほどの回数を乗っていないのだが)日本の飛行機がいいなと思ったし、会員にもなっていたし、前もそうやってチケットを取ったのでそうしたのだが、他の国の航空会社を選択する気力が無かったのも確かだった。

 オンラインチェックインで少しだけ並ばずにすんだ。荷物二個のうち重たい方がなかなかオーケーが出なかったが、係員がやってきて通してくれた。

 ドリンク(トマトジュースを選択)とアラレが配られた後、しばらくして、夕食が始まってなんとか終わり、その後、すぐに「寝てくださいモード」になる。けれどももちろん眠れないので、映画を選んでみたり、今どこかなあとフライトマップの画面を触ってみたりする。それにも飽きるとトイレに行って、少し身体を伸ばしたりしてみる。前回と同じように、後方の角にコーヒーとお菓子が置かれていて、少しいただいてみたりする。それからまた座り直す。
 離陸してから三時間くらいは経っていただろうか。本を読んでいても映画を見ていてもやっぱり、あちこちがなんとなく痛いような気が、徐々にしてくる。ああ、薄い携帯折りたたみシートを持ってくるべきだった、あれがあるのとないのではおそらくだいぶ違ってくると思い出した。それは随分前に飛行機に乗った時に使ったのだった。首のクッションよりもきっと大事だ。結局、首まくらは携帯していたのに使わないままだった。

 周りのお客さんたちは、割に眠っていたので、すごいなと感心していた。映画を見入っている人もいる。皆様、結構エコノミークラスに慣れているふうに見えて、すっかり眠り込んでいる人が羨ましくなったりした。持ってきた本を読んで忘れないようにといろいろ感想を携帯にメモをしていると、そのうちに「寝てくださいモード」が終了になり、軽食時間になった。

 着いたら着いたで、いろいろ大変だった。

 帰りの機内では、通路に挟まれた真ん中の席の通路側だった。フランス人観光ファミリーが前の列に並んでいて、お父さんお母さんおじいちゃんおばあちゃん娘さん二人(高校生くらい)で、日本へ観光旅行のようで賑わっていた。家族で海外旅行、楽しいですね。

 羽田に無事着陸した時、そのおばあちゃんが振り返って、後ろにいた日本人客たちを「これが日本人かあー」みたいに、まじまじと眺めていた。彼女と目があった時、
「あのう、マダム、フランスから、わたしたち、ずっとご一緒していましたよ」と、言いたくなった。

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