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My role 43話



27枚目の選抜発表が行われてからは怒涛の日々



MVの準備、振り入れ、衣装準備等々...

そして、音楽番組の出演と
忙しいけれど、幸せを感じる時間でもある





だけど...




美波:...加、蓮加!


蓮加:んぁ?どうしたの?梅

美波:どうしたの?はこっちのセリフ!

蓮加:...梅はさ...聞いてた?

美波:...うん
相談は受けてた

蓮加:そっか...

美波:でも...蓮加もでしょ?

蓮加:...コクッ

美波:...寂しくなるね

蓮加:...うん

美波:でも、だからこそ悔いのないように送り出してあげないと...
あの子の最後の表題曲参加なんだから...

蓮加:...そうだね





○○が新メンバー募集のために奔走している中...
3期生にある発表が流れた




そう、大園桃子の卒業発表だ



ファンのみんなには、ブログで発表することになるが...
同期には一足早く発表されたのだ



卒業のタイミングは28枚目の時なんだけど....

28枚目の活動には参加しないことも併せて報告された




桃子からはもっと早くから、卒業について相談されていたし、驚くことはなかった


なかったんだけど...

ついに卒業が決まってしまったことへの喪失感と悲しみが襲ってくる
覚悟はできていたはずなのに...



私の心は壊れてしまいそうだった

桃子は一番仲が良かったし、一緒に居て心地のいいメンバーの一人で...
蓮加のことをいつも気遣ってくれて、一緒に考えてくれて...

そんな桃子がもう少ししたら、一緒に活動できなくなる
もう...私は何を頼って活動すればいいんだろう

そんなところまで考えてしまう




事務所で悶々としていると...



ガチャ


『やっぱここに居た』


蓮加:...○○

○○:よっ




....いつも私が苦しい時、来てほしい時にタイミングよく現れる○○



蓮加:....

○○:...



それでいて、無理に蓮加の想いを聞いて来たりしない
ただただ隣に座って、一緒に居てくれるだけ...



蓮加:...○○はさ...聞いてた?

○○:うん
なんなら今野さんに報告するときに一緒について行ったし...

蓮加:...桃子、なんて言ってた?

○○:...まぁそれは言えないというか...言いたくないというか...

蓮加:なんでよ....

○○:本人の意思があるから
他人がぺらぺらと話すわけには...

蓮加:...ごめん、そうだよね...

○○:...



沈黙の時間が流れる会議室

ただ、どちらも思っているからこそ
次につながる言葉が出てこない



卒業...

アイドル....
いや、女性アイドル特有かもしれない


年齢や体調もあるが、グループに所属せずとも自分の脚で歩くために次の道へと歩き出す

一番かっこよく、一番美しい姿ではあるが....
残される側は、寂しさでいっぱいだ



思い出が....日常が....
同期であれば、つらかったことを乗り越えた経験も

その過去が無くなることはないけれど、これからの未来を一緒に作っていくことはできなくなる




サヨナラに強くなれ



歌ってはいるが、そう簡単に強くなれるわけではない
別れはいつになっても、だれであっても悲しい




ただ....
それでメソメソしているだけではいけない


私は....乃木坂46なのだから

今が試練の時だと思って、頑張って耐えるしかない
桃子が安心して卒業できるように...






蓮加にとっては苦しい時間だろう
かといって自分に何かできるわけでもない

だからこそ、傍にいて話の聞き相手になること
悲しいという気持ちをぶつけられる環境を作っておくこと

それはほかの3期生にも言えることだが...
それが今できる俺の役割



そんな重苦しい空気を断ち切るかのように、蓮加が聞いてきた...



蓮加:...○○の方は順調なの?

○○:まぁね...
もうちょっとで応募が始まるよ

蓮加:そっか...
もうちょっとでまた後輩が増えるのか...

