こーた

事務員。博士(理学)。1982生。♂。都市生活者。父。料理できるようになりたいひと。だ…

こーた

事務員。博士(理学)。1982生。♂。都市生活者。父。料理できるようになりたいひと。だいたい本を読んでるひと。紙の本が好き。 現在の興味関心→子育て/本屋/地方。 読メ→ https://bookmeter.com/users/35388 cota1q82.bsky.social

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読書感想文2.0 #19

noteを書きはじめて一月ほどが経つ。 書くリズムもだいぶ身についてき、このあたりで一度、紹介も兼ね、まとめておく。 歴史と現在地歴史というにはあまりに短いが、元は四年ほど前(2020年11月頃)、日記を書いてみたくなったのがはじまりで、一月ほどつづけたところで飽き、しばらく放ったらかしては、偶に思い出したように書いてはまた放置し、と云うのを繰り返していた(当時の日記は現在削除)。 一月ほど前から(2024年3月)、また書きたくなって、今に至る。 今のところ、わりとつづ

    • 『安楽死が合法の国で起こっていること』児玉真美(ちくま新書)母のこと祖母のこと【読書感想文】#42

      児玉真美『安楽死が合法の国で起こっていること』を読む。ちくま新書1759。 しばらく前に読みおえていたが、良い本で、ちゃんと書きたいとおもっているうち、日が過ぎてしまった。 良かった本ほどそう云うことになりがちで、けっきょくは内容を忘れてしまって、いい加減なことになる。 まとめようなんておもわないほうがうまくいくのかもしれない、人生も本の感想も。 僕の母はよく、日本でも安楽死が合法化されてほしい、と云っている。 曰く、老いさらばえて他人の世話になりたくない、だとか、

      • 菜の花と小娘 #41

        妻→子と感染った風邪がさいごに僕へ巡ってきて、週末は控えめに過ごす。 体調が悪いと本も読めず、熱も下がって子と妻と近所の公園へ散歩に出る。 夕方は風も出て暑すぎず、木々の緑や花の色いろが愉しくて飽きない。 子の昼寝に付き合いベッドへ横になっていたが、なかなか寝つかないのに飽きて、不図本棚を見ると目に入った志賀直哉を読みたくなって手に取る。 『清兵衛と瓢箪・網走まで』。新潮文庫。 巻頭の「菜の花と小娘」は、そのまま落語にできそうなお噺で、志賀直哉ってこういう童話みたいのも

        • 読みおわらない #40

          『虎に翼』は本格的に戦争がはじまって、辛い朝がつづく(あさ観ているわけではないけれど)。 仲間が、身内が兵隊に取られていき、世の中がじわじわ生きづらくなっていく。 そういえば、感染症のいちばん酷かった頃も、はじめのうちは知り合いの知り合いが罹ったらしい、とか云っていて、ほとんどは新聞紙上の出来事だったのが、いつの間にやら、身内や自身が病気になり気づけばタイヘンなおもいをした。 先ごろ読んだカミュ『ペスト』は、戦争を病へ置き換えて書かれたそうだが、僕らはその病の経験から戦

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        読書感想文2.0 #19

        マガジン

        • 岩波(じゃない)新書を読む
          4本
        • 岩波新書を読む
          6本
        • 新書神経衰弱
          4本
        • 絵本を読む
          5本

        記事

          名前のない育事 #39

          子がお熱を出して、看病の為仕事を休む。 母は山へゴルフへ行き、妻は川の近くにある職場へ賃労働に出かけていった。 僕のワンオペ、である。 これまでも子の事情で休むことはあったが、妻なり母なりが居り、子と丸一日二人きり、というのは今回が初めてであった。 これが想像以上に過酷で、妻の有り難みが身に沁みる。 というのは一晩経って振り返ってみればの話で、ワンオペ真っ最中のときには、そんな事へ想いを致す余裕も無く、クタクタに草臥れる。 一体、世の多くの女性たち、とりわけシングル

