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3-4 IT開発向け「なぜなぜ分析」(入門)

なぜなぜ分析 とは

目的

なぜなぜ分析は
発生した問題を分析して再発を防止することを目的としています。

特徴

もともとはトヨタが考えた品質管理の手法で
問題が発生した根本原因を「なぜなぜ」と問いかけて追究し
対処療法ではなく、「再発防止まで考えた対策」を導く手法です。

本記事の構成

ベースとしている考えかた

なぜなぜ分析の手法には様々な考え方がありますが
本記事では主にTQM 総合品質管理をベースにして
IT系開発の特性に合わせて独自に構成しています。

IT系の「なぜなぜ分析」

なぜなぜ分析はもともとは製造業で考え出された分析手法で
IT系でも活用できますが次のような配慮が必要です。

製造業のような一つの不良部品が他の動作や事象に連鎖する場合
その連鎖をたどるために「なぜなぜ」を繰り返して探し当てる事もできますが
IT系の開発業務ではモジュールやソフトウエア部品自体はそれほど複雑に連鎖していないので
わざわざ「なぜなぜ」を繰り返して探る必要はありません。

また、IT系の場合、実際の根本原因は開発工程の中にあるので
モジュールやソフトウエア部品自体を深く追求しても根本原因にはたどり着きません。

なぜなぜ分析の難しさ

なぜなぜ分析手法はそれほど難しくはないですが
それゆえ、様々な使い方ができることで
混乱を招き、本来の目的を達成できないことが多い手法でもあります。

たとえば、囲碁のように、ルールは単純でも
勝つためには様々な定石を覚える必要があるように
なぜなぜ分析も再発防止という目的を達成するには
それぞれの問題に応じた定石とその理論を理解する必要があります。

本記事では、その定石の一部を筆者の考えと
ベースとしているTQM 総合品質管理をもとに解説してゆきます。

手順

  1. 事象の調査
    まずはどのような問題が起きているかの現状把握を行い
    分析のタイトルを決めます。

  2. 直接的原因の調査
    事象は、ある要因の連鎖によって表面化しますが
    ここでは、連鎖の最後にあたる要因を調査します。

  3. 真因の調査
    直接的原因から連鎖をさかのぼり
    最初に発症した要因を調査します。

  4. 根本原因の追究
    ここまでは、調査でしたが
    ここからが本当のなぜなぜ分析になります。

ことば(用語)の定義

  • 事象
    表面化した事実
    推測や原因を含んではいけない

  • 要因
    事象を招いた要素
    因果関係は考慮しない

  • 原因
    因果関係を持つ要因
    因果関係を持たない要因は「理由」として区別する

  • 直接的原因
    事象を発生させた連鎖の最後の原因

  • 真因
    事象を発生させた連鎖の最初の原因
    対処療法により解決できる

  • 根本原因
    真因を防げなかった環境(仕組みの)要因
    再発防止を施す対象

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