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異次元の少子化対策?異次元にショボいんだが【新書神経衰弱】#28

『〈共働き・共育て〉世代の本音』(本道敦子・山谷真名・和田みゆき共著)を読みおえたので、参考文献中の新書を拾っておく。

参考文献、と云っても、さいごにまとまっていたわけではなく、文中に言及のあった本や、脚注のカタチで挙げられていたものである。

光文社新書をこのnoteで取り上げるのは初めてで、それ以前へ遡っても何を読んだか(或いは読んだことがなかったか)俄には思い出せないが、この本に限らず参考文献の挙げ方は皆この形式なのだろうか。

それとも著者が複数人に分かれており、おそらくはそれぞれが各章を担当していて、この形式になったのだろうか。

いずれにせよ、抽出するには酷くやり難い。

岩波新書などは、章毎に参考文献を挙げていたり、全部まとめて著者名のあいうえお順だったりと、載せ方もさまざまだ。

この光文社新書の脚注形式だって、どの文献がどこに対応しているか、はっきり分かるようになっているのは利点で、一長一短ではある。


今回は新潮新書と中公新書がそれぞれ一冊ずつであった。

高崎順子『フランスはどう少子化を克服したか』(新潮新書689)は、フランスの保育園事情を紹介する本だ。

フランスでは、保育園で使う物は全て支給される共通品で、通うのに何も持たせず、手ぶらで、ただ子を連れていけばいいのだそうだ。夢のような話である。

さいきんはずいぶん改善されてきたようたが、日本の保育園では未だに使用済みオムツを保護者が持ち帰らなければならないところもあると聞く。

ウチの子どもは、〇〜二歳児が各一人ずつの小規模な保育園へ通っているが、幸いオムツは処分してくれるし、替えも園で用意してくれる。

但し、普段の保育園には保育士さんが二人しかおらず、月に二日程度、彼女たちの休むときだけ、近くの大きな園へ代替保育をお願いできる制度になっている。

大きな園ではお客さん扱いであるためか、替えのオムツもこちらで用意する上、名前まで書かなければならない。

こちらには(と云うか用意しているのはいつも妻だが)用意する手間が、園には管理する手間が増える。実際、オムツを返却し忘れ、後日ふだんの園を通じ返される、と云う面倒臭い遣り取りもしばしば起きる。

フランスでは連絡帳すらなく、伝達はすべて口頭で行われるそうだ。

標準化や簡素化によって、手間を省くことで、保育士たちはもっともたいせつな、子を世話する、と云う彼らの本来の仕事に集中できる。


メアリー・C・ブリントン(池村千秋訳)『縛られる日本人』(中公新書2715)は、刊行時話題になった本だ。

アメリカやスウェーデンと日本の子育て世代を対比することで、日本人の縛られている「規範」を炙りだす。面白そうじゃん。

日本は(子育てに限らず)問題もその解決法も明らかなのに手をつけようとしない謎の国だ、としばしば云われる。
子育て対策なんか、一番安く且つ手っ取り早く、そして成果もわかりやすいのになあ、と子育て真っ最中の僕などはおもうのだけど。

異次元の少子化対策?異次元にショボいんだが。

フランスに女性議員が研修という名目で大挙して押しかけて、エッフェル塔で記念撮影してはしゃいでるだけ、とか絶望するよね。

真面目に早くやってくれないと、子が大きくなっちゃうじゃん、とおもうが、通り過ぎてしまえば関係なくなって、いまの苦しみなんてどうせすぐ忘れて、あの頃は大変だったなあ、なんていい思い出話になったりして、しんどさだけが次世代へ繰り越される。

国=僕らが少子化対策を本気でやろうとしないのは、そんな気質に原因があるのかもしれない。僕らは舐められている。

昨年の出生数は80万人を下回った。異次元のペースで人口は減っていく。このままではこの国はいずれ消滅する。

まあ、国が無くなる頃には、俺ら死んじゃってもう居ないから、いいか。

政治家の爺いどもが、そんなふうに云って笑いあう顔が浮かぶ。

あいつらも僕も、その頃にはもう居ないかもしれないけれど、ウチの子どもはまだ生きていて、今よりもっと苦しんでるかもしれないのだが!


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