          名前のない育事 #39

          『あのころ、天皇は神だった』ジュリー・オオツカ(小竹由美子訳)【読書感想文】#38

          ジュリー・オオツカ(岩本正恵・小竹由美子訳)『屋根裏の仏さま』(新潮クレスト・ブックス)が良かったので、『あのころ、天皇は神だった』をつづけて読む。小竹由美子訳。フィルムアート社。 こちらがデビュー作だそうで、そう知って読むせいか、『屋根裏の仏さま』へ通じる書き方が垣間見え、愉しい。 具体的なのに抽象的(象徴的)で、ひとりだけど複数の語り、詩的な繰り返し、などなど、独特の文学は本作に早くも顕れている。 日経移民の強制収容という状況の残酷さに比して、風景の描写が美しい。

          『あのころ、天皇は神だった』ジュリー・オオツカ(小竹由美子訳)【読書感想文】#38

          科学者の声に耳を澄ませて『ドミトリーともきんす』高野文子【読書感想文】#37

          ふだん漫画はほとんど読まない。 かつてはドラゴンボールスラムダンク幽遊白書ドカベンマキバオー等々、主にジャンプ方面を読み漁るふつうの子どもはだったが、いまではすっかり遠ざかっている。 端から見ていると、漫画は文学などよりずっと先を行っているな、と羨ましくおもうけれど、手が出せずにいる。 これ以上興味の範囲を広げると収集がつかなくなりそう、というのが手の出ない主な理由ではある。意識/無意識にかかわらず漫画は僕の関心領域の枠外に位置しているらしい。 ドラマや映画などの映像

          科学者の声に耳を澄ませて『ドミトリーともきんす』高野文子【読書感想文】#37

          わたしたちの詩 #36

          ハヤカワ・ミステリ文庫(メグレ)→ 光文社古典新訳文庫(『ペスト』)と海外文学をつづけて読んだら、つぎは新潮クレスト・ブックスを読みたくなる。 近く新作の出るらしい、ジュリー・オオツカ(岩本正恵・小竹由美子訳)『屋根裏の仏さま』を、その予習がてら手に取る。 写真だけを頼りに海を渡った日系移民一世「写真花嫁」たちの物語だ。 時代や共同体といった、個人ではどうすることもできない運命に翻弄される過酷さは悲痛であり、その内にあっても連帯し、芯を強くもち懸命に生きるさまは美しくも

          わたしたちの詩 #36

          カミュの陽射しに微睡む #35

          連休中に読もうとがむばって仕入れた大著は、けっきょく一冊も読まなかった(読めなかった)。 斯くして積読の魔の山はまたもその高さを増したのであった。まあ、そんなもんだよね。 その代わり、というわけでもないが、カミュ『ペスト』を読む。中条省平訳、光文社古典新訳文庫。 そのまえに読んでいた『感染症の歴史学』(岩波新書)で『ペスト』のことが想い出され、積読の山から引っ張り出された。 僕にとって『ペスト』はこの数年の挫折本であった。新訳の出てすぐに買われ読んだから、挫折したのは

          カミュの陽射しに微睡む #35

          お母さんのいない日 #34

          妻が仕事で朝早くに出かけて行った。 子どもの起きるまえで、夜も遅くなるから、寝るまでに間に合わないかもしれない、と云う。 子が僕と会わない、と云う一日は、これまでも幾日かあったが、お母さんと会わない、と云うのは、生まれてから二年ちょっとの間ではじめてのことだ。 普段は僕の仕事へ行くのが朝めちゃくちゃ早いこともあって、子を起こし着替えさせてご飯を食べさせ保育園へ送る、と云う朝のルーティンはいつも妻に任せている(帰りは早い僕がお迎えに行く)。 起こす時間になり、子の眠る寝