○○:そうなるね...
頼むよ、先輩

蓮加:...うん






それから蓮加は怒涛の日々だった


真夏の全国ツアーの準備と並行して
桃子の卒業に向け、「思い出ファースト」のMVを作った

桃子が大好きな曲であり、そんな桃子が好きな3期生の大切な楽曲
だが、発売当初はMVがついていなかった

だからこそなのかな
発売からしばらく時間が経っていたからこそ、積み重なった思い出がこの楽曲をさらに強くした

桃子との最後の修学旅行みたいなMV
大事な時間だった




そして福岡公演でのセレモニー


梅と飛鳥さんのスピーチ
2人と桃子が話している姿を一番近くで見れた


そこで改めて思ったんだ
「あぁ、桃子は...立派な主人公だったんだ」と


先輩、後輩、同期....
スタッフさん、ファンの方も含め、みんな桃子の事が大好きだった

感染症の影響で声は出せなくても、
あの会場には大きな愛が詰まっていた

地元九州で、桃子の乃木坂46最後のライブが終わった



そして、9月4日

桃子が独りでやった生配信
写真を見ながら思い出を振り返っていく桃子

飛鳥さんがいつも桃子の傍にいたから....
私が桃子に頼られることはなかったかもしれない

さくが桃子のことを慕っていたから....
あまりベタベタ行くことはしなかったかもしれない

でも...
私なりに頑張って想いをかみ砕いて、桃子を送り出すことができたんじゃないかな



こうして、桃子は乃木坂46から羽ばたいていった




ただ......


桃子を送り出すまでの期間、○○は私たちの所に一度も顔を出してくれなかった


まぁしょうがないんだけどね...
私たちが、過去や今に目を向ける中



あいつは未来に目を向けないといけないんだから...






時は少し戻り7月中旬


○○:そこもうちょっとこうしてもらえないですか?

「そうなると、ここのデザインが....」

○○:でも今の案のままだと伝えたいことが伝えきれなくて....

「....わかりました。一度持ち帰って検討します」

○○:無茶言って申し訳ありません....
よろしくお願いいたします




○○:もう少しサーバー軽くすることできないですか?

「できなくはないですけど....予算が....」

○○:そうですよね....

「うちで使っていないサーバーが使えるかどうか、調べてきます!」

○○:申し訳ないです...


いろんな人たちとオーディションの最後の所を詰めていた
その中で頭を下げることなんて何回もある


乃木坂から旅立つ人もいれば、乃木坂になりたいと志す人たちもいる

「入りたい」

そう願う人たちの最初の門が、不安定というのはどうしても避けたかった

だから妥協すらしたくなかった
できる準備は全部しておきたかった




そして....




○○:....できた

菊池:お疲れ

○○:お疲れ様です!

菊池:....うん
よくできてるよ

○○:ありがとうございますっ!

菊池:もう告知動画も公開できるし....
間に合ったね

○○:いや~、よかったっす

菊池:ほんとにお疲れさん
でも....ここからだからね

○○:はい!




それから1週間後
乃木坂46分TVにて、新メンバーオーディション開催の旨が発表された

「この世界の、未完成は美しい。」

という、コンセプトとともに....




それから数日....

菊池:どう?いっぱい来てる?

○○:はい!来始めてます!
今の時点で1万5千はくだらないかと....

菊池:マジ?

○○:マジっす笑

菊池:これは....
全員審査するには骨が折れるぞ

○○:頑張らないと、ですね





??:....よし、できた

あるものは親に内緒で申し込んだり....



??友:??受けて見なよ

??:え~、私にできるかなぁ....

??友:大丈夫でしょ!
ほら!一緒に応募できるみたいだし!

??:....わかったよ

あるものは友達と一緒に受けたり...



??兄:??~、これ受けてみ?

??:...へっ?

??兄:ええから!受けてみ!
世界が変わるかもよ?

??:....そうなんかなぁ....

あるものは兄弟に進められて受けたり....



??:....○○君....蓮加ちゃん....レイちゃん...

あるものはクラスメイトの活躍に感化されて受けようか迷っていたり...



??:....変わらなきゃ....

あるものは自分を変えるために受けることを決心したり....



??:....これは運命だ

あるものは、
好きだった乃木坂に年齢的にもラストチャンスだったことに運命を感じ受けることを決めたり....



??:....

あるものは受けないと後悔すると直感的に感じ、受けることを決めたり....



??:お母さ〜ん、これ受けてみようと思うんだけど

??母:ん~?いいんじゃない?

あるものは、誰かに元気を与えたいと受けることを決めたり....




??:....

あるものは、偶然見つけたポスターをみて神様に受けなさいと言われたような気がして受けることを決めたり....



??:....乃木坂が....呼んでる....

あるものは乃木坂に呼ばれているような気がして受けてみたり....



??:….最後のチャンス
絶対に無駄にはしない....

あるものは最後のチャンスと位置づけ、自分の持っているものすべてで挑むことを決めたり….




全国からいろんな思いを背負った子たちと出会うことへの楽しみと、
選ぶことの責任感・プレッシャーを感じながら、応募期間を過ごした




全ては....

次の乃木坂46に出会うために.....






To Be continued...

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