          お母さんのいない日 #34

          血と暴力の国、アメリカの歴史 #33

          ことしはアメリカ大統領選挙の年だ。 前大統領が再び候補になって、「もしトラ」だとか「ほぼトラ」なんて云われたりしている。 前回の選挙で不正があった、などとフェイクを撒き散らし、大衆を煽って議会を襲撃させ民主主義を破壊しようとした張本人が、ふたたび大統領へ返り咲こうとしている。 流石にヤバいんじゃないか。 それでなくてもアメリカはひょっとしてヤべえ国なんじゃないか、と云う考えが僕の内で年々強まっている。 そりゃ中国だってロシアだってイスラエルだって北朝鮮だって、日本でさ

          血と暴力の国、アメリカの歴史 #33

          巡回セールスマン問題 #32

          二歳になる子どものひとは、車が好きだ。 この子の頭のなかの八割は車で占められてるんじゃないか、てくらい車のことばかり考えている(ように見える)。 バスや重機が一番のお気に入りだが、たくはいしゃやゆうびんしゃ、引っ越しのトラックなんかも好きで、街で見かけると指差して、はしゃぐ。 その子どもができてから、ネットショッピングの割合が増えた。 自家用車を持っていないせいもあって、オムツやシャンプーなどの消耗品から、おやつや冷凍食品、或いは普段着る服からおもちゃに至るまで、子ど

          巡回セールスマン問題 #32

          災厄を歴史化する #31

          COVID-19が5類に移行して1年が経った。 禍いの始まった二〇二〇年の二月は、僕と妻の結婚した月で、家を探して不動産屋へ通ったり、内見で街々を巡ったりしていた。 世間の状況は刻々悪化していった。 初めのうちは、異国だったり船の上の話だったりしたのが、国内にも感染者が出、あっという間に広がっていった。 引っ越しの日は、仕事の休みをもらっていた。 荷運びが一段落して、新居でお弁当を食べながら、さいしょの晩餐のささやかにひらかれていた夜、首相が記者会見を開き、緊急事態宣

          災厄を歴史化する #31

          まんじゅうこわい #30

          妻は極度の怖がりだ。 ホラーやサスペンス、アクションの類は当然駄目で、大河ドラマなんかも人がたくさん死ぬと云う理由で、観られない。 妻の目線に立って世の中のエンターテインメントを見渡すと、怖くてアウトなのがけっこうあって、安心して観られるのはゲイのカップルがメシ食ってるだけ、みたいな日常のドラマくらいである。 そういう作品の増えているところをみると、妻みたいな怖がりが昨今は増えているのかもしれない。 本人は怖がりを気に病んでいるようすも特になく、避けて生きれば問題ない

          まんじゅうこわい #30

          過去を赦すために書く #29

          連休中、丸一日自由に過ごせる日ができ、本の読める店フヅクエへ行く。 昼の開店から日没頃まで居られそうで、滞在時間と、自分の読書速度とを勘案して、どうせ行くならその日のうちに読み切ってしまえる一冊を、と積読の山を眺め、どれにしようかな、と思案する(いちばん愉しい)。 そうやって手に取られたのが、ジョルジュ・シムノン(伊禮規与美訳)『サン=フォリアン教会の首吊り男』(ハヤカワ・ミステリ文庫)であった。 フヅクエでは何となく文学を、それも海外文学を読みたくなる。店の雰囲気がそ

          過去を赦すために書く #29

          異次元の少子化対策?異次元にショボいんだが【新書神経衰弱】#28

          『〈共働き・共育て〉世代の本音』(本道敦子・山谷真名・和田みゆき共著)を読みおえたので、参考文献中の新書を拾っておく。 参考文献、と云っても、さいごにまとまっていたわけではなく、文中に言及のあった本や、脚注のカタチで挙げられていたものである。 光文社新書をこのnoteで取り上げるのは初めてで、それ以前へ遡っても何を読んだか(或いは読んだことがなかったか)俄には思い出せないが、この本に限らず参考文献の挙げ方は皆この形式なのだろうか。 それとも著者が複数人に分かれており、お

          異次元の少子化対策?異次元にショボいんだが【新書神経衰弱】